第二次朝鮮戦争勃発  2


第二次朝鮮戦争勃発  1」のつづき。なかなか真剣な討論から。





「アトランティック・マンスリー」って雑誌の記事から。2005年7月/8月号。著者はこの雑誌の編集者。


North Korea: The War Game



●北朝鮮に対処することに比べれば、イラクなんてチャイルドプレイかも。待てば待つほど大変になる。これはアメリカで最も著名な外交戦略家たちによるシミュレーションから得られるメッセージ。

(待てば待つほど大変ってのは核が増えてくだろうからってこと。)


●イラクは大量破壊兵器を持ってなかったけど、北朝鮮は大量の化学兵器(マスタードガズ、サリン、VX神経ガス)と生物兵器(炭疽菌、ボツリズム菌?、コレラウイルス?、hemorrhagic fever?、ペスト菌、天然痘ウイルス、チフス菌、黄熱病ウイルス?)を所有してると信じられてる。


●朝鮮半島での実際の戦争は、ベトナム戦争以来、いやたぶん第二次戦争以来、アメリカが経験した最も激しいものになるかも。近年、ペンタゴンの専門家たちは、戦争の最初の90日で30万から50万の韓国軍とアメリカ軍の死傷者を予測。加えて多くの民間人の死。韓国へのダメージは世界経済を揺るがすだろうと。


●残念ながら、北朝鮮の核施設を限定攻撃したら(いやどっちにしろどこにあるかよくわからない施設もあるけど)、恐ろしい戦争になりかねない。


●金正日体制の完全な崩壊は、中国と韓国への大変な難民問題だけじゃなく、大量破壊兵器の拡散を引き起こすかも。


●韓国や日本に核兵器を持たせて地域の核抑止体制を構築するとしても(そしたら台湾も)、国際的な核不拡散体制の危機になって大変だし。



(北朝鮮についてはわからないことがたくさんあるらしい。)




●この雑誌が主催して、軍事や外交政策決定の経験豊かなプロたちを集めて模擬会議(war game)やってみました(イランについてもやったみたい)。タカ派からハト派、右から左、ネオコンからリアリスト、いろいろ集めて話し合ってもらいました。



登場人物を簡単に。


Sam Gardiner (米太平洋軍(PACOM)司令官役)

大佐。National War Collegeやいろいろな軍事関係の施設で戦争シミュレーションを20年以上やってるプロ。2003年のバグダット攻撃作戦はGardinerが15年前に作成したものを基礎としてる。


David Kay (CIA長官役)

90年代前半にIAEAと国連のイラク核兵器査察の責任者を務めてた。アメリカのイラク攻撃後、CIAの要請で大量破壊兵器探索を率いた(見つからなかったけど)。


Robert Gallucci (国務長官役)

ジョージタウン大学の外交問題学部(名門)の学部長。1994年の北朝鮮核危機のとき、クリントン政権の対北朝鮮交渉の責任者をしていた。
 

Thomas McInerney (統合参謀本部議長役)

中将。元空軍パイロットでコマンダーで作戦立案家?。従軍経験豊富。FOXニュースの軍事アナリスト。McInerneyは北朝鮮(もし核プログラムを放棄しなければ)だけでなく、シリア(もしテロ支援をやめず、イラクから密輸してきた(とMcInerneyが信じる)大量破壊兵器を放棄しなければ)やサウジアラビア(反米イスラム原理主義勢力が権力を握ったら)にも侵攻すべきと考えてる。


Jessica Mathews (国家情報長官?(新しいポストらしい)役)

カーネギー国際平和財団のプレジデント。クリントン政権時代の国務次官補(世界問題?担当)。


Kenneth Adelman (国防長官役)

歴代共和党政権でいろいろな国防系ポストを経験。フォード政権下では国防長官ラムズフェルドの補佐官。国連次席大使も。




で、以下は適当に発言や記述をところどころピックアップ。「  」やそうじゃないところがごちゃごちゃしてるけどあまり気にしないように。かなりいいかげんだから。というか興味ある人は全文どうぞ。↓より自動翻訳の方がいいかも(笑)。




Kay

我々は北朝鮮について知らなすぎる。最も大事なアメリカの情報収集活動は、北朝鮮の核開発プログラムと外部の組織との関係がどの程度か見極めること。



Gallucci

死物狂いの国の核物質輸出を抑止することなんて可能なんだろうか?



