カテゴリ:世界( 31 )
アムネスティ on "military sexual slavery system"


アムネスティ・インターナショナルのサイトをボケーと見てたら、こんなもの発見。

Still Waiting After 60 years:
Justice for Survivors of Japan's Military Sexual Slavery System
http://web.amnesty.org/library/Index/ENGASA220122005

10月28日に、従軍慰安婦問題に関して報告書を出していたようです。で、長い。まだざっとしか読んでませんので中身はよくわかりません。でも、エンドノートこみで100ページ近くになるんじゃないのってくらい長い。目が痛くなる。この量をネットで一度に読むのはムリ。

アムネスティ・インターナショナル・ジャパンのページにニュースリリースみたいのがありました。

日本:賠償を求める訴えに耳を傾けようとしない
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=68
[PR]
by mudaidesu | 2005-11-24 21:55 | 世界
シャロンはどこまでやれるのか?


シャロン首相が離党表明、政権維持の賭けに打って出る  読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051121i114.htm


なんだか、イスラエルですごいことが起こってますね。細かいこと書いてる余裕ないですが、ニューヨーク・タイムズ(インターナショナル・ヘラルド・トリビューン。またですが)に、シャロンの興味深い発言が出てました。パッと見渡したかんじ、この記事にしかこの発言出てなかった。

On Sunday, after leading what is likely to be the last meeting of the current cabinet, Sharon praised Peres and said, "This is the beginning of the joint work between us."

(最後の閣議後、シャロンはシモン・ペレスを称賛し、「これは我々の共同作業のはじまりだ」と言った。)

Sharon told his old rival and ally: "I won't let you turn away from completing the missions you are destined for. I'll call on your assistance in the future."

(シャロン(77歳)は元ライバルそしてパートナーのペレス(82歳)に、「君がやらなければならないこと、やることを運命づけられてることを絶対に達成させる。決して断念させない。今後の君の助けと力が必要だ。手伝ってくれ」と言った。)

Sharon quits political party
http://www.iht.com/articles/2005/11/21/news/israel.php

シモン・ペレスは労働党で元首相。暗殺されたラビン首相の盟友でありブレーンであり後継者だった。ノーベル平和賞も一緒にもらってた。中東和平はペレスのライフワーク。そのペレスが、シャロンが作る新党に参加するかもしれないそう。

しかしながら、シャロンの↑の発言は驚き。ド右翼のイカれたじいさんってイメージだったのに(実際、シャロンの軍人時代の経歴はヤバイ)、ここ数ヶ月はすっかりリアリスト風になってしまった。それも、昔のラビンを彷彿とさせるくらい前向きで気合い入ってる。元「売国奴NO.1」のペレスにこんなこと言うなんて・・・。一応、連立政権の仲間だけど、ちょっと前には考えられなかったこと。

まだ細かいところはわからないし、シャロンの最終的なビジョンがどんなもんかもわからない。「もちろん、対パレスチナ強硬路線を堅持するシャロン氏の真意は、西岸の大規模入植地堅持による占領の既成事実化にあるとの見方は根強い。」と↑の読売の記事にあるように。ただ、このじいさん、昔言ってたこととだいぶ違うこともうすでにやってるから、まったく期待できないわけじゃない。


<純粋なるもの>への回帰願望  ぺ・ヨンジュンという思想」のコメント欄で、こんなこと↓書いた。どこがヨン様だよ!ですが。

安倍さんですが、、ほんのちょっと、ほんとにほんのちょっとだけですが、アジア外交期待してたり(笑)。スーパーポジティブ・シンキング。もし彼が「大人になれる」のなら。ニクソンになれるかも。

ニクソンは中国をボロクソ言ってたんですよね(裏でキッシンジャーが秘密交渉)。強硬派を演じてた。だから、中国と手結んでも「売国奴」みたいな批判はあまりされないですんだ。ハト派がやると国内ですごい反発起きますが、タカ派ならまだ大丈夫。イスラエルのラビンも労働党でしたが、彼は軍人として伝説的な英雄でした。ラビンの後継者ペレスは、ずっと政治家だったからラビンのように大胆なことができなかった。融和政策って国内での「正統性」がすごい必要なんですよね。


シャロンは将軍だったし、最強硬派だったこともあるから、一応「正統性」はある。とはいっても、最近では、シャロンは暗殺されるってな噂もあるようだし、すっかり「売国奴NO1」になってしまったかも。
[PR]
by mudaidesu | 2005-11-22 00:49 | 世界
テロと拷問

こんなニュースが。

米国民58%、テロ防止なら拷問も支持…米誌調査
 
【ニューヨーク=大塚隆一】米誌ニューズウィークが14日発売の最新号で伝えた世論調査によると、米国民の58%が「大きなテロ攻撃を防ぐことにつながるなら拷問を支持する」と答えた。反対は35%だった。

「米国人が敵の拷問を受ける可能性が高まるとしたらどうか」と追加で問い直すと、反対が57%に増えた。それでもなお支持する人も、36%いた。

一方、米国が拷問を行っていると伝えられたことで米国のイメージが傷ついたと考える人は73%に達した。調査は10日から2日間、1002人を対象に行われた。

(2005年11月14日18時42分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20051114i211.htm


これねえ、世論調査してもねえ。難しいよねえ。当然、拷問には反対なんだけど。「大きなテロ攻撃を防ぐことにつながるなら拷問を支持する」と答えちゃう気持ちはわからんでもないよねえ。

しかし、設問はなかなかうまいと思う。「米国人が敵の拷問を受ける可能性が高まるとしたらどうか」と「米国が拷問を行っていると伝えられたことで米国のイメージが傷ついたか」というのを一緒に聞くのはうまい。あとの二つもしっかり考慮させるってのはうまい。

アメリカドラマ 24 twenty four」でもこういう話にちょっと触れたけど、あのドラマじゃ「拷問あり」になっていた。もちろん、いままでの刑事ものドラマ・映画はアメリカ、日本、どこでも「拷問あり」なんだけど。西部警察くらいまでは、取り調べ室でぶっとばす(=拷問)ってのは当たり前だったし。ただ、最近の日本の作品じゃそういうのなくなってきてるかなあ。上品だなあ。

でも、「大きなテロ攻撃を防ぐことにつながるなら拷問を支持する」が58%賛成で、次の設問で支持が36%ってどうなんだろう?思ったよりも、支持が低いのかなとも感じた。日本で同じ調査したらどうなるだろう。

つか、アメリカは実際、拷問しまくりなんだけどね。しかもバレバレだし。

拷問についての議論は全然詳しくないんだけど、一応、外務省にある「拷問等禁止条約」のリンクでも。この条約以前の国際法にも、拷問はダメよ、という条文はあちこちに存在してました。


拷問等禁止条約
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/gomon/


というか、ニューズウィークのホームページにこの記事あった。

The Debate Over Torture
http://www.msnbc.msn.com/id/10020629/site/newsweek/

Torture's Terrible Toll  by John McCain
http://www.msnbc.msn.com/id/10019179/site/newsweek/

How Terror led America toward Torture
http://www.msnbc.msn.com/id/10020664/site/newsweek/
[PR]
by mudaidesu | 2005-11-15 20:09 | 世界
シンディ・シーハン vs ヒラリー・クリントン


ところで、「オノ・ヨーコとか」でもちょっと出した「ヴィレッジ・ボイス」のトップ記事がなにげにおもしろかった。あの有名になった「反戦かあさん」のシンディ・シーハンさんについての記事。「リアリストのリアリズム  イラク戦争反対」をちょうど書いたところだし、ちょうどいいので、ちょっとだけ紹介。


Cindy Sheehan for President:
Or Senate. The anti-war left seeks a challenger for Hillary Clinton


タイトルの訳は「シンディ・シーハンを大統領に・・・または上院へ。反戦左派、ヒラリー・クリントンへの挑戦者を物色」みたいなかんじ?かな?

ヒラリーさんが、イラク戦争についてシャキっとした姿勢を示さないから、ニューヨークの反戦派たちがイラだってるそうで。で、ニューヨークの世論調査だと、イラク戦争は間違いが64%(vs31%)だそうです。で、タカ派でいるなら、支持しねーぞ、コノヤロー、みたいな。


シーハンさんも、こんな発言をしたり、書いてるそうです。↓

Sheehan described her as "a political animal who believes she has to be a war hawk to keep up with the big boys."
ヒラリーは、大物政治家・権力者たちと対等にやってくために、(負けないようにするためには、)タカ派にならなきゃと信じてる政治屋だ、と。(よーするに、トップになるには、一般にわかりやすい「タフ」そうな主張をしないとダメだと思ってると。本音は別でも、「軟弱」だと思われたくないだけだと。)

Unless the senator pushes for pulling U.S. troops out of Iraq, Sheehan wrote, "I will resist [her presidential] candidacy with every bit of my power and strength."
もし、ヒラリーがイラクからのアメリカ軍撤退を主張しないなら、シーハンさんは、全身全霊を込めてヒラリーに抵抗する、と。

she reminded the crowd of her efforts to "call out the pro-war Democrats," explaining, "Hillary Clinton is the leader of the pack."
民主党の戦争賛成派と闘いましょう。ヒラリーはその連中のリーダーだ、と。

She then offered up a challenge, urging activists to withhold their support for the popular senator unless she comes around. "It's time to tell your elected officials, 'If you're not with us, you're against us,' " Sheehan said, "and if you're against us, we'll vote you out of office. "
ヒラリーたちが心入れ替えないなら、サポートやめましょう、と。そろそろ言うべきときだと、我々の味方か、それとも敵か、敵なら、落選させますよ、と。(この言い回しは、ブッシュさんの「with us,or with the terrorists」のパクリかな?まあ、アメリカ人はこういう言い回しが好きだけど。)

ヒラリーさんの側近曰く、いや、ヒラリーはブッシュ政権の戦争をいろいろ細かいところまで批判してるよー、と。今すぐの撤退は主張してないけど、それなりに頑張ってんだよー、と。


この記事書いた人によると、

Clinton, in many ways, looks to be playing both sides of the war debate.
ヒラリーは、戦争関連の議論では、どっちにも立てるようにしてる、と。日和見だと。


はやい話が、おまえら、というか、ヒラリー、コラ、勇気だせ、と。日和見ってんじゃねー、と。覚悟決めろ、と。たしかに、シーハンさん、なかなかのスター・クオリティ持ってますねえ。この記事では、「superstar」と表現されてますし。というか、反戦運動を生き返らせたシーハンさんは、マジで期待されてるみたい。民主党の流れを変えるかも、とまで。マジですか(笑)。ちょっと信じられませんけど。いや、シーハンさんが、選挙で勝つということじゃなくて、民主党に強いメッセージを送るという意味での期待だそうですが。けど、本人は、ニューヨークに引っ越すのはちょっと・・・らしいです。

それでも、この記事の最後に出てくる活動家は、「やっぱりワン・イシューだけじゃない」と言い、ヒラリーにプレッシャーをかけ続けると。なんだかんだ言っても、いいところが多いヒラリーに期待すると。


ちなみに、僕自身、イラクの現状についていろいろ思うところもありますが、米軍がどうすればいい、みたいな明解な考えはありません。よくテレビに出てる、どーみても反米サヨじゃない大野さんすら、米軍が引いちゃった方がいいかもと思ってたそうなんで、そうなのかもしれませんが。はっきり言って、僕にはまったく読めません。だから、最初から、やめとけ、と思ってました。
[PR]
by mudaidesu | 2005-11-05 01:23 | 世界
リアリストのリアリズム  イラク戦争反対


ダブスタ&ゼロサム」でリアリズム国際関係理論について触れましたが、また、ちょっとリアリズムとリアリストについて。リアリストのイラク戦争への考え方についてもちょっとだけ。というか、リアリストならイラク戦争反対に決まってますよ、と。

リアリズムの理論家ってユダヤ系ばかりなんだよね。名前が。初期の理論家には、ドイツからアメリカに逃げてきた人もいた。有名なのが、ハンス・モーゲンソ―(Hans Morgenthau)。この人は、大御所中の大御所。リアリズム国際関係理論の生みの親。

やっぱ、ユダヤ人としての経験が影響与えてんのかなあと。リアリストの世界観に。リアリズムは防御の思想なのかなと。世の中あまくねーぜ、と。

理論上は、どんな国家でも国家の生存のために合理的判断するので、国家の体制についての善悪の判断はしない。そして、モラルなんて考慮されてない。けど、初期のリアリスト、というか、古典派のリアリストには、それでも「モラルが大切」みたいな信念があったみたい。モーゲンソ―の論文にそういうのがあった。「善」を守るためにこそ、ナイーブな思考を止めて、冷徹にいくべし、みたいな。そーいうことを熱く語ってる異色の論文があって驚いた。古典派と違って、ネオリアリストは、そういうのもふっとばしちゃてるような気もする。


リアリズム、とくにネオリアリズムの議論ってめちゃくちゃおもしろい。とってもシンプルで。僕自身は、リアリストじゃないし、リアリストを批判する側なんだけど。それでも、おもしろい。

ジョン・マーシュマイヤー(John Mearsheimer) というネオリアリストがとくに好き。(追記:なんか、調べてみたら、日本語読みはミアシャイマーみたいね。というか、どーみても、最後がマイヤーにならんよね。いまだに英語がちゃんと発音できない、というか、テキトーに発音して、そのまま間違えて記憶するってのは、僕の中ではよくあることです。)

この人の名前もユダヤ系ですね。この人は古典派のモーゲンソーやらよりはちょっとタカ派的。offensive realismとか呼ばれてて、過去においての軍事力の重要性みたいのを語っちゃったり。けど、この人の議論はとてもシンプルでいいんですよ。(いつも、相棒のStephen Waltさんと書いてるけど。)好き嫌いは別にして文章がめちゃくちゃシンプルでいい。論理も超シンプル。英語の文章なんてどういうのがいいかさっぱりわかりませんが、この人の文章だけはすごいと思った。


で、イラク戦争ですが、この人はイラク戦争反対でした。

イラクには、封じ込め政策で十分。封じ込め政策は過去にもうまくいったし、将来もうまくいくと。フセイン相手でもそれで十分と。フセインはイカれた奴じゃない。ちゃんと封じ込め=抑止すれば大丈夫。たとえ、大量破壊兵器を持ったとしても、アメリカや同盟国を攻撃・脅迫することはない。アル・カイーダ対策の方が大事で、イラクなんかにかまってらんない。おまけに、イラク侵攻なんてやっちまったたら、後始末がちょー大変。先が読めなすぎ、んなリスクはいらん。おまけに、余計なことすると、北朝鮮とかが核開発加速しちゃうかもだし。秩序を壊すなと。つか、中東和平を先やれよ。みたいなかんじ。

Keeping Saddam in a Box  2/2 2003 The Newyork Times
An unnecessary war  Foreign Policy Jan/Feb 2003
Realism versus Neo-conservatism 2005 5月 (タイトル通り、リアリズムvsネオコン)
wilipedia John Mearsheimer


ネオリアリストの大御所のケネス・ワルツ(Kenneth Waltz、ユダヤ系ですね)も、イラクはいままでどおりの封じ込めでよい、と2003年2月のインタビューで言ってました。よーするに、ネオリアリストは国家は理性的で自己の生存のために合理的判断をする、と考えるので、フセインのイラクが、自分の国を危うくするようなこと(アメリカに対する先制攻撃、テロリストに武器供与など)はしない、と。イカれた奴があんな地域であんなに何十年も権力握れないって、とか。

まあ、ある意味、フセインを信じているというかなんというか(金正日も)。この人は、「ならず者国家」みたいな概念が嫌いなようです。国家にならず者もへったくれもない。「ならず者国家」みたいな発想はリベラルのナイーブちゃんの自己満足にすぎない。国家はみんな国家だ。みたいな。結局、フセインは国を滅ぼしたんですが。

Conversation with Kenneth N. Waltz
wikipedia Kenneth Waltz



リアリストの大御所中の大御所のジョージ・ケナン(George Kennan)もそうでした。ケナンは、冷戦勃発時のアメリカの外交戦略の理論的基礎を築いた人です。当時、ソ連を封じ込めろと主張しました。いわゆる「封じ込め政策」(containment)の生みの親。(古典派なんで、ソ連に対しての、アメリカの正しさを信じた上ででしょう。)

リアリストのケナンはクリントン政権のリベラル的外交(人権重視、人道的介入など)を批判した。ケナンは、アメリカ・NATOのコソボ介入やNATO拡大にも反対したそうで。ロシアとの関係を悪化させちゃダメだから。(セルビアとロシアは宗教上近いんで親密。だから、欧米はコソボ介入時、安保理決議を目指さなかった。)当然、イラク戦争にも反対。アル・カイーダ対策の方が大事だろと。アル・カイーダとイラクが繋がってるなんて話はアテにならんぞ、と。というか、マジで見通し不明すぎてヤバイって。戦争の目的がコロコロ変わって、ズルズルと続けちゃう危険があるぞ、とか。ケナンは、今年、101歳で亡くなりました。

George Kennan Speaks Out About Iraq
obituary The Economist
obituary The Washingtonpost
Kennan's Foreign Affairs articles
wikipedia George Kennan


リアリストの戦争反対は、「反戦」ではなく、簡単に言っちゃえば、国際の秩序・バランス=国益、を重視するから。たとえば、リアリストは台湾独立には反対だろう。台湾が民主主義、中国が権威主義ってのは関係ない。国家の中身はどうでもいい。国家体制についての善悪の判断は排除する。

僕は、へタレ・リベラルなんで、心情的にはもちろん台湾独立。というか、台湾の人たちで好きなように決めて。だけど、さすがに予測不可能なんで、ごめんよ台湾、中国がもうちょいマシな国になるまで待っておくれ、です。しかしながら、台湾の独立志向の方々は、日本の右派(親台派)に気を使っちゃってほんとかわいそうだと思う。国民党独裁政権と闘ってきたリベラル派が多かったりするだろうに。というか、民進党って名前のとおり一応基本は進歩派だよね。国内政策ではいろいろごちゃごちゃしてるようだけど(対中国についても一枚岩じゃないけど)。というか、あんまり詳しくないんだけど。


というか、日米のネオコン的なるもののせいで、リアリストが輝いて見えてします今日この頃ですよ。前は、ったく、冷てー議論してんな、コイツラ、とか思ってたのに・・・。

日本のリアリストで、公にアメリカのイラク戦争に反対したのは岡本行夫さんくらい?(岡本さんは、自衛隊派遣はしょうがない、というスタンスでしたが。)よく知らんですけど。森本敏さんは、「アメリカはおかしい」とはいいつつも、この人は自分の意見=日本政府の意見、みたいな意識で語るから、「アメリカはおかしいけど、日本はサポートしないわけにはいかない」みたなノリだった?


