仏映画 「憎しみ」  フランスでの暴動から


フランスその他で大変なことが起こっちゃってますが、この映画のことを思い出しました。

監督はアラブ系フランス人。















映画に出てくるのは、アラブ系フランス人、アフリカ系フランス人、ユダヤ系フランス人、この三人の若者です。細かいところまでは覚えていませんが、すばらしい作品だと思った記憶があります。感動とかはまったくしないですが、ずしりときます。映像もなかなかスタイリッシュ。この監督の「アサシンズ」というのもアラブ系フランス人の物語。「カフェ・オ・レ」はまだ観てないんだけど、こちらも人種問題について。(「クリムゾン・リバー」シリーズもこの監督。)この監督、役者もやってて「アメリ」にも出てたような。


こんな内容↓

パリ郊外のバンリュー。そこは移民労働者や低所得者層が寄せ集められた町だ。ある日、 バンリューで暴動が発生。そこで暮らす3人の少年が、 刑事から暴行を受け瀕死の状態となって入院した仲間を見舞う。ところが、 3人の一人・ヴィンスは暴動の際に、 警官が落とした拳銃を偶然見つけ拾っていた。無残な仲間を見舞った3人は、 日頃から社会や警察権力に対して抱いていた憎しみを抑えきれなくなり…。

当時27歳だったマチュー・カソヴィッツ監督が、 カンヌ映画祭で最優秀監督賞を受賞し世界的に注目された出世作。バンリューに暮らす若者のリアルな描写と衝撃のラストシーンが大きな話題となり、 各国でヒットした。若者のやり場のない怒りと権力に対する憎しみを、 鮮烈なモノクロ映像で見事に表現した注目の社会派ドラマである。 ( NTT-X Storeより)




フランス人のアイデンティティに関することでちょっとだけ。

よくイギリスとフランスの植民地政策が比較される。単純化すると、イギリスの政策は間接統治で、イギリス人が地元民の上に立って支配するけど、地元民に自治とまではいかないまでも、自分たちでやらせた。その方が効率的ということもあるけど。

一方のフランスは、直接統治で、同化政策のようなことをやってた。極端な話、植民地の人びとをフランス人のようにしようと。

よく出てくる話が、第二次大戦後、イギリス植民地の地元の王子(誰だか忘れた。南アフリカ近辺。ローデシアあたりかも)がオックスフォードに留学中、ある白人イギリス人女性と恋に落ちがが、イギリスで大反発されたらしい。黒人ごときが白人と付き合うなんてと。

フランスではちょっと違う。植民地出身者でも「フランス人」になれる。大臣になった人までいる(コートジボアール建国の父)。セネガル建国の父はソルボンヌ出身の詩人で、フランスの学校で先生をやっていたとき(たぶん)、白人フランス人女性と恋に落ち(結婚した?忘れた)、フランスで祝福されたらしい。だれでも「フランス人」になれるのだが、もちろん条件があって、「フランス文化を愛する」ということ。もちろん、これは主観なんだけど。

イギリスは、俺の方が偉いけど、俺に歯向かわない程度に地元民は勝手にやって、という姿勢。フランスは、地元民もフランス人にしてやるぞ、という姿勢。どっちもどっちなんだけど。フランスは寛容であって寛容でない、みたいなところがあった。

教科書的にはこう言われてますね。

とはいっても、フランス人はフランス文化以外の異文化にも寛容なんだけどね。日本映画についても知ってる人多いし。まあ、この話はキリないし、乱暴な一般化を続けてもしょうがないので、ここまで。

で、この映画はキテますよ。













ちなみに、アラブ人にとって「アラブ人」ってのは「アラビア語を話す人」のよう。「かあちゃんがア
ラブ人」ってのもそう、って話も聞いたような気もするけど忘れた(笑)。日本人にとって「日本人」
ってなんだろうね。もちろん個人の主観でいろいろあるだろうけど。

ちなみに、「○○人」ってのは、書類上とか法的にって意味じゃなくて、人びとの感覚の話ね。


ところで、今回の問題で、フランスの極右政党・運動でアンチ自虐史観の「国民戦線」がますます勢いつきそうですね。「フランス人は誇りを失った。フランス人としての誇りを取り戻せ」と言ってる「国民戦線」が。トップのル・ペンさんは日本びいきなんだよね。そして、ナンバー2のゴルニッシュさんは京都大学にいたみたい。日本に20年(?)くらい住んでたようで、日本研究家(大学の先生?)で大の日本好き。奥さんは日本人。

この人、「おいおい、我々が極右だったら、日本人はみんな極右じゃないか。我々の考えの方が日本の政策よりはるかに左だよ」みたいなこと言ってました。で、「フランスを日本のような国にしたい。自分たちの文化や伝統を大切にする国にしたい」みたいなことも。

というか、他所の国って美しく見えるもんなんだね。てか、ゴル二ッシュさん、めちゃ「自虐的」なんちゃう?自分らのフランス批判は「健全な憂国」で、政敵のフランス人のフランス批判は「自虐的な反仏」なんでしょうねえ。いつものことですが、ナショナリストの思考回路は同じです。

リベラル右翼(?)の鈴木邦夫さんがつくった右翼団体「一水会」の現代表の木村さんは、「国民戦線」のこの二人と仲いいんだよね。反体制右翼同士、反体制ナショナリスト同士ってことかなあ。

鈴木さんや木村さんの良いところは、国内のマイノリティに対する優しい眼差しだと思うんだけど、「国民戦線」とお友だちでいいんでしょうか。やっぱり、フランスは行き過ぎちゃってるから、「国民戦線」の路線くらい許されるということでしょうか。「極右理想の国・日本」はまだまだマイノリティの方々に優しくできる余地があるということなんでしょうか。さすがにフランスのように「行き過ぎ」たらダメってことでしょうか。でも、「行き過ぎ」なんてほんと主観っすよね。

というか、木村さんはフセインにも肩入れしまくってたし、微妙といえば微妙ですなあ。


ま、そんなわけで、↑の映画はキテますよ(笑)。笑いごとじゃないですけど。なにげに、ヨーロッパはいろんな意味で激動の時代に入ってきたようですね。
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by mudaidesu | 2005-11-10 02:44 | 映画


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