Adelman (歴代共和党政権でいろいろなポスト経験)

北朝鮮の意図がわからないことはない。北朝鮮の目的は、我々に攻撃させないこと。イラクのようにならないように。ってことはわかってる。北朝鮮を普通の外交で変えることは不可能だと思う。・・・とにかく中国をその気にさせるしかない。どうやって?韓国、日本、そして台湾が核保有国になるかもしれないよって脅かしながら。



Mathews (クリントン政権の一員)

我々はイランに比べて北朝鮮の核開発プログラムについて知ってることは少ない。「不明」ってことはこれからのディスカッションの前提。だから我々が自信を持って言えることはとても少ない。政治的にも技術的にも。KayとGallucciに同意で、アメリカへの最大の脅威は「北朝鮮はなんでも売る体制」ってこと。

中国が決定的な影響力を北朝鮮に行使できるかは疑問。体制崩壊なんてことになったら大量の難民がやってくるから。


政治的約束と体制保障と経済援助の正しい組み合わせで、北朝鮮に核兵器を放棄させられるかどうか我々は真面目に試したことがない。「私は北朝鮮が核兵器を放棄するはずだとは言ってない。私が言ってるのは、この超根本的な疑問への答えはいまのところよくわからないってこと」。極端な方法(軍事)に頼る前に、我々はこの問いの答えを出す努力をしなければならないと。まずは朝鮮戦争を公式に終わらせる条約を結ぶことからはじめるべき。


これはパラノイア体制になんらかのメッセージになる。「これは我々には何も意味しない。我々は朝鮮戦争がまだ続いてるなんて思ってないから。でも、北朝鮮には意味がある。これはとても価値のあるカードになるかも。そして我々はそれを一度も試してない」。






McInerney

北朝鮮による最大の脅威はテロリストの手に核兵器が渡ることというのに同意。そして、Gallucciが心配するように、抑止力は核によるテロを防ぐことはできないだろうと。

戦争もアリ派。なぜなら「絶対勝てるから」。韓国を人質にされた状態でも被害が出ても最終的には「勝てる」から。


アメリカの政策作成者たちの言う「軍事オプションはありえない」ってのには気合いを入れて反対。「軍事オプションはありえるに決まってるし、可能」。北朝鮮からテロリストへ核兵器が渡される危険に晒されたら、我々は何かをしなければならない」。






Gardiner

北朝鮮の通常兵器はたいしたことない。けど、ミサイル&化学兵器は大変。我々はミサイルがどこにあるかわからない。多くは地下。「破壊するのにとても難しいターゲット。だけど我々には可能」。


Adelman (歴代共和党政権でいろいろなポスト)

"Is that a euphemism for undoable?"(それって不可能ってことを遠まわしに言ってるん?)とツッコミ。


Gardiner

"No, not at all,"と Gardiner。 McInerneyも立ち上がって "No!"。






Gardiner

ソウルを守るチャンスを得るためには、戦闘の最初の数日がクリティカル。そのためには、ミサイルや化学兵器を北朝鮮が使う前に破壊しなきゃならない。これをするには、最初の数日は一日4000空爆を実行しなきゃならない。イラクでは800空爆/日だった。




Mathews (クリントン政権の人)

ソウルが守れるという話に同意せず。少なくとも最初の24時間、もしかしたら48時間はムリ。McInerneyに対して、もっと説明してよと。


McInerney

"There's a difference between 'protecting' Seoul and [limiting] the amount of damage Seoul may take."  (ソウルを「守る」というのとソウルへの被害を「制限する」というのは違うから。)


Mathews

ソウルに10万ものアメリカ人がいる(そんなにいる?)。1000万以上の韓国人は言うまでもないけど。


McInerney

"A lot of people are going to die, Jessica. But you still prevail." 
(たくさんの人が死ぬよ。それでも、我々は勝利する。)


Mathews

私が思うに、我々はマジで慎重になるべき。我々はソウルを守らなければならない。もしあなたの娘さんがソウルに住んでたら、最初の一日二日にアメリカ軍が娘さんを守れるとはあなたも思わないでしょう。


McInerney

いや、守れると思う。我々にはその能力がある。どっちが先制攻撃しようと、ソウルの死傷者を最小にする(minimize)能力がある。


Mathews

「最小にする」って、だいたいどの程度?10万人?20万人?


McInerney

私が思うに10万人。か、それ以下。



(記者の感想・・・もちろん、余程気合いの入った軍事戦略家にしか、McInerneyのように10万人の死傷者をクールに考えることはできないだろう。)







McInerney

我々は一個の核に対して100個の核を使うと宣言すべきかと。


(記者・・・他の参加者たちはこの発言にあっけにとられる。)





Gardiner

とにかく、簡単な軍事オプションはない。


Adelman (歴代共和党政権の国防政策にいろいろ関わってきた人)

ツッコミ。そういう婉曲な言い方はどうかと。はっきり言うべき。軍事オプションは惨劇になると。


Mathews

同意。我々は我々が知ってるターゲットしか攻撃できない。知らないターゲットは攻撃できない。そして知らないターゲットがいくらでもある。


Kay (IAEAや国連で査察官の偉い人をやってた人)

知らないターゲットのほとんどはミサイル。




(記者サマリー・・・コンセンサスはソウルの防御は保障できないってこと。このコンセンサスに同意しない McInerneyは最初の数日間で10万の死傷者を予想。)






Gardiner

言わなきゃならないのは、朝鮮半島で軍事作戦はムリ。反撃にしろ、先制攻撃にしろ。兵力が足りない。イラクのせいで。対イランにも兵力が必要。イランに侵攻しなくても能力があるということを示すのなら。



McInerney以外は日本や韓国が核を持つことは反対。核不拡散体制を維持することは絶対必要。





Gardiner

で「レッドライン」のコンセンサスはどこよ。国際的な制裁(最終的にはアメリカの先制攻撃)が必要になるレッドラインは。


(記者・・・核実験がレッドラインって話も。)



Gallucci (クリントン政権の人)

レッドラインは核物質の輸出。


Adelman

それがあれば先制攻撃するの?


Gallucci

私が言ったことの意味は、「我々はそれは容認できないって。我々は君たちに対して行動を起こすよ」って北朝鮮に言うってこと。


Gardiner

いや、だけど、この部屋ではあなたはなんて言うん?


Gallucci

軍事力を使う。


McInerney

私はこう言う。もし核兵器がアメリカで爆発したら、あんたがターゲットだよと。それが北朝鮮の責任かどうかの確信が我々になくても。


Gallucci

それを言っちゃアメリカじゃない。我々はもう少しマシなことしないとダメ。

核兵器の爆発を待ちたくない。ここではっきりさせておきたいのは、私にとっての引き金は爆発ではなく、北朝鮮が核物質をテロリストグループへ渡したという明白な証拠。


McInerney

だけど、明白な証拠なんて絶対得られないって。それが私のポイント。







Gardiner

によると、北朝鮮2,300万の人口を考えると、戦争後も50万の地上兵力が必要。アメリカ兵である必要はないけど。




Gardiner

物事はどんどんややっこしくなってるから、我々は本気で先制攻撃のオプションを計画しなきゃならない。

(みんなシーン。)


Adelman (歴代共和党政権の国防政策にいろいろ関わってきた人)

なななんだって?なんて言った?


Gardiner

一年か一年以内(もう過ぎた)に先制攻撃して、北朝鮮の体制を変える準備をすべき。





Kay (IAEAや国連で査察官の偉い人をやってた人)

北朝鮮の体制崩壊が何をもたらすかについて非常に心配。核兵器、化学兵器、生物兵器を持った国の崩壊はものすごい脅威。アメリカにとってだけじゃなく世界中にとって。我々は崩壊したときのために非常対策用のプランが必要。うまく対応できなきゃ、イラクがチャイルドプレイになる。



(どうにもなんなくて、核保有国(日韓等)が続出して、核不拡散体制崩壊ってことになったらシャレにもならんと。)




Mathews (クリントン政権の人)

北朝鮮がテロリストに核物質を渡した証拠が出たときは戦争もしかたがないってことに同意せず。やっぱ、戦争やったら犠牲が酷すぎる。それに、韓国の支持を得られない。韓国に対して戦争に同意してくれって・・・それって彼らに死んでって要求すること。彼らの国を破壊しろって頼むこと。アメリカへの潜在的脅威のために。


McInerney

ほぃじゃあ、アメリカが核攻撃されるまで待つべきだって言うんかい。


Mathews

私が言ってるのは、我々は韓国人たちの支持を得ることは絶対にできないってこと。

アメリカの先制攻撃は絶対に韓国の国益にならない。国益になるって言ったら狂気。


Gallucci (クリントン政権の人)

同意せず。1994年のときは、もしかしたらクリントン政権は限定的な先制攻撃への韓国のサポートを得られるかもしれなかったと思うと。その攻撃は全面戦争にエスカレートするかどうかは誰にもわからなかったにもかかわらず。


Mathews

先制攻撃の前に、我々はすべてのできるかぎりの思いつくかぎりの外交オプションを試さなきゃならない(absolutely, sure, truly等の表現を使って強調しまくり)。それをしないかぎり、先制攻撃への国際的な支持は得られない。

北朝鮮が朝鮮戦争を終結させる条約を結びたいというなら、yesと言うべき。そのくらい我々にとっては低コスト。とにかく、我々は外交オプションを全然試してないと思う。とにかく、外交オプションを試しまくるべし。


Adelman

それの問題点は、外交オプションが失敗したかどうかはわからないこと。あと5年下さいとか言われて。爆発するまで失敗したかどうかわからない。






Gallucci (クリントン政権の人)

カーターが平壌に行く前にカーターにいろいろ説明した。「もしこの合意をしたら、北朝鮮はそれを守るだろうか?」と聞かれた。で、「わかりません」と答えた。で、今はわかる。北朝鮮を信用できない。

だけれども、我々はあの1994年の合意によってダメージを受けてはいない、と私はあえて主張する。実際、なかなかうまく行ったと思う(一応核開発を遅らせたから?先制攻撃して変なことになるよりかはるかにマシだから?)。北朝鮮が騙したにもかかわらず。だから、あの合意をしたことを残念だとはまったく思わない。

北朝鮮に体制保障を与えるべき。






Kay (査察のプロの人)

アメリカは数年間を無駄にしたと確信してると。効果的なことを何もできなかった。ただ北朝鮮が崩壊するのを願っていただけ。ブッシュ政権のこの問題に外交的に関与するのを嫌がる姿勢はかなり危険。本気で交渉しようとしなきゃダメ。

「ブッシュ政権は北朝鮮が信頼できないと信じてる」と。それに、「北朝鮮はあまりに悪なんで、話すだけで有害だと思ってる。たしかに北朝鮮はろくでもない体制。人権のことを考えると、世界最悪の一つ」。

「しかし、北朝鮮と話をすることで我々の道徳的信念が危うくなるわけじゃないでしょう」と。軍事オプションを考える前に、直接交渉を試す必要があると。





Mathews (クリントン政権の人)

ブッシュ政権は北朝鮮との直接交渉を拒んで多国間協議に固執することによって損してる。「二国間協議より多国間協議の方が安全保障上の国益になるなんてことは別にない。そんなものはテーブルの形程度(些細なってことかな?)の問題。

彼らは二国間協議したいのね。いいですよ。6カ国協議の枠組みの中で二国間協議の場を作りましょうと。こんなことにどのくらいの時間が必要なのか?30分。ブッシュ政権は中国にこの問題をアウトソーシングしようしようとするのはちょっとおかしい。





Ken Adelman (歴代共和党政権の国防政策にいろいろ関わってきた人)

先制攻撃について考えることに最も消極的。でも北朝鮮との交渉にもあまり期待してない。期待してるのは中国の役割。北朝鮮問題はあまりに複雑で難しいから。それをなんとかするためには型にはまらないアプローチが必要。・・・北朝鮮問題での軍事力の使用について、Gallucci よりも「左」に自分が位置することに驚いてる。



Gallucci

もAdelmanが自分より「左」だということに驚いた。とにかく、早急に交渉が必要。軍事オプションの前に。ブッシュ政権等がこれを認識しようとしないことにフラストレーションを感じてる。

私(記者)に語る。↓



「枠組み合意の案を持ち帰ってこれで行こうって思ってるときに、同じような人たちが目の前にいた。彼らはこの問題を交渉によって解決することを憎みまくり。」

「だから私は『だから、あんたらのファッキン・プランはなんだよ?これが嫌ならさ?』と聞いた。」

『我々は嫌い・・・(We don't like...)』

「だから私は『何が嫌いかはもういいって!(Don't tell me what you don't like!) あんたらがどうやって北朝鮮の核プログラムを止めるつもりか教えてくれよ」と聞いた。」

『だけど我々はこのやり方じゃ・・・(But we wouldn't do it this way...)』

「結局、答えが聞けたことがない。聞けたことは『我々は交渉すべきじゃない』だけ。」



私(記者)は(McInerneyが強調したように)北朝鮮は1994合意について騙したと指摘した。そしたらGallucciは「ちょっと待ってよ。ソ連なんか我々とのほとんどの合意について騙してたよ。だけど、それでもそれらの合意や取り引きナシよりは良かった。ナシより国益になった」と。



Gallucci

北朝鮮と交渉することは悪い態度に対して褒美を与えるようなものだ、という人々に対して、「聞けよ。私は他人を訓練することには関心ない。私が関心あるのはアメリカの安全保障だ。関心がそれなら、直接交渉が利益になるかならないかの話。


ブッシュ政権の「タフ路線」で我々はなんか得した?北朝鮮がより能力を増しただけじゃん。すばらしい!




Gardiner

アメリカは間違った問題にフォーカスしすぎ。イランはまだ途中。朝鮮は今の問題だし進みつづけてる。朝鮮問題は待てない。大統領が北朝鮮問題に真剣に取り組まなきゃならない理由はシンプル。半島の軍事状況はコントロール不可能。





記事終わり。



第二次朝鮮戦争勃発  3  につづく。
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by mudaidesu | 2006-07-20 12:21 | 世界


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