ところで、リアリストはイラク戦争反対だけど、実は、ベトナム戦争も反対だった。↑のマーシュマイヤー(ミアシャイマー)の「リアリズムvsネオコン」によると、リアリストでベトナム戦争に反対しなかったのはキッシンジャーだけだそう。ベトナム戦争の話になると、ニクソンのイメージが悪いですが、そもそも、ベトナムに突っ込んでいったのは民主党のリベラル系の方々。後始末をリアリスト系のニクソンがやってた(大ボケして、戦争エスカレートさせたりもしましたけど)。ニクソンの訪中なんかは、まさに、リアリストの真骨頂でしょう。

そして、マーシュマイヤー(ミアシャイマー)によると、ベトナムと同じように、キッシンジャー以外、ほとんどすべて(allmost all)のリアリストはイラク戦争に反対だと。キッシンジャーはブッシュ家とのお付き合い上、反対を言わなかったのでは?んなわけないですかねえ。でも、パパブッシュも内心では反対だったでしょうしねえ。

この「リアリズムvsネオコン」のノリは、基本的には、従来型の、ネオコン登場以前の、リアリストのリベラル批判のノリとほとんど同じ。これを読むと、あらためて、ネオコンさんってのはリベラルの突然変異なんだなあ、と思わされます。まさに異端ですね。アメリカの知的潮流の中では、すごく小さい勢力なのに、政権乗っ取っちゃった。

この論文によると、ネオコンは民主主義の魅力を過大評価して、ナショナリズムを無視していると。ネオコンは、民主主義を持ってきゃ、みんな喜ぶだろうみたいな発想。モーゲンソーなどのリアリストは、逆で、ナショナリズムの力をちゃんと考慮しているからこそ、他人の社会に突っ込んでいくな、と主張する。

これは、ベトナム戦争についてもいえる。アメリカが直面したのは地元民のナショナリズムだった。冷戦時代のアメリカは、反米=共産主義と短絡に考えていて、ナショナリズムを考慮に入れてなかったとも言われますね。イランのモサディクなんてまさにそう。ソ連がアフガニスタンで経験したのもそれですな。


で、リアリストのイラク戦争反対論をあらためてザラっとチェックしてみると、理性的なんだけど、やっぱり弱いなあ、と。やっぱり「不安を煽る」(=もし○○だったらどーすんだ!系)という相手の手法にはなかなか勝てないだろうなあと。「勝つ」とは、より多くの人をその気にさせるということね。世の中うまく行きませんねえ。


関連

またまた a リアリスト on アメリカ外交政策
<フランシス・フクヤマ>論争 リベラル ネオコン フェミ
ネオコンの懺悔!?ブッシュ批判!?by フランシス・フクヤマ
ニッポン 旧ユーゴ 虐殺 国連 その他
ダブスタ&ゼロサム
[PR]
by mudaidesu | 2005-11-05 00:44 | 世界
捕鯨問題  日本の主張はほんとに正しいの!?



前々から、ちょっと思ってたこと。気が向いたら少しづつ調べていきたい・・・かも。ただ、サイエンティフィックな細かい話はどうせ理解不能なのは確実!まあ、今回は軽く雑感を。

というか、今回は、あえて、まったくリサーチしない。世間に流れてるイメージ重視。私が受け取った印象重視。


細かい話は抜きにして、日本では、「鯨は増えている。むしろ増えすぎて、魚を食いすぎてて逆に生態系が壊れてる。魚が減って漁業にも影響してる。欧米人の主張は、鯨がかわいそう、みたいな感情的なもの。エスノセントリズム(自文化中心主義)だ。」

みたいな言説が流通してる。日本の主張は科学的根拠に基づいていて、捕鯨反対の主張は感情的、だと。そういう言説が巷では有力だよね。(調べてみたら、そんなことなかったりして・・・。ま、今回は私の印象重視だから許してね。)

こういう言説をみんな無批判に受け入れちゃってないですか?

More
[PR]
by mudaidesu | 2005-10-07 19:53 | 世界
ニッポン 旧ユーゴ 虐殺 国連 その他










Balkan Justice

The Story Behind the First International War Crimes Trial Since Nuremberg   

by Michael P. Scharf





この本は、あるボスニア・セルビア人男性に触れながら、国際人道法、ニュルンベルグ・東京の国際法廷、旧ユーゴ内戦、そして旧ユーゴの国際法廷について書かれている。

追記:この本はピューリッツァー賞にノミネートされたそう。

ある男性とは、写真の人ですが、Dusko Tadic(発音はダスコ・タジッチ?不明なのでアルファベットのままで)という名前。この人はダスティン・ホフマンに似てるので(似てるか?)欧米メディアでは「Dustin Hoffman look-alike」(ダスティン・ホフマン似)と呼ばれていた。Tadicは一番最初に旧ユーゴ法廷で裁かれた人。40数年ぶりに個人が国際的に裁かれる。歴史的な出来事。その一番最初の人。

なぜ、いきなりこの本とこのオッサン?なんですが、すごい印象に残った本なんですわ。いろんな意味で。エグイ描写が多いというのもその理由なんだけど、やはり、このDusko Tadicというオッサンがすごい気になった。人間として、そして日本人として。


なにを隠そう、いや、隠すもへったくれもないんだけど、このDusko Tadicは空手家でした。日本にも何度か来たことがあるらしい。そして、このオッサンはボスニアの田舎でカフェを経営していた。この本を読んでるとき、不謹慎にも、「ぷっ」と吹き出してしまったのだが、このカフェの名前が、なんと・・・・・・「nippon」・・・。

だからどうした?なんですけどね。ちなみに、ちょっと検索してみたら、ニューヨークタイムスの記事がありました。Tadicは空手を教えてもいたようですね。


Tadic owned the Nippon Cafe and taught karate, holding a black belt himself.

(Tadicはニッポン・カフェを経営し、空手を教えていた。彼自身、黒帯び。)

ニューヨークタイムス 5/8 1996 http://www.nytimes.com/specials/bosnia/context/0508yugo-war-crimes.html

この記事によると、Tadicは31もの犯罪で起訴されたようですね。収容所でのムスリムの人たちに対する迫害、レイプ、拷問、虐殺等で。この記事は裁判開始、約40数年ぶりの国際法廷の始動についてですが、旧ユーゴ法廷のHPによると、Tadicは裁判の結果、人道に対する罪と戦争法規違反で有罪になり、20年の禁固刑になったようです。


で、何がキツイかって、このオッサン、もともとはそんな悪い人じゃなさそうなんだよね。↑の本によると、戦争前はナイスな普通のオッサンだったらしい。経営するカフェにも、近所のムスリムの人たちが来ていたそうだし、そういう人たちと仲良くやってたようだ。ホーム・パーティなんてのもムスリムの人たちとやってたそうだし。↑のニューヨークタイムスの記事にはこう書いてある↓

The prosecutor said that as Serbian nationalism spread, Tadic joined the police, turned against his Muslim friends

(検察官によると、セルビア・ナショナリズが叫ばれるようになると、Tadicは警察官になり、ムスリムの友人たちに敵対するようになった)


こういう話って、このオッサンだけじゃないんだよね。ボスニア戦争ではあっちこっちにそういう話が出てくる。日常の実感ってそんなに弱いものなの?民族主義の幻想ってそんなにすごい魔力を持っているのかねえ。普段からイガミあってたならまだしも、日常では穏やかにやってたはずだったのに。そりゃ、いわくつきの歴史があったとしてもさあ。何十年も普通にやってたじゃんよと。

ナショナリズムの底知れぬパワーに背筋が寒くなる。


ちなみに、あの戦争は宗教戦争か民族戦争かいろいろ見解が分かれるけど、知り合いのあの戦争を体験したボスニア出身のクロアチア人は、民族戦争だと断言してた。たしかに、クロアチア人・セルビア人・ムスリムは宗教が違うだけで、人種その他は一緒なんで、なぜに宗教戦争じゃなくて民族戦争なん?ってのはややこしい話なんだけど。まあ、現地の人たちの感覚では、宗教が違う人たちってより(実際、宗教は違うけど)、ちょっと違う人たち=違う民族、って感じらしい。


で、このTadicですが、ムスリムのお友達がたくさんいたのでムスリムのことをよく知っていた。そして、ムスリムが何を嫌がるかも当然。よって、彼やその他の人たちの働く悪事(=遊び)の酷さはもう・・・。 ↑のニューヨークタイムスの記事にもマイルドな話がちょっとだけ出てるけど。ちなみに、↑の本は、「噛み切れ!噛み切れ!」ではじまる。神経図太い人はニューヨークタイムスの記事と関連させてみてください。なんのことだかわかります。(追記:エグイ話は「日本人の劣等感と優越感? & 欧米リベラル」のコメント欄でちょっとだけ「あえて」書いた。)



というか、空手の先生でカフェ・ニッポンのオッサンがそんな酷いことやっちゃったんですよー!?

大のニッポンびいきのオッサンがですよー!?


というか、旧ユーゴ戦争・法廷関連の本・論文たくさん読んだんだけど、もうめちゃくちゃ。↑のニューヨークタイムスの話なんてマイルドもなにもちょーマイルド。そういうの読んでる俺ってヘンタイかよ!?とか思った。ありえねーだろ、って話がゴロゴロゴロゴロゴロ。この世のものとは思えないような話が。つか、人間って最悪。



友人に、国連部隊としてボスニアにいたことのある人がいた。この人はスウェーデンの元軍人。彼によると、国連部隊の目の前で、ムスリムの人たち、女性や子どもやお年寄りが狩られてたそうだ。国連部隊に泣きながら助けを求める人々が、目の前で連れて行かれ、虐殺されていたそうだ。

そのときの国連部隊のマンデイトでは、そういう人たちを助けることはできなかった。で、そのミッションの最高責任者が明石康さん。日本じゃ、明石さんは英雄だけど、欧米や向こうじゃ評判悪い。というか、最低のミッションの責任者だったということで。まあ、彼の力でどうこうできたわけじゃないからかわいそうなんだけど。後に戦争犯罪者になるボスニアのリーダーたちと、やる気のない国連安保理バックに、彼もツライ思いで交渉してたんでしょう。

この戦争を扱った映画でも、そんなシーン(=国連部隊が助けを求める悲惨な人々を見捨てる)が出てきたりする。「ノーマンズ・ランド」にもあったような。題名忘れたけど、BBC(たぶん)が作ったテレビ映画観たことあるんだけど、そういうシーンがたくさん出てきた。元国連部隊の彼曰く、「まさにあんな感じだった」。悲惨すぎ。そいつ、映画観ながら泣いてたよ。マジ悲惨。

国際社会、何やってんだよ!バカヤロー!だ。そんなに国家主権が大事か!コノヤロー!だ。

もちろん、国家主権の問題はそんな単純な話じゃないんだけど。国家主権を侵して介入するときはインチキな理由つけてやるもんだし。人道的理由、と言いながらやるもんだし。

けどねえ、そういう話をミクロで知っちゃうとねえ。キツイんだよねえ。ルワンダもそうだけど。

憲法9条もイロアセちまう。9条の精神は、他所でそういうことあっても放っとけ、だから。俺が9条について迷いまくりなのはこのせい。ナイーブであまちゃんなせい。はっきり言って、9条は冷徹なリアリズムですよ。(憲法9条改定論議の整理)


ところで、旧ユーゴの辺りの風景って、なんか日本の風景に似てたりする。写真・映像でしか見たことないけど。


ちなみに、↑のニューヨークタイムスの記事に出てくる旧ユーゴ法廷の裁判官、Gabrielle Kirk McDonald さんはアメリカの黒人女性で、後に旧ユーゴ法廷の所長になりました。そして、なんと、あの「女性国際戦犯法廷」の裁判官でした。(この人も北朝鮮の工作に引っかかっちゃったのかな(笑)。安倍さんに言わせると、そうなんでしょうねえ。他にも旧ユーゴ国際法廷や国際刑事裁判所の裁判官だった人やアドバイザーだった人が女性国際戦犯法廷に関わってたようです。うーん、北朝鮮の工作はすごいっすねえ。)

女性国際戦犯法廷は旧ユーゴ・ルワンダ法廷や国際刑事裁判所と同じような理念で、ようするに国際人道法の常識でやってたってことが推測できる。国際法廷の裁判官なんて、世界中の国が同意するような人間なんだから。国連総会承認だし。もちろん旧ユーゴ・ルワンダ法廷にも問題はある。国連設置だけど、勝者の裁きでもある。勝者の犯罪は裁かれない。そして、もちろん日本は裁く側。日本人の裁判官もいた。

追記:旧ユーゴ法廷の裁判官や所長の決め方は、ややこしいので、興味のある方は↓をどうぞ。

STATUTE OF THE INTERNATIONAL TRIBUNAL



追記:そーいえば、思い出したんだけど、著者のMichael P. Scharfは国際人道法の専門家で、国際法廷設立のための安保理決議をアメリカ国務省で書いたスタッフだったような。(彼のHPによると、国務省の元アドバイザー。)
[PR]
by mudaidesu | 2005-10-03 01:50 | 世界
ネオコンの懺悔!?ブッシュ批判!?by フランシス・フクヤマ

<フランシス・フクヤマ>論争 リベラル、ネオコン、フェミ

↑で、フランシス・フクヤマがリベラルだ、ネオコンだ、保守だ、なんだかんだ書きました。「クリントンへの、あの有名な「フセイン打倒しろや!」手紙にネオコンさんたちと共に署名した一人ですし」とも書きました。

で、今、さっき、こんな文章を見つけてしまいました。

今年の8月31日、フクヤマさんが「ニューヨーク・タイムス」にこんな論考を発表しました。ところどころちょっとだけ紹介。

Isolationist Invaion (孤立主義者のイラク侵攻)

The Bush administration could instead have chosen to create a true alliance of democracies to fight the illiberal currents coming out of the Middle East. It could also have tightened economic sanctions and secured the return of arms inspectors to Iraq without going to war.

(ブッシュ政権はもっとちゃんとした民主国家連合を組めたかも。戦争せずに、経済制裁強化したり武器査察をちゃんとやれたかも。)

Are we failing in Iraq? That's still unclear. The United States can control the situation militarily as long as it chooses to remain there in force, but Americans' willingness to maintain the personnel levels necessary to stay the course is limited.

(我々はイラクで失敗してる?やる気出せば軍事的にイラクの状況をコントロールできるが、アメリカ人のやる気にも限界が・・・。)

We do not know what outcome we will face in Iraq. ・・・. There was nothing inevitable about this. There is everything to be regretted about it.

(イラクでどんな結果になるかようわからん。9.11以降、避けられない、必然的なことは何もなかった。めっちゃ後悔することだらけです。)

Isolationist Invasion  Francis Fukuyama
The New York Times 8/31, International Herald Tribune 9/1


なんだか、奥歯に物が詰まったような文章です。私の訳がアホっぽいので感じが出てませんが、実際の文章はどよ~んとした感じです。ここ数年のフクヤマさんの議論はさっぱり知らないのですが、なんかこの文章はシンボリックなものになりそうです。フクヤマさんが戦争前どういうこと言っていたかは知りません。あの「フセイン打倒しろや!」手紙に名前が出てるというだけで。

想像ですが、戦争前の、フランス・ドイツのようなリベラル・デモクラシー国家を馬鹿にするような風潮には組していなかったのではないかと。きちんとリベラル・デモクラシーの同盟は組んどけ、と思っていたのでは。リアリズムの立場からでなく、リベラルな国際主義の立場から。昔から、孤立主義者と立場は異にしていたし。そのうち、チェックしてみたいと思います。



リアリストのリアリズム イラク戦争反対
[PR]
by mudaidesu | 2005-09-15 18:22 | 世界
<フランシス・フクヤマ>論争 リベラル ネオコン フェミ

フランシス・フクヤマさんといえば、『歴史の終わり』ですね。1989年、『ナショナル・インタレスト』誌に載った「歴史の終わり?」という論文で一躍コントラバーシャルな論壇スターになりました。ちなみに、この『ナショナル・インタレスト』はネオコンの「創設者(?)」、アービング・クリストルさんの作った雑誌です。「国益」って雑誌名、かっこいいですね。

フクヤマさんは、リベラル・デモクラシーが「人類のイデオロギー上の進歩の終点」及び「人類の統治の最後の形」になるのかもしれないし、よって、リベラル・デモクラシーの勝利した今、「歴史は終わった」んですよ~、みたいなことを主張しました。(ちょっと書き直した)

このとき、フクヤマさんは、ランド研究所という共和党系のシンクタンクにいましたが、当時の、というかブッシュ政権前までは、共和党の外交政策はジェシー・ヘルムズ外交委員長に代表されるリアリスト路線が強かったので、フクヤマの議論は少し驚ろかれたようです。

共和党系の孤立主義的リアリスト(バランス・オブ・パワー系)は、クリントン政権のリベラル的外交(例:人権重視・人道的介入・国連重視など)を激しく批判してました。一方のフクヤマさんは、第三世界の「民主主義」とかについて、「歴史の終わり」と同じでヘーゲル的な歴史観(左翼・進歩的)に基づいてガンガン議論してました。ようするに、平和は「バランス・オブ・パワー」によってもたらされるのではなく、リベラル・デモクラシーが普及することによって、みたいなことを。いわゆる「デモクラティック・ピース」みたいな。というわけで、当時は、フクヤマさんの議論はリベラル国際関係理論の典型として教科書に載っていたようです。(ちょとと書き直した)

そんなフクヤマさんですが、今日ではすっかりネオコンさんと見られているようですね。クリントンへの、あの有名な「フセイン打倒しろや!」手紙にネオコンさんたちと共に署名した一人ですし。最近の議論をチェックしてないのでよくわからんですけど。まあ、↑の経緯を考えればうなずけますが。おまけに、彼はレオ・シュトラウスの弟子の弟子です。ちなみに、「歴史の終わり」の日本語への訳者がゴリゴリ保守の渡部昇一さんです。

ようするに、リベラル国際関係理論が、変異を起こしてネオコン理論になっちゃったみたいな。ネオコンってのはもともと左翼的な人が多い。↑のアービング・クリストルさんによると、自分(ネオコン)は、「liberal mugged by reality (リアリティにやられちゃったリベラル)」だと。(付け足した)



***とか書いたら、彼のブッシュ政権批判(?)見つけちゃいました。次のエントリーで。
ネオコンの懺悔!?ブッシュ批判!?by フランシス・フクヤマ


これ系の話で簡単に読めておもしろいのが↓

宮台真司 解題:ナタン・シャランスキー『民主主義論』


で、そんなフクヤマさんですが、なにげにこんな論争もしてます。

もし女性が世界政治を支配すれば・・・
Women and the Evolution of World Politics

フランシス・フクヤマ /ジョージ・メイソン大学政治学教授

「競合的な目的の一つをめぐって団結し、ヒエラルヒーにおける支配的な地位を求め、相互に攻撃的熱狂を示すという男性の傾向は、他の方向へと向かわせることはできても、決して消し去ることはできない」。

したがって、一般に男性よりも平和を好み、軍事的介入に否定的な女性たちが政治を司れば、世界の紛争は少なくなり、より協調的な秩序が誕生するかもしれない。人口動態からみても、すくなくとも民主的な先進諸国では今後政治の女性化が進んでいく可能性が高い。

だが、男性的で野蛮な無法国家の存在が今後当面はなくならないと考えられる以上、かりに男性政治家は必要でないとしても、依然男性的な政策は必要になるだろう。

「生物学は運命ではない」が、人が生物学的性格から自らを完全に切り放すのも不可能である。必要なのは、人間の本質がしばしば邪悪であることを素直に受け入れて、人間の粗野な本能を和らげるような政治、経済、社会的システムを構築することだ。

この点、社会主義や急進的なフェミニズムとは違い、「生物学的に組み込まれた本性を所与のものとみなし、それを制度、法律、規範をつうじて封じ込めようとする」民主主義と市場経済のシステムは有望である。二一世紀の世界政治が穏やかな秩序になるかどうかを占うキーワードは「女性」そして民主社会の多様性である。

フォーリン・アフェアーズ 、 『論座』 


フクヤマの愚かな議論
Fukuyama's Follies: So What if Women Ruled the World?


1.男だって戦争は好きじゃない
  Men Hate War Too
  バーバラ・エーレンリック (作家)

2.フクヤマの議論は前提から間違っている
  Perilous Positions
  ブライアン・ファーガソン (ラトガーズ大学人類学准教授)

「遺伝的に攻撃的な性質を持つ男性に代わって、より穏やかで争いを好まない性質を持つ女性が政治に参加し、その比重が増していけば、国際関係はより平和になる」。フランシス・フクヤマは、論文「もし女性が世界政治を支配すれば」でこう主張した。

フクヤマは、男性(オス)の攻撃性は遺伝子に組み込まれているとし、その例として、オランダやタンザニアで見られたオスチンパンジー同士の残虐な闘いや、数万年前からあったとみられる男性による大量虐殺を挙げる。しかも、環境や文化をつうじて、遺伝子に刻まれた男性の攻撃的な性格を克服する試みには限界があると主張した。

人類学、そして広く社会科学全般が、性、民族、人種の普遍性を基盤に、思想や理論を組み立ててきただけに、フクヤマの指摘は大きな波紋をよんだ。以下は、文化や環境から人間が受ける影響、フェミニズム、そして人類学の立場からのフクヤマ論文に対する重厚な反論

フォーリン・アフェアーズ


これ以外にも、あっちこっちでぶった切られてたそうな。

朝日新聞の船橋洋一さんによる、この論争の簡単な紹介↓。

「女の平和」を提唱するフランシス・フクヤマが浴びた集中砲火  

男性のほうが女性より攻撃的で、権力と地位への欲望が強い。こうしたムキムキマンが社会を牛耳っていることが戦争を生みやすくしている。世界を平和にするには、まずは人間(男性)の獣性をありのまま認めることだ。そして、非攻撃的な女性の抑止力をもっともっと使わなければならない。女性の政治参加を促し、女性に指導的な立場に立ってもらうことだ。

More
[PR]
by mudaidesu | 2005-09-15 15:32 | 世界
小泉応援団長 日本ネオリベ保守重鎮 古森義久のレイシズム!?




小泉竹中堀江米国市場原理弱肉強食黒人貧困嗚呼絶望憂鬱

↑で、アメリカ、黒人の境遇、小泉・竹中・堀江、ネオリベ等々について書きましたが、今、さっき、ぶっ飛んでしまいました。嫌なものは連続して見てしまうのでしょうか。


成城トランスカレッジ!経由で鬼のような文章を発見してしまいました。酷すぎます。大物のものです。産経新聞ワシントン駐在編集特別委員・論説委員、古森義久さんの文章です。日本のイラク戦争大賛成・親米反中保守の重鎮です。大物です。本もたくさん売れます。ついでに、一部の人たちの間では下の発言が話題になってます。たしかにこれもすごいですね。


【古森義久の眼】予測ミスの“戦犯”追及 
 
米国ではイラク戦争の見通しを間違えた(=長期化・泥沼化予想)言論人や学者、 政治家の責任を追及する作業が始まった。予測の外れでは だれが一番ひどいミスを犯したか、そのランクの高い人たち の名を「恥辱の殿堂」に記念として記録しようという動きまで が起きている。
(・・・)
日本でも朝日新聞などイラク戦争の展望について「長期化」「泥沼化」をしきりと 断言する向きが多かった。 そのミスの責任の所在を明確にすることは、今後の国の 対外政策の評価でもきわめて重要となるだろう。
                       
(産経新聞 2003年4月12日)



で、その古森さんの鬼のような文章ですが、かっちょわるいけど、おっちょこちょいなだけだった上のなんかより、こっちのははるかに深刻で根が深いですね。どうぞ。↓


ハリケーン被災であらわになった米国の人種問題
~なぜ、特定の人種だけが略奪するのか~


この略奪にはさらに重要な特徴があった。こうした略奪を働く人間たちのほぼ100パーセントが黒人なのである。テレビの映像や新聞の写真でみる限り、略奪者はみなアフリカ系市民、つまり黒人だった。この事実は現地からの他の一部の報道でも裏づけられていた。いったいなぜみな黒人なのか。南部のニューオーリンズ市は総人口48万のうち67パーセントが黒人である。だから住民の多数派は黒人なのだが、それにしても略奪者は100パーセント黒人なのである。(…)大手テレビは映像で黒人の略奪の光景を流しても(…)その行為の実行者たちがほぼすべて単一の人種に限られることは伝えないのだ。

(・・・)リムボウ氏はびっくりするほど大胆な考察を一日三時間もの自分のラジオ番組で述べていた。

「ニューオーリンズでここ数日、起きたことは数世代にもわたるエンタイトルメント(社会福祉の受給権利)の失敗の現象なのだ。自分の努力よりも政府からの福祉の受給に依存する心理が『自分たちは社会で恵まれない層だから、社会や政府から特別の恩恵を受けることのできる特権がある』という潜在意識を生んできた結果なのだ」

つまり黒人は政府への依存が強すぎて、いざという事態には他者の財産をも入手してよいとみなすような独特の心理を抱きがちだ、と示唆しているのである。その示唆の背後には社会福祉を拡大してきたリベラル派の「大きな政府」への辛辣な批判がある。

全文↓
http://nikkeibp.jp/sj2005/column/i/06/index.html
http://nikkeibp.jp/sj2005/column/i/06/02.html



ありえないっすよ~。この文章。


日経さ~ん・・・。




古森さんは、巧みに他人の発言を引用して解釈してるだけですが、ほとんどそれに同意してるようですね。ま、ネオリベ・ネオコン日本人の地が出てますね。いや、この人だけの地ですかね。そうだとほんとにいいんですけど。そうであってほしいんですけど・・・。

略奪者は100%黒人だ!略奪やってるのは黒人だけだということを伝えろ、みたいのはアホすぎますし、成城トランスカレッジ!さんが的確に問題点を述べてます。まったく、どうしようもないですね。というか、ほんとに黒人がお嫌いなようですね。じゃなきゃ、こんな文章書けませんよ。中学生ですか。この偏見大爆発っぷりは。


追記:constructive monologue によると、この記事の要旨が「緯度経度被災で露呈する人種の違い」という題で9月4日の産経新聞にも載ったそうである。

この方の評価も非常に厳しい。古森さんの論理展開は、「オリエンタリズムレイシズムが入り混じったもの」であり、彼の言説は「古典的」な「優生学あるいはアパルトヘイトに見られるような人種を本質主義的に理解する思考」の「パターンを忠実に従った『天然記念物』級」だと。

そして、古森さんの、

アフリカ系住民に対する眼差しは、植民地主義的な色彩に染められている。そしてこうした眼差しは、容易に中国や朝鮮に向けられることは、これまでの古森の議論からも明らかである。自らのレイシズムを公言してしまうという逆説的帰結をもたらしたのが今回の古森の署名記事であり、それを堂々と掲載する『産経新聞』は、ある意味で社会学的に「貴重な資料」の供給源となっている。

constructive monologue 「名誉白人の眼差し」

名誉白人ですか・・・、まったく同じこと思いましたけど、臆病者の私は、そこまではなかなか言い切れなかったです。オリエンタリズムはまだしも、レイシズムに優生学にアパルヘイトとまで言い切り古森さんを断罪する姿勢はアッパレです。私は題名の「レイシズム」も「!?」と「?」をつけてしまうへタレぶりです。これと同じ眼差しを、古森さんは中国や朝鮮にも向けている、というのも、あえて書かなかった腰抜けの私です。


で、この人、何年ワシントンDCに住んでるんでしょう?ずっと住んでますよね。DCの75%くらいは悲惨な黒人居住区です。何を感じているんですか?感じることは、「この怠け者め!自業自得だ!リベラル・左翼が甘やかしたせいだ!」ですか?DCの「勝ち組スーパーエリート」の人々と付き合ってる古森さん・・・。

というか、もう絶望的です。

しゃれになってないですよ。

「小さな政府」「小さな政府」「小さな政府」「小さな政府」・・・・と唱えてますね、古森さん。黒人たちの行いが悪いのは、アメリカが「大きな政府」で黒人を甘やかしたからですか・・・・・・。


「リベラル派の大きな政府」が「社会福祉を拡大してきて」黒人を甘やかしたからですか・・・・・。



ワッハッハッハッハッハッハッハッハ・・・・・・・・・。



・・・。




アンタ、DCで何を見てんだよ!



15分歩けば、危険で、汚くて、ボロくて、臭くて、荒んでて、悲惨な黒人居住地行けるだろ!

黒人たちがどんなに悲惨な境遇で生きてるか、自分の目ん玉で見れるだろ!

俺には、すっかり見捨てられた人々に見えるんですけど。古森さんには、手厚すぎる福祉政策で甘やかされてるように見えるんですか・・・。いや~、こりゃ、目からウロコですな・・・。そういう風にも見えるんですか・・・。

つか、ソマリアなんですけど。先進諸国に生きる我々が見捨てた、アフリカ負け組諸国の都市部みたいに見えるんですけど・・・。「勝ち組スーパーエリート」とお友達の「勝ち組スーパーエリート」の古森さんが、そんな下層民の居住地に足を踏み入れるわけないって?

ちなみに、DCの北西地域はアメリカでも有数の「勝ち組エリア」です。めっちゃ安全です。日本より安心できたりします。このエリアに、6000人の弁護士が住んでるとか。


ま、古森さんが小泉圧勝に大喜びするのは、まさに当然のことですな。no doubt。


私は違う視点から文句垂れましたが、成城トランスカレッジ!さんの指摘には完全に同意します。あちらの「『Tsunami Song』についてのエントリー」もすごい傑作です。


なんだか、やたらと口が悪くなってしまうここ数日です。

ちなみに、古森さんを「小泉応援団長」としましたが、ネオリベ路線においては、です。古森さんは小泉さんの歴史観は嫌いでしょうね。ほんとうにお気に入りは安倍晋三さんでしょう。



[PR]
by mudaidesu | 2005-09-13 12:20 | 世界


メインページ