戦争が遺したもの
戦争が遺したもの
鶴見俊輔 小熊英二 上野千鶴子



鶴見
その武官が私に与えた任務というのは、「敵が読むのと同じ新聞をつくってくれ」ということだった。つまり、大本営発表を信じていたら、戦争ができないわけですよ、大本営海軍部の発表で「撃沈した」となっている船が、現に攻めてきたりする情勢だったわけですから。

勝つ方の側で、日本の敗戦を迎えたくない。これはもう合理的判断ではなければ、倫理的命題でもない。倫理思想を超える倫理っていうものがあるんだという、これもヤクザの仁義です(笑い)。





<<これはわかる。これが日本への、日本人への愛着なのではないか。>>


鶴見
それで彼(同僚=通信士)は、大部屋の中で、大きな声でこう言ってくるんだ。「どうもこの戦争は、負けるような気がしてしょうがないんだけれども、鶴見さんはどう思う?」って(笑)。まあ、彼は、もう老人だったから、そんなこと言っても殴られないんだよね。もちろん私は負けると思っていたけど、答えようがない。


愛国心

「誇り」---ってのはどうも好かん。優越するーーという発想が根底にあるから。
好きとか愛着ならいい。


鶴見
食料不足から革命が起こると思っていた。自分の家なんて金持ちだから略奪されると思った。共同炊事、隣組単位で住民が反乱に立ち上がって、革命が起きると。近衛文麿なんかもそれを恐れていた。けど、その予測は外れたわけ。


上野
結局、家族エゴイズムにとどまったと。


小熊
家族エゴイズムが、総力戦体制と革命の両方を成立させなかったと。そのあたりは、丸山真男さんの論文「日本におけるナショナリズム」などが描きだしている。


鶴見
あれは、むしろ計算外。むしろ、家族も解体していくようなエゴイズムでしたね。もう親戚や親兄弟で食糧の取り合い。共同性もへったくれもなかったような感じがします。


鶴見
共産党員をはじめとする政治犯を占領軍に解放してもらうのではなく、日本社会のあいだから解放しろという要求が出てくるまで待つべきだったという意見があった。日本の民主主義の将来のために。

徳田がぬやま・ひろしに、占領軍に解放してもらうか、受けるべきか。ぬやまは疲れ果ててて思考能力なし。結局、占領軍を解放軍としてしまった。

結局、解放は10月。共産党を迎えにいったのは大部分が朝鮮人だった?

羽仁五郎は共産党じゃなくて、無党派だった。そして、私が支持していた人なんだ。だから、筋道からいえば、解放すべきだったんです。その負い目はずっと感じています。

羽人・・・・「君たちは8月15日に何をしていた?」「私を解放しに来いや!」


鶴見
小林秀雄ー戦中に戦争支持の文章を書く。
・・・雑誌「近代文学」の座談会で、「僕は無知だから反省などしない。利巧な奴はたんと反省してみるがいいじゃないか。」

たとえ暴挙であれ、国家が困難な状況、個人の運命を国家の運命と共にするのが人の道。それが庶民、生活者の道。

おまえ知識人だろ。特権者だろ。


清水幾太郎・・・スラム出身、貧乏から学問だけでのしあがる。自分は庶民で、知識で金を稼ぐ、時流にあわせて原稿を書く「売文業者」だと。戦前はマルクス主義の原稿、戦中は体制支持、戦後は平和主義運動の旗手。70年代には、改憲と核武装主張。


小熊
ナショナリズムという現象にはいろいろありすぎるから、国家とか民族とかいう言葉を使って何かを表現しようとしている状態は、とりあえずすべて「ナショナリズム」と呼ぶしかない。


小熊
戦後の日本には「大儀のために死んでゆく純真な少年・少女たちを見捨てるな」という倫理があったと思うんです。戦争の記憶がある年長者たちにかなり共通していて、戦後の民主主義を裏から支えていたと思う。だから特攻隊への追悼と、ブントや全共闘への共感が、両立していたと思う。

「大儀のために・・・見捨てるな」という倫理が戦後思想の一つの核だったとすれば、それは連合赤軍事件で終わったと思うんです。あの後は、何か理念のために死ぬなどというのは無意味なことであって、「公」のためより「私」のほうが大切という考え方が広まった。


上野
それと並行して、「男の大儀には同行しない」というリブが出てきます。「公」より「私」が大事だという、「女・子ども」の思想としてのリブが。


鶴見

ーーーーその後、金と性にしか興味のない「がきデカ民主主義」、生活保守主義、

それらへの反発として小林よしのり「戦争論」、右傾化、つくる会、


「転向」 父親ー大臣

べ平連でかくまった脱走兵二人をオヤジの家に泊めた、オヤジは脱走兵と握手してるんだ。もう、生まれてから一度も自民党になんか入ったことがないような顔をしてね。


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小熊はナイスな情報提供、物事を分析するのはピカ一。
上野、突っ込み良すぎ。鋭すぎ。キレキレ。
フェミニズムのおもしろさがよくわかる。
つか、上野もっとしゃべれ。遠慮しないで突っ込め。
(本人曰く、遠慮せずガンガン行ったそうだが。)

うけたのは、和菓子とか用意してきてた上野に、小熊が「こまやかな配慮をしていただいて」
上野「私には身体化されたジェンダー規範がありますから」とか言ってるのがうけた。
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by mudaidesu | 2005-08-01 22:34 |


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