アメリカドラマ 24 twenty four


これなかなかおもしろい。デビット・リンチの「ツインピークス」以来です。アメリカのテレビドラマがおもしろいと思ったの。というか、観てみようと思ったのは。他の作品も実際に観れば、おもしろいのかもしれないけど、チェックしようという気にならない。

といっても、「24」も自分でビデオ屋行ったりしたわけではなく、フジテレビでやったのを録画して観ただけなんだけど。一応、1から3まで観終わりました。ビデオ屋さんにはパート4が出てますね。













で、このドラマですが、一言で表現すると、「全方位ドラマ」ってかんじでしょうか。老若男女、誰でも楽しめる。家族みんなで楽しめる、みたいな。アクション、サスペンス、政治、テロ、恋愛、家族愛、親子愛、夫婦愛、熟年恋愛、麻薬・・・いろいろなネタをつめこんでる。アクションに興味なくても、親子愛に興味あれば、このドラマが楽しめたり。家族の一人一人が違ったネタを目当てにこのドラマを観れる。そんなに気が進まなくても、いろんなネタが入ってるので、とりあえず観れちゃうみたいな。


アメリカの大金かけた映画もそういうところある。必ず家族愛だのなんだの出てきて。アクションやらパニックやらを楽しみたいこっちとしては、家族愛だの親子愛だのベタベタ見せられるとウザイウザイ。でも、大金かけた作品だから、あらゆる年齢の、いろいろな興味を持ってる、できるだけたくさんの人たちに観てもらうためだろう。

だから、大作映画とはそういうもんだ、とあきらめてる。昔の大作映画って、そのへん甘くて、独り善がりで、マーケティングあまり気にしてないような牧歌的な内容になっていて良かったと思う。


で、「24」ですが、そういう最近の大作映画みたいにいろいろつめこんだ内容なんだけど、そういう家族愛みたいのをダラダラ見せるんじゃなくて、サクッサクッと。それがいい。あんまりうざくない。5分くらいで他のネタに移ってくれるから。いろんな話を同時進行させて、一つの話に興味なくても、他の話でひきつける。興味なくても一つの話をダラダラ引っ張らないから、見てられる。なかなかすごい手法ですよ。

これって、最初から戦略的にやっているの?それとも、「24時間をそのまま描写(リアルタイム作品?)」だから、テンポよくやらないとどうしようもないから?

人に聞いた話を思い出した。アメリカのオリンピック放送ですごいのがあったそう。アメリカのオリンピック放送って、一局が独占放送する。で、すごいのがあったそうで、男子テニス決勝・女子バレー決勝・男子サッカー決勝(?)を全部録画で、15分(?)交替で見せやがったそう。テニス→バレー→サッカー→テニス→バレー→サッカー→テニス・・・みたいに。すごすぎ。スポーツに対する冒涜でしょう。「24」の見せ方ってこれと同じ。もちろん、こっちは何も冒涜してないけど。


このドラマでおもしろいと思ったのが、テロと政治のイメージ問題。旬の題材だけど、こういうのを丁寧に扱った作品はなかったと思う。時間に余裕があるからできるのだろうけど。

テロ問題についての規範構築において、このドラマの影響力はどの程度のもんなんだろう?20世紀後半から、先進国では、ポップカルチャーって社会規範をつくる役割を担ってる。どこも、伝統的な共同体は崩壊しつつあるから、マスメディアやポップカルチャーが規範を作ってる。共同体倫理、社会倫理、政治倫理、そういうのをポップカルチャーの物語がリードする。恋愛とかもそう。人の生き方とか。

ブッシュ政権とその政策に熱狂したアメリカ人のノリもハリウッド映画のノリだし。アクション映画とかって、観てる方としては「虚構」だとわかってるから、アリエネーとか言いながら観るのが楽しいんだろうけど、やっぱり、影響与えちゃってる。

このドラマでも、大統領は「テロリストと交渉しない」「テロには屈しない」と連発してたけど。現実の世界では、それは表向きのタテマエなんだけど、最近、素朴にそれが全てとか思っちゃってるナイーブな人が激増してる。ま、結局、このドラマでは、テロリストに屈しまくりなんだけど。

というか、大儀のためにはなんでもアリになりつつあるけど。大儀のためには、テロに屈してもいい、みたいな。というか、テロリストの要求通り、連邦捜査官が連邦捜査官を殺すってのはどうよ?さすがにやりすぎじゃないですか?(しかも、その犠牲になる捜査官はあまり同情されるキャラじゃなかったし、家族も友人もいない人って・・・。ご都合主義すぎです。みたいな、細かいツッコミは粋じゃないですね。)

完全に市民的自由が蹂躙されてるし、ドラマのつくりがそれを容認してるし・・・。いやまあ、いまさらなんだけどねえ。そんなこと言ったら、刑事物とか酷いしね。「西部警察」とかすごかったしね。好きだったけど。

でも、「24」はみょーに細かくリアルなかんじにつくってあるからなあ、リアルにああいうもんだと思っちゃう人多そうだなあと。マジで、権力乱用ちょーOKって雰囲気づくりに貢献してるような。やっぱり、大統領や連邦捜査官の大物みたいなゴリゴリの権力を、市民的自由蹂躙OKの英雄として描くのは危険じゃないかなあと。

とか思ってたら、主人公暴走しすぎで、すっかりイカレ野郎になってました。大統領も、おもしろいけど、なんでもありになってて、さすがにあんまりみんなシンパシー抱かないかな。

アメリカの映画・ドラマのいいところは、たとえ警察官とかが主役でも、権力・権威はうさんくさい、ってメーセージがちゃんとあるとこだったと思うんだよねえ。主役が、腐った上層部との葛藤で、悩んだりとか。大企業への猜疑心とかを題材にしたり。大統領、最高権力者を信用しきって頼っちゃったらアメリカの作品じゃないでしょう。って、いまさら、古いかな、こういう発想。

というか、このドラマでは、権力側が、というより、一つの官僚機構が、市民生活を銀行取引からなにからなにまで、完全に監視できるようなシステムになってるんだけど、アメリカは実際どうなってんの?権力が街中全ての監視カメラを操作できるようになってんだけど。どこまでフィクションなのよ?だれか、教えて。

そーいえば、この前の丸激で、弁護士の海渡雄一さん(ちなみに、福島瑞穂さんの配偶者)が、「情報や人やお金がどういうふうに動いているかをくまなく知りたい、という欲求が権力にはあると思うんですよ。今までは、そういう欲求があっても完璧にはできなかった。けど、今は技術的に可能になってきた」というようなこと言ってました。

ビデオニュース 誰のための共謀罪か
http://videonews.com/marugeki/237newmarugeki.html

最近は経済利権より情報利権。宮台真司がよく言ってるのだが、昔は(官僚になりたい人たちの中で)一番優秀な連中は大蔵省やら通産省に行ったが、最近は警察庁やら総務省って傾向らしい。情報こそが力だと。


ちなみに、このドラマの政治ネタやテロネタでも、ブッシュ批判的なものがあったり、闘う大統領みたいな感じでタフな感じも出してる。こっち方面でも、まさに全方位。民主党支持者だろうが、共和党支持者だろうが、反ブッシュだろうが、親ブッシュだろうが、楽しめる。と思う。まさに全方位ドラマ。


おまけだけど、移動時間が短すぎ。5分、10分であっちこっち移動できちゃいすぎ。って、そんなこと言ってちゃ、粋じゃないですね。



だから、セリーグもプレーオフやれって。
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by mudaidesu | 2005-10-26 01:20 | 映画


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