ヤスクニ・リターンズ  靖国参拝と海外反応 3


ヤスクニ・リターンズ  靖国参拝と海外反応 1
ヤスクニ・リターンズ  靖国参拝と海外反応 2

のつづき。




ニューヨークタイムズの寄稿コラム。リンク先はHouston Chronicleって新聞(この新聞にも載った)。8月13日。GARY J. BASSっていうプリンストン大学の国際関係学の先生。国際安全保障、国際関係においての倫理、アメリカ外交政策、戦争犯罪法廷、人権問題等の専門家。


公式訪問に値しない日本の過去への神社

参拝を控えることによって小泉が国家に貢献する最後のチャンス


12月7日がアメリカ人が真珠湾の悪名のために覚えている日付なら、8月15日は日本人によって記憶されている苦しい終結。1945年に、日本が第二次大戦での降伏に同意した日。小泉純一郎首相の下で、しかしながら、8月15日は品位のある記念としての日であるだけでなく、彼の汚れた靖国戦争神社への訪問についての度重なる国際的なモメゴトの日になってしまった。



靖国は、日本の250万人の戦没者にとっては、東京の美しい、個人的な神道のモニュメント。靖国は、1,000人以上の日本の戦犯を称賛する。そして最も悪名高いことに、靖国は、戦時首相だった東条英機を含む、東京での連合国による戦争犯罪裁判所でA級戦犯として有罪判決を下されたトップリーダーたちを称賛する。



歴史修正主義者の拠り所として、靖国神社は新しく修繕された博物館を持つ。この博物館は、日本の軍事的な歴史の獰猛なくらいナショナリストの見方を展示してる。皇軍の満州侵略を飾りたて、南京での残虐な殺戮を中国の民間人の虐殺に触れることなくさらっと流す。小泉が神社を訪問するとき、日本の隣人たちが嫌悪と激怒で反応するのも不思議じゃない。



今年、9月に首相をやめる小泉は、彼の国に貢献する最後のチャンスがある。最後の靖国訪問をやめて、かわりに新しい追悼施設をつくる方向へ踏み込むか、A級戦犯分祀をプッシュすべき。



そうすることによって、日本のライバルの兵器個から、弾薬の重要な部分を取り除ける。中国の対日強硬論者は、共産党体制の腐敗と悪政から国民の目をそらすために、南京大虐殺を使う。2005年4月に、破壊行為を含む反日デモが中国であった。 おそらく中国の権威主義的な統治者たちの承認の下でだろう。3月に、中国の主席(コキントウ)は、小泉が靖国訪問をやめれば会談すると発表した。



平和憲法を持つ民主主義国家のリーダーが、共産党独裁政権に対して、道徳的な優位を失うなんてもの凄いこと。だけど、小泉はそれを達成しちゃった。



また小泉は、他の民主主義国家も激怒させてしまった。2005年6月に、小泉がソウルを訪問したとき、彼とノムヒョン大統領は、2時間の会談の10分以外はすべて歴史問題について争った。ブッシュ大統領と緊密な関係を誇る小泉は、アメリカと緊密にしてればアジアで孤立しても余裕だとギャンブルしたけれど、靖国神社は、中国人と韓国人にとって不愉快なのと同じくらい、アメリカ人にとっても不愉快だ。



靖国の博物館は、ヒロヒト天皇が最後まで平和を望んだけれど、譲歩しないフランクリン・ルーズベルトが日本が戦争をはじめるように企てた、と主張する。真珠湾への日本の攻撃の不都合な事実は、戦略的に必要だったと描写される。そして、神社は、法廷の判決(which stands in the direct line of fire of a painstakingly restored Zero bomber.ここんとこ意味がよくわからん)に異議を唱えたインド人の裁判官への記念碑とともに、連合国の戦争犯罪法廷を明確に否定する。


(追記。「Zero bomber」ってゼロ戦か!なんだか思い浮かばなかった(笑)。よく見る表現は「zero fighter」だから「zero bomber」だと全然イメージわかなかった。意訳すると「がんばって復元されたゼロ戦の標的みたいなかんじで東京裁判を非難してる展示がある」ってかんじかな。)



小泉が6月にワシントンを訪問する前に、ヘンリー・ハイド下院外交委員会議長が、小泉が議会訪問のすぐ後に靖国訪問をしないように要求した。



小泉にとって、方向転換は難しい。多くの日本人が、外国にどうしろこうしろと言われることに憤るのも、成長する中国に譲歩することは危険な弱さだと解釈されるのを恐れるもの理解できる。そして、表現の自由を抑圧する中国政府や、東京への火の空襲や広島・長崎への原爆による酷い犠牲を、あまりに簡単に忘れてしまうアメリカ人たちによる歴史の講釈を、日本人たちが受け入れることが難しいのもそのとおり。



それに加え、靖国訪問は、国内政治によって推進される。2001年に、長年与党の自由民主党の総裁選でのキャンペーン中、小泉は毎年靖国を訪問することを影響力のある右翼勢力に約束した。8月15日じゃなかったけれど、彼は約束を守った。 これによって、言行一致の政治家であるというイメージを固め、強力な保守派勢力の支持を勝ち取った。



現在、自民党は小泉後のリーダーレースの真っ最中。またまた、多くの候補者たちは、トップを走る安倍晋三官房長官を含めて、右側に迎合しがち。



もし小泉が靖国についてのスタンスを変えたならば、後継の人たちが同じこと(靖国参拝しないこと)をしやすい状況をつくることになる。去り行くレームダックの首相が保守勢力とぶつかる方が、新しい首相がそうなるより良い。そして、誰が次の首相になっても、靖国の重荷なしで就任したほうがずっとやりやすい。(ようするに親首相のためにこそ、靖国参拝やめた方がいいよ、と。)



多くの日本人が小泉の靖国訪問に迷惑してる。最近見つかった宮廷メモで、ヒロヒト天皇が、1978年のA級戦犯合祀のせいで靖国訪問をやめたと言ったと引用されてる。後継のアキヒト天皇は、皇位について以来、一度も靖国神社を訪れてない。



日本の野党第一党は靖国訪問に反対。小泉の連立パートナーの政党もそう。そして、協力な経済界もそう。最近の朝日新聞の世論調査によると、60%が靖国訪問反対で20%が賛成。だから、新しい靖国政策への扉は開いてる。新しい政策は国内的にも支持されるかもしれない。そしてもちろん外交的には明敏だし、道徳的にも賢い。そして、それは小泉に、ステイツマンとして記憶される最後の一つのチャンスを提供する。


http://www.chron.com/disp/story.mpl/editorial/outlook/4114242.html




かなり厳しいこと書いてるけど、ただ批判するだけでなく、小泉さんと日本のために前向きな提案もしてるし、中国の独裁政権の問題やアメリカ人の問題にちゃんと触れてるし、日本人の気持ちにも配慮してるし、フェアーだと思う。

というか、こういう文章で、「東京への火の空襲や広島・長崎への原爆による酷い犠牲を、あまりに簡単に忘れてしまうアメリカ人たちによる歴史の講釈を、日本人たちが受け入れることが難しいのもそのとおり」なんてアメリカの媒体で書く人はかなり珍しいかも。さすが、国際関係においての倫理、戦争犯罪法廷、人権問題等の専門家。






次はワシントンポストの寄稿コラム。G. John Ikenberryっていうこちらもプリンストン大学の国際関係学の先生。有名な人。ブッシュ政権批判の人。というか、国際政治の専門家のほとんどはブッシュ政権批判派だろうけど。「リアリストのリアリズム  イラク戦争反対」や「またまた a リアリスト on アメリカ外交政策」あたりで触れたけど、おそらく今現在、9割以上の専門家は反ブッシュと勝手に想像(笑)。


America's Imperial Ambition

Illusions of Empire: Defining the New American Order


この人は、フォーリン・アフェアーズでこんな論文書いてたり。



で、ワシントンポストの寄稿コラム。↓


日本の歴史問題


日本は深刻なジオポリティカル問題に直面してる。そして、それはアメリカの問題にもなってきてる。


基本的に、問題とは、日本が、軍国主義の過去について中国と韓国に残る疑念と不平を取り除くことができないでいるということ。戦後ドイツはなんとか、「歴史問題」をどうにかすることができたが、戦後日本はできなかった。その結果、降伏と平和的な国際社会への復帰の61年後になっても、日本は、成長する中国の陰で、変貌している地域で孤立し、リーダーシップを取れないでいる。



最も目立つ日本の歴史問題の徴候は、日本の首相が靖国神社(戦死者とともに14人の第二次大戦のA級戦犯が祀られている神道の聖地)に訪れるたびに毎年勃発する論争。中国と韓国では、これらの訪問が日本の戦争と帝国主義的侵略の記憶を呼び起こし、一般の人たちの抗議行動や公式の非難を引き起こし、そして、日本を守勢に立たして日本の地域での影響力とアピール力を縮小させるために簡単に利用できる道具を提供してしまう。



この問題は火曜日(太平洋戦争終結の記念日)に、小泉首相が予想された靖国神社への巡礼(日本のテレビでライブ中継された)をした時にまた見られた。



より問題をややこしくするに、アメリカは日本に強国として「normalization(正常化?普通の国化?」の道を歩むよう駆り立ててきた。実際、一部のワシントンの戦略家たちは、日本はアメリカにとっての「東の英国」(normalizedで軍事的に力のある、アメリカとともに世界中で肩を組んで立つことのできる同盟国)であることを期待してる。これは、超党派のアメリカの安保政策専門家のグループが出した、とても影響力のある2000年10月のアーミテージ・レポートのヴィジョンのエッセンスであり、日本の安保政策に関して民主党・共和党の思想家の今日支配的な見方である。



問題なのは、その「normalization」と「歴史の和解」は食い違うってこと。normalization(普通の国化?)は憲法改定と、新しいタイプの軍事的能力の獲得と、武力行使に対しての長年の平和主義的規範を破ることを必要とする。歴史の和解は、謝罪と抑制されて平和的な意図への更なるコミットメントの象徴的な態度を必要とする。これはなかなか難しいゲーム。これには、日本が今まで示してきたより啓蒙的で想像豊かな思考が絶対に必要になる。そして、アメリカは東アジアと日米同盟のヴィジョンを再考するが必要が出てくる。



壮大な皮肉が、日本自身が掘ってしまった地政学的落とし穴にある。



皮肉なことに、日本は実際に戦後のアイデンティティを定めることにすごく成功してきた。必要を美徳と変えて、日本は自分たちの「平和憲法」を大切にし、国連の下の国際の平和と安全に投資する「民間人的な」大国と自己を定義した。日本は国連に資金を提供し、人間の安全保障についての国際的なコミットメントを支援し、気前のよい政府開発援助の提供者になった。しかし、外部の世界は日本と日本の特徴的な「民間人スタイル」の大国としての役割を称賛し尊敬するけれど、隣国はそうじゃない。



小泉の任期は来月の選挙の後に終わる。そしてこれは日本とアメリカが政策を再考するときになる。



日本は、首相の靖国訪問をやめるための名誉ある方法を見つける必要がある(または隠密に靖国神社にA級戦犯の分祀をすすめるか)。しかし、これよりも、次の首相は、歴史の和解を任期の目玉商品にするよう努力すべき。日本の地域でのリーダーシップ行使の能力はこれにかかってる。シンボリックな政治を和解の戦略の一部としなければならない。そしてまた、それこそが日本の「normalization」へのアプローチでなければならない。



ドイツをモデルにすべき。ドイツは「normalize」した。しかし、ドイツは、ヨーロッパ統合と隣国との制度的協力へのコミットメントを倍増することによってnormalizeした。この二重トラックアプローチ(normalizationプラス地域統合と秩序建設)が、隣人たちを安心させてドイツの地域でのリーダーシップを強くした。



日本には、自分自身を繋げて、normalizeする際に隣人たちを安心させるための、EUのような地域組織がない。この意味で、日本の行く道はドイツのより困った状況で複雑。日本ができることは、将来の東アジアの安全保障コミュ二ティのヴィジョンを示しながら、地域外交によっての和解を追及すること。次の首相が靖国訪問を終わりにすると宣言し、中国と韓国のリーダーを東京に招待したら、輝かしい大成功になるだろう。



日本は、新しい協調的な東アジア秩序(成長する中国の役割を含めながら、日本とアメリカも中心的な役割んを担う)のパラメーター(って範囲?限界?)を定めながら、自分自身を地域のリーダーにすべきだ。もう一つの選択肢は今現在やってること・・・normalizeして、敵対行動をとって、ますます孤立していくこと。



アメリカもまた日米同盟のヴィジョンを再考する必要がある。日本をイギリスのような同盟国にするようなアーミテージ・レポートのアイディアは答えじゃない。なぜなら、それは地域の敵愾心を煽ることになるから。ワシントンは、「normalization」を地域の安全保障協力への更なるコミットメントと繋げながら、日本にドイツの路線を追求するよう励ますべき。東アジアで欠けてるのは、もちろん、平和的な地域の秩序のため、日本とそして中国と韓国による強いコミットメントを具現化する地域組織。アメリカは、そんな地域の秩序の基礎を築くのために日本とともに働くべき。



今日、中東は燃えてる。しかし、東アジアは煮えてる。東京とワシントンは、熱を冷まして、新しい材料を鍋に加えるために、今後数ヶ月を使わなければならない。


http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/08/16/AR2006081601427.html



言いたいことはよくわかるけど、日本の国内状況はこの路線と逆方向に行ってるような気がするんだよね。残念ながら。まあ、二人のプリンストンの先生方は日本人に対して優しい眼差しがあるね。もうひと頑張りしてくれニッポン、ってかんじかな。





ついでに、「ナベツネ on NYT  ヤスクニとソフトパワー」で書いたようなことを繰り返すけど、別に僕自身は海外の意見が正しいとか思ってるわけじゃない。「海外でいくら文句言われようと正しいことをやる」って主張はあっていい。

僕としても、欧米の人らから言われてもなあって気持ちあるし。特にヨーロッパ人に文句言われてもなあ、みたいな。別に、人の意見はすべてその属性に拘束される、なんてまったく思ってないけど。論の話じゃなくて、あくまで感情的な話としてね。

ただ、巷の現実認識がアレだったりするから。「批判するのは中国人と韓国人だけ」みたいなアレなノリがあったりするから(これは小泉さんのプロパガンダが成功したせい?)、いちいち海外の反応を紹介してるわけで。





最後に、やっぱ、いや~な気分になったのは加藤紘一さんち放火。なんなんだこの卑劣さ、というかこのセコさは。嫌いな人間の家に、嫌いな人間が不在のときに火をつけるって・・・国辱モノのセコさ。もう一度書くけど、加藤さんには元気だして頑張ってほしい。


加藤紘一オフィシャルサイト



ついでに、自民党にはリアリスト保守、リベラリスト保守?がいまでもそれなりにいるんだろうけど、みんなへタレちゃってるから、気合い入れてやってくれよ。




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by mudaidesu | 2006-08-18 22:51 | ニッポン


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