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イラク人質問題 9  自衛隊撤退


いきなりだけど、僕自身、自衛隊は撤退できないと思った。対アメリカについてをまったく無視しても。「アメリカさまのご意向」という変数を抜きに考えても、自衛隊撤退はちょっとなあだった。だから、余計にあの三人に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

もし僕が政策判断する立場にいたら、ようするに首相だったら、撤退という判断は絶対にできなかった。まあ、首相じゃないんだから、もっと柔軟に考えてもいいんでしょうけど。でも、首相にアドバイスする立場でも、撤退はムリと言っただろう。

ほんとにへタレでごめんなさい。


他に何も浮かばなかった。僕のスッカラカンな頭じゃなんにも思いつかない。簡単に自分の答えを出さずいろいろ考えたんだけど、いくら考えても思いつかなかった。でも、もし万が一、世論が大沸騰して首相が撤退を決断なんてことになっても、反対はしなかっただろう。自分から撤退は主張する気にはならなかったけど、撤退全然OKと思ってた。いや、僕が反対しても賛成してもどうなるわけじゃないんですけどね。


一応撤退はできないと思ってても、話聞いてムカツクのは「テロに屈するわけにはいかない」とかしゃーしゃーとしたり顔でいったりする人の方だったんだよね。「撤退しろ」という人の方がはるかに共感できた。悩みながら苦しそうに「撤退はできない」という人には共感したけど。

僕の撤退反対も本質的には「将来のために、他の日本人その他のために(この前置きがとても重要)、テロに屈するわけにはいかない」なんだけど、絶対に「テロに屈するわけにはいかない」という表現は使わなかった。絶対に使いたくなかった。これほど安っぽくて浅はかな言葉はない。というか、チープな言葉になっちまった。思考停止の象徴のような言葉になっちまった。



これは、9条問題でもそう。僕自身迷いまくってグラグラ揺れまくってるけど、どっちかというと(現状の選択肢では民主党的な)改憲派のような気がする。でもね、自民党路線(主にあっち系)や巷の素朴な「攻めれたらどーすんだよ!」「中国がどうたらこうたら」系(今の改憲の論点はそこじゃないよ。論点は二つ。国連安保理決議なしの武力行使(=アメリカの戦争)への関わり方と国連安保理決議ありの武力行使(=集団安全保障)への関わり方)や「外交は武力を背景に!俺たちは損してる!」系の改憲派と比べると、ずっと共感するのは護憲派の方。ここでちょっと書いたけど、改憲派の重鎮の小林節の気持ちがほんとによくわかる。おかしな改憲論に出会うたびに、僕の改憲への意欲が萎える。

最近、特にイラク戦争後、ますますグラグラユラユラしまくり。というか、6、7年前は躊躇なく改憲!とか思ってたような気がする。それから、だいぶ護憲よりにシフトしてきてる。流行に逆行。それに、ここのところの小泉さん周辺の改憲戦略は、靖国その他で中韓とわざとモメて改憲の世論構築をしながらのような気がするので、こういうあやうい「不安を煽る」戦略には乗れない。ついでに、アジアで孤立しているという批判はあまり意味がない。わざと孤立しようとしてるだろうから。

僕は一応、日本人を信頼してるから、最近のファナティックなナショナリズムや「つくる会」みたいのが盛り上がれば盛り上がるほど、改憲への世間の不安感が高まると信じてる。あっち系の人たちは改憲のイメージ悪化に寄与しちゃうと思う(その点、西村真悟の存在は改憲のイメージを著しく悪くしてたので、彼の排除で得するのは改憲派)。実際、僕の中ではそう。改憲派がまともな人たちばかりで、あっち系の人が全然目立たない状況だったら、それこそが護憲派にとっては脅威だと思う。

で、おそらく、改憲の国民投票ではノンに入れると思う。もちろん内容次第だけど、国民投票にかけられる案は僕が賛成可能なものになると思う。で、実際に国民投票やるなら確実に過半数とれると確信してるだろうし、五分五分の世論じゃ国民投票はやらないと思う。そういう状況なら、改憲が決定的な状況なら、反対がいるということを示すためにもノン(たった一票ですけど)。乙女じゃないけど、僕の心は複雑です。

そういえば、videonews.comで、右翼(?)の小室直樹(宮台真司の師匠で丸山真男の弟子)がリアリストぶりを発揮してた。小室さんは日本国憲法や9条を自著ではボロクソ言ってる。この人は近代主義者なんで、その立場からの批判。だから、すごくまとも。その小室さんが、日本人はまだ憲法作れる民度じゃないし、9条あった方が得だから、アメリカさんには「改憲しようとがんばってるんですが、なかなか世論が乗ってこなくて上手くいきません」みたいなことを言いつつ今のままでいいよ、みたいなことを言ってた。保守本流的な議論。



話だいぶ飛んだけど、自衛隊撤退の話にもどると、あーあ、だから、(二年前の)選挙で民主党が勝つべきだったんだよ!とつくづく思った。民主党でも自衛隊派遣したかもしれないけど、それならそれでもっともっと議論が起こっただろうし、いろいろなものが見えてきたと思う。

やっぱりね、政権が自分でやった政策を変えるのはめちゃくちゃ難しい。そうそう自己否定はできるもんじゃない。民主主義がなかなかイケてるシステムなのは、政権交代が可能だから。政策をドラスティックに変えることが可能だから。(ブッシュの一期目のABC(Anything But Clinton とにかくクリントンと違うことをやる)みたいなはアホだけど。)

おまけに、今の日米関係みたいに政権同士の信頼関係のもとでの政策ならとくにそう。政権変えなきゃ、こういう政策は変えられない。悲しいけどそれが現実。せめて、何十万人が官邸・国会取り囲むくらいのことが起きなきゃ。


でもね、駅でやってた、自衛隊撤退署名はした。用事があって行けなかったけど、首相官邸前のデモにも行こうと思った。矛盾してんだけど。

でも、フィリピンがサクっと撤退しちゃったのを見て、ありゃ?と思った。もしかして、撤退可能だった?とか思ったりもした。イラクや中東で働いてるフィリピン人が多いっていう日本とは違う条件もあったけど。おまけに、フィリピンでは世論が撤退支持だったし。というか、フィリピン世論はちゃんと宮台真司(「イラク人質問題 8  動揺」)が言うような他者の境遇への想像力を発揮した。

フィリピンってイスラム系の反政府組織と年がら年中モメてるから、テロとはなんぞやについてのフィリピン人の皮膚感覚は日本人より優れてるはず。テロに関してナイーブな考えは持ってない。フィリピン政府なんてゴリゴリ・リアリストで、めちゃくちゃ冷徹に政策決めてるはず。

となると、テロにうといくせに、知ったかで「テロに屈するな!」とか叫ぶ日本人の言葉がみょーに空疎に感じてくる。ノンキだなあと。なんかそういうのが嫌なんで、自衛隊撤退反対でも、「テロに屈するわけにはいかない!」みたいなありがちな表現は絶対に使わなかった僕だけど、結局中身はたいしてかわらず、ノンキな一人なのかも。
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by mudaidesu | 2005-12-26 22:52 | イラク人質事件
西尾さんのプチ懺悔!?


西尾さんがこんなこと言ってます。

故坂本多加男さんの「歴史は『物語り』だ」という言葉について西尾さんが簡単に語ってます。それぞれの国家はそれぞれの物語を持ち、そこに歴史認識が成り立つ、というのは「つくる会」にとってありがたい、便利な思想でしたと。けど、それはあぶない思想だと。あぶないなと思ったと。

↓転載できないんで、全文は西尾さんのページで。

憂国忌シンポジウム(六) 西尾幹二のインターネット目録


名誉会長さん、いまさら何言ってんですか?なんですが、やっぱりこの人は「ベタ」じゃなくて、『あえて』の人のような気がする。このことについてはまたそのうちに。




話変わって、読んでないけど、

『諸君!』2月号 目次

もし中国(胡錦濤)にああ言われたら──こう言い返せ」みたいのはお約束なんだけど、去年の『正論』6月号を思いだした。「サヨクを論破するための理論武装入門(by産経新聞編集委員)」が表紙で目立ってた。

キーワードは「スッキリ」。スッキリしたい。言われてムカツクから、言い返してスッキリしたい

ちなみに、『正論』6月号は買いました。なんてったって、日本の知性を代表する大手新聞社の「知を楽しむ人のためのオピニオン誌」ですから。イラク人質叩き総集編ですから。

「知を楽しむ人のためのオピニオン誌・正論」6月号




で、『諸君!』ですが、こんな見出しも発見。

中国に物言えぬ財界人よ 「社益」を排し「国益」を直視せよ

なんか、文藝春秋に同じこと言いたいよ。「『社益』を排し 『国益』を直視せよ」と。「『社益』のために、俗情に媚びるな。日本を代表する出版社の誇りはどうした」と。いや、売れるのはわかるんだけど。というか、僕はそれでいいと思うし。別に文藝春秋が「国益」考える必要なんてないと思うし。文藝春秋がどのように儲けようと勝手、とまで言ったら極論だけど。なんだかなあと思っただけだから。

でも、この中嶋嶺雄(国際教養大学学長)さんってこういう人だったのかねえ。彼の昔の中国本(中公新書 1982年)を読んだ覚えがあるんだけど、冷静で結構まともだったような気がしたんだけどねえ(あんまり覚えてないけど)。時代ですかねえ。なんか、最近は古森義久さんと中国叩き本とか出してるし。すっかりバッシング・マーケットに魂を売っちゃったような。



追記: 「靖国問題について」で書いたことを転載としとく。


というか、ちらほらと書いてきたんですが、保守論壇には、中韓や日本の左派に対する憎悪を撒き散らすことをほどほどにしてほしいです。そういうのが「売れる」のでしょうけど、大衆の何かへの憎悪を煽るようなことは、本来、保守主義者こそが、一番嫌うべきことでしょう。そうやって(何かへの憎悪を煽り)大衆を煽動するのは左翼の専売特許であると。保守主義者はそんな下品なまねはしないと。子どもの言い訳、屁理屈のようなセコい正当化も、いいかげんほどほどにしてほしいです。ディベート対策もいいでしょうけど、そんなのばっかりじゃ、魂を揺さぶることは不可能です。

日本の心と知性を代表する保守論壇の方々には、他者への愛情や寛容の精神のあふれる言葉・文章で、靖国論・日本論を語ってほしいです。そういうのが、我々が誇る日本人の美徳でしょう。保守論壇こそがその心・美徳を継承し体現すべきでしょう。保守論壇が育てるべきなのは、憎しみにかられた日本人ではなく、他者への寛容と慈愛の心を持った日本人のはずでしょう。憎しみの心は日本人の文化でも伝統でも「誇り」でもない。寛容の精神こそが日本人の文化であり伝統であり「誇り」のはずでしょう。他者への憎悪を煽るのをやめ、日本への愛を語ってくれ。
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by mudaidesu | 2005-12-26 21:48 | ナショナリズム
国連と貧乏国とインド人  極妻とノブオと大島渚と藤竜也


国連平和維持活動等で一番、人を出してるのが南アジアの三国。

Monthly Summary of Contributors of Military & Civilian Police Personnel  UN

↑のページの「ranking(2005年11月)」を見るとわかるけど、人を出してるのは貧乏な国ばっか。南アジアやヨルダンやナイジェリアやエチオピアやネパールとか。

僕の知ってたインド人とかパキスタン人とかって、国連の話が好きなんだよね。というか、紛争解決や集団安全保障や平和維持活動や平和構築の話を真剣に議論する。やっぱ、当事者意識があるんだよね。そいつらはエリートもエリートで兵士を送り出す側で送られる側には絶対ならないけど。それでもノブレス・オブリージュを感じた。表現が適切じゃないかも(笑)。

インド人男性たちのウケる話があって、知り合いにたくさんインド人がいたんだけど、こいつら最高。1人の家に遊びに行ったら、地獄絵図を目撃。5人のインド人の男が部屋暗くして、パンツ一丁で、エロビを見ながら、ビール飲んで、素手でカレー食ってた。惚れそうになった。

こいつら、20前後のくせして、おっさんみたいなビールっ腹。みんなエリートの息子。親父が国連職員だったり、インドの国連代表部の人だったり、どっかのインド大使だったり、大学の先生だったり。あんな腹してるくせに、テニスが上手かったり。で、こいつらの作るカレーがまた美味い。

で、こいつらにもちゃんとインド人の彼女がいるんだけど、テニスするときは、女たちは脇でおしゃべりしてるだけなの。テニスやらないの。いやー、カルチャー・ショック。


ところで、GYAOで 「極道の妻たち」の一作目を観たんだけど、なんか感動した。なぜかって、「ビーバップ・ハイスクール」でノブオ役だった俳優が出てたから。城東の山田役(たぶん)の人もいた・・・。同じような演技だった。ついでに清水宏次郎まで出てた。

この作品は前にも観た記憶があるけど、やっぱ岩下志麻いいよ。かたせ梨乃はウザイけど。


ついでに、やくざもの繋がりで「ドンを撃った男」も観た。 もうGYAOでは観れないけど。こんな映画。これVシネのようだけど良かった。おもしろい。実在した人をモデルにしてるようだけど。

というか、極妻もこの映画もそうなんだけど、数十年前はやくざネタがテレビで流れてたの?なんか、映画ではニュースやワイドショーが抗争について詳しく報道してんだけど、最近はそういうのないよね?映画ではやくざが記者会見とかやっちゃってるし。昔は、何々組がどうしたこうしたってのがお茶の間のネタになってたの?


ついでだけど、大島渚の「愛のコリーダ」もGYAOで観れますよ。阿部定の話。無修正じゃなくてボカシ入りまくりだけど。ほんとニッポンはへタレ。映画に対する冒涜。僕はちゃんと修正してないのを何度か観ましたよ。つか、これフランス映画と言えるし。ほんとニッポンはへタレ。せっかく藤竜也が全開でビンビン頑張ってんのに。ニッポン情けなