またまた a リアリスト on アメリカ外交政策


またまた『論座』11月号ですが、 『フォーリン・アフェアーズ』の論文についてちょっとだけ。

リアリストのリアリズム イラク戦争反対」でちょっと書いたミアシャイマー(笑)の盟友のスティーブン・ウォルト(Stephen M. Walt。この人もユダヤ系だよね?)さんが書いてます。この人、ハーバードの大物なのに、なぜかいっつもミアシャイマーのおまけ扱い。

ちょっと脱線しますが、「リアリストのリアリズム」へ「色・色」さんからTBいただいた記事 

アメリカは何のためにイラクを侵略した?
http://iro-iro.jugem.jp/?eid=66

によると、アンケートに答えた882人の国際関係学者の80%がイラク戦争に反対だったそう。で、87%が戦争によってアメリカの安全保障が脅かされると考えていたそうです。なにげに、20%が気になりますね。ネオコンさんはこんなにいないだろうし。「リアリストのリアリズム」で書いたように、リアリストはほとんど全員(有名どころは)反対のようだし、というと、いったいどんな系の人が賛成してたんでしょうか。


で、ウォルトさんの論文の日本語タイトルは「アメリカの強大化と世界の反発・・・アメリカは地域バランサーへの回帰を」で、リアリストっぽいタイトル。伝統的な孤立主義でもなくリベラルな国際主義でもなくネオコンさんなすっとんきょう主義でもなく。でも、ちょっとアレ?ってところがあったので。

以下引用。

孤立主義への回帰は選択肢にはならない。・・・。

批判派(孤立主義者。ブキャナンさんとか)が何をどう考えているにせよ、世界コミュ二ティーは、公海自由の原則を守り、対テロ戦争を戦い、WMD拡散防止を試み、国連、国際通貨基金、世界銀行を支えていく上で、アメリカに多くを依存している。ワシントンが圧倒的な影響力をもっているおかげで、世界各地での大国間のライバル関係が抑え込まれ、これが安定した世界秩序を維持していく助けになっている。アメリカが完全に国際社会から手を引いて、より大きな安全と繁栄を手にする国はほとんどない(この部分はちょっとリベラルっぽいなあ)。

とすれば、アメリカは、域外に身を置きつつ秩序バランスの維持に貢献するという伝統的な役割に立ち戻るべきではないか。・・・。パワーバランスの維持は地域諸国に委ね、・・・。介入は、地域的なパワーバランスが崩壊し、死活的なアメリカの利益が敵対勢力に脅かされてるといった、絶対的な必要性がある場合に限定する。

要するに、同盟諸国には関与しながらも、アメリカは軍事プレゼンスを最小限に抑えるというやり方だ。

とリアリストらしい議論をし、

アメリカの外交政策は、アメリカのパワーで何ができ、何ができないかについての認識に導かれたものでなければならない。比類なきパワーを手にしたからといって、アメリカが自分の価値を他国に押しつけることができる、あるいは押しつけるべきだと考えるのは間違っている。いかに、アメリカ人が自国の動機を利他的なものだとみなしても、価値を相手に強要すべきではない。

ネオコンサーバティブのアメリカ帝国論者やリベラルな国際主義者にとって、世界に対して何をすべきで、どのように暮らすべきかをお説教するのは、効しがたい誘惑なのかもしれない。

みたいにお約束のリベラル&ネオコン批判もちゃんと忘れない。リベラルとネオコンを同類扱いして。「リアリストのりアリズム イラク戦争反対」で触れたミマシャイマーさんとウォルトさんの「リアリズムvsネオコン」と同じように。ところで、ウォルトさん、なにげに、ネオコンさんを「アメリカ帝国論者」とか呼んじゃってるし。リアリストもネオコンさんをそういう風に呼ぶのね。ちょっと驚いた。

けどね、アレレレレ!?ってな文章もところどころにあんのよ。

軍事力を慎重に用い、主要な同盟国との強調関係を育み、とりわけ、地に落ちた国際社会でのイメージを回復することで(強調)、アメリカは自らの支配的な優位を他国にとって受け入れられるものにしていく必要がある。

問題はアメリカ人が自国の行動をどう判断するかではなく、他国がそれをどうみなすかである。・・・。いまや、超大国としてのアメリカの地位を支える国際社会でのアメリカの好感度は急激に低下してきている。

アメリカの現在の任務は、かつて世界がこの国に託した信頼、称賛、正統性を再建することだ。そうすれば、世界はアメリカのパワーを抑えることにではなく、それがもたらす恩恵に目を向けるようになる。

とか書いてますが、(ネオ)リアリストらしくないですねえ。リベラルっぽいですよ。ウォルトさんの議論を隅々まで知ってるわけじゃないんだけど、ハーバードの同僚のジョセフ・ナイさんの「ソフトパワー」の議論に影響されちゃってるんでしょうか。

というか、のんきにコテコテのリアリズム理論をやってる状況にアメリカはないっていう自覚からでしょうか。リアリスト(というかウォルトさんと相棒のミアシャイマーさんのが特に)の文章ってめちゃくちゃ論理的なんだけど、ときには浮世離れ(現実主義者のくせに)しちゃってることもあんだけど、これはとても普通で常識的な論文になっちゃってます。まあ、「フォーリン・アフェアーズ」がそもそもそういうもんなんだけど。
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by mudaidesu | 2005-11-24 22:15 | 世界


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