巨人韓国人四番とか嫌韓とか


ちょっと前(つっても四月のはじめだけど)に、2ちゃんのプロ野球板を覗いてみた。WBC本塁打&打点の二冠王で巨人の不動の四番、イ・スンヨプをめぐるコミュニケーションはどんなもんかなと。アレはいかほどかと。我ながらアレです。




スンヨプについては全然評価してなかったし、去年の日本シリーズでは憎悪すらわいたけど、この人のスター性というかお祭り男ぶりがちょっと気になってはいた。日本シリーズでも下位打者のくせに凄いオーラだったし。WBCではアレだったし。ついでに、今シーズン、ボケーとテレビ見てたら、お笑い守備連発を見せてくれたし。なんかおもろい選手だなあっと。


で、2ちゃんのスンヨプ専用スレはまあアレなんだけど(笑)。



前に国内サッカー板の在日コリアン選手スレもチェックしたことあるんだけど、国内サッカー板の方がはるかにマシだった、というか、たまにアレなレスもあったけど選手応援スレとして普通に機能してた。

これは、Jリーグにはコリアン選手がたくさんいるし特別なことじゃないってことなのかな。どうだろう。まあ、スンヨプの話題性はすごいから、比較するのはムリがあるのかもしれないけど。ついでに、それらの板やスレをちゃんとチェックしてるわけじゃないし。というか、一二度づつしかチェックしてないし。



で、スンヨプだけど、笑えるスレがあった。「李承燁がHRを打つたびにカツ丼を食べるスレ」とかいうのが。スンヨプがカツ丼好きらしくて、ホームラン打ったときは、みんなでカツ丼食べて報告したりしてるみたい。パート8くらいまで行ってた(笑)。めちゃくちゃなごやかな雰囲気。



まあそれはおいておいて、巨人関係のスレもちょっとチェックしてみた。で、当たり前だけど、ほとんどの巨人ファンはスンヨプを普通に応援してた。でも、ときおり気になるレスがあったんだよね。カツ丼スレでも似たようなレスがあった。



韓国人は大嫌いだけど、スンヨプは好き。


こういうのがあちこちにあった。



スンヨプはいい奴だな。もちろん、大多数の韓国人がどんなだか知ってるけど。


こういうのもあった。


こういうのってなんなんだろうと。こういうこと書く人たちに悪気はたぶんほとんどない。むしろ、自分は寛容で優しい人って自己認識なんだと思う。善意で、スンヨプのためにこういうことを書き込んでるんだろう。

韓国人だから嫌っているのではなくて、ただ韓国人のほとんどが異常だから韓国人を嫌いになるのも当然。でも、中にはまともな人もいるから、韓国人全員が異常なわけではないと。そのくらいちゃんとわかってるまともな俺ですよ。みたいな。



とにかく、他の人がやっても気にならないことを「韓国人」がやるとムカツク人がいる。ムカツクのはしょうがないんだけど、「神聖なる」とか言って「義憤」を装うのはホドホドにしろよ、と。

あとは、「韓国人」がなんかやると特定の個人の話じゃなくなって、属性の国民性やら民族性の話に安易にしちゃったり。

たとえば、韓国人の善行は「一部の人」「例外」で、日本人その他の善行は国民性民族性。韓国人の悪行は国民性民族性で、日本人その他の悪行は「一部の人」「例外」みたいな。

こういう処理をしたくなるのはわかるんだけど、特定の属性を貶めるためだけにやるのはカンベンしてほしい。

まあいまさらだし、感情の問題だからダブスタになるのもしょうがないというか当たり前なんだけど。

「神聖なる野球」への冒涜 僕の「民度」のコメント欄



みたいなこと書いたけど、こんな発想なんだろう。

彼らの中では、謙虚でナイスなスンヨプは「例外」なんだろう。


はっきり言っちゃえば、ナチスからすりゃ、ナチスに協力したり都合がよいユダヤ人は「まとも」だみたいなことなんだけど。まあでも、そこまで言うのもなんだかなーだしなー。


なんかあっけらかんとしてんだよねえ。

悪気がまったくなさそう。「韓国人は嫌い」と公言することについて。世界に向けて発信することに。「○○人が嫌いです。」なんて言ったら、普通は即レイシストにされるんだけど。別に、○○人が嫌いなのは勝手だし、というか、感情はどうにもならなからしょうがないんだけど、それを公言することの恥ずかしさを自覚してほしいんだけど、いまさらすぎか。


それに韓国人が、在日コリアンが、朝鮮人の血が流れてる人が見る可能性もあるわけで。なんというか、そのあっけらかんとした無神経ぶりにねえ。というか、在日コリアンの人とか絶対見てるでしょ。

まあそういう前提がまったくないんだろうなと。

そういう「空気」なんだろう。



むしろ、「韓国人であるスンヨプが好き」と言うことの方が恥ずかしい、というか、なんか悪いこと言ってるんじゃないか、みたいな。だから、空気を読んで、「韓国人は嫌いだけど」みたいな但し書きをつけたり。変な摩擦を起こさないように。空気に逆らわないように。いや、プロ野球板はそんなに酷い空気にはなってないと思うけど(もちろん一定の割合で確信犯的嫌韓の人はいるようなかんじ。アレなスレも見かけるし)。



「韓国人は嫌いだけど」みたいのは、書いてる本人がどこまでベタかってのはわからないんだよね。ただ「空気を読んでる」だけかもしれない。いわゆる、「付き合い」みたいな。2ちゃん社会での「付き合い」。それが2ちゃんにおける「社会性」。 ただその社会の慣習や流儀に普通に適応しちゃってるだけなのかもしれない。

いや、プロ野球板はそんなに酷い空気にはなってないと思うけど。


「2ちゃんでは、韓国人の誰々が好きと普通に書き込めない雰囲気・空気がある」と思い込んでて、ただそこで摩擦を起こしたくない、空気を読んで、無難に自分の思い(やっぱりスンヨプが好き)を書き込みたい、ってなところがあるのかなあと。 でも、巨人スレなんかでは普通にみんなスンヨプを応援してるしなあ。うーん。



やっぱ、「阪神ファンだけど原が好き」みたいな軽いノリなんだろうか。

「寛容で柔軟な俺」みたいな。

で、「阪神ファンだけど(韓国人は嫌いだけど)」の部分は空気を読んでじゃなくてマジにベタで。

「韓国人は嫌いだけど」なんて「阪神ファンだけど」並みに普通なんだろうか。





で、形式的に空気を読むみたいな話は、↓の北田暁大と東浩紀の話からの半分パクリ。


東:

・・・ニューヨークを訪問したのは、嫌韓の記事がニューヨークタイムズの一面に載った*2直後でした。ですから、「嫌韓というのがヤバイらしいですね」と聞いてくるひとが何人かいました。たしかにヤバイ(笑)。ヤバイのですが、彼らと我々では、同じ「ヤバイ」でも意味が違うわけです。僕は、サイバーカスケードや繋がりの社会性―― connection-oriented sociality と英訳しましたが――が、嫌韓の背景にあると説明してきました。しかし外国から見ると、それは単なるヘイトスピーチです。「日本には韓国を嫌う人間がこんなに大勢いるのか。とんでもない」という話になってしまう。このように、形式的な繋がりが内容の主張として受け止められてしまうわけです。僕たちは、今後そういう誤解を解いていく必要がある。・・・



北田:
 
私も最近ソウル大学との共同遠隔講義*5があって、ちょうど東さんと同じようなことを感じました。以前書いた2ちゃんねる論を少々いじって話をしたのですが、嫌韓厨の話がどうしても出ざるを得なかった。結果的には「日本の若い人たちの間で、これだけ韓国嫌いが広まっているのか」という内容定位型の反応しか返ってきませんでした。語学力の問題もありますが、繋がりの社会性のような文脈はなかなか伝えられないと改めて感じたんですね。ただ詳しく話してみると、韓国にも似たような傾向はあるようです。多かれ少なかれ、そういった傾向は日本だけのものではない。日本の場合はなぜそんなにナショナリスティックな方向にいくときに盛り上がるのだろうかという疑問は残りますが、それは日本に特殊な現象でもないようです。



東:

ところで、リテラシーを高めるという観点から見ても、嫌韓厨の現象は面白いと思うんです。嫌韓そのものはカスケーディング現象です。しかし、日本国内でも、世代によってはcontent oriented(内容志向的)なコミュニケーションしか知りませんから、これを内容として捉えてしまう。たとえば右寄りの雑誌は、形式ではなく内容として嫌韓現象を見ます。アメリカや韓国から見たら当然そう見える。つまり、繋がりの社会性として生み出された結果が、まったく別の文脈からは単に内容として見られてしまい、大きな社会問題を起こしてしまう。こういう誤解は国内でも国外でも起きています。おそらく今後もこういう現象は起きてくるでしょう。そのときには、こうした現象のティピカル(典型的)なものとして、嫌韓の問題は位置づけられると思います。

これを阻止するためにはリテラシーの向上が役立つ。それはそうですが、と韓国やアメリカの人に対して2ちゃんねるのリテラシーを高めろといっても仕方がない(笑)。



北田:
 
東さんがおっしゃったことは、現実に起きているわけですね。高齢者向けの保守系メディアと、2ちゃんねる的なノリというものが、ほとんど利害は一致していないにも関わらず、なんとなく結びついてしまっているわけです。そのとき外に向けて2ちゃんねる的なリテラシーを持って覗いてくださいというのは、どう考えても無理な話です。教育したり説明したりして伝わるものでもないと思いますし、致し方がない。ただ、これがコンテンツに定位したまま伝わってしまうのは問題です。韓国やアメリカといった外部はそうとしか受け止めてくれないのであれば、その説明責任はどんな人が負っていくのでしょうか。



東:
 
誰かが説明しないとまずい。北田さんにも担っていただきたいものです(笑)。

ただ、たとえ説明したとしても完全に伝えるのは難しいでしょうね。北田さんや僕の本が翻訳され、それ以前の日本の消費社会の特徴が知られているのであれば、まだ説明できるかもしれませんが、現状では完全に何の手がかりもない。そこで、よくも出来ない英語で30分以内に説明しろといわれても無理な話です。とはいえ、嫌韓はいまや国際的な問題だし、これからこういう現象は次々に起きるだろうという感覚もある。繋がりの社会性の現れが別の文脈に移植されてしまうといった問題は、今後も頻発するに違いない。そのとき、どうすればいいのか。国内に限れば、保守系雑誌のリテラシーを高めればいいだけなのかもしれない。しかし、ネットは世界中に繋がっている。それだけでは限界があるわけです。

東浩紀と北田暁大の嫌韓への言及をメモ





どうでもいいけど、コレ→昔さいこーって思ったビデオ
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by mudaidesu | 2006-05-24 18:35 | ナショナリズム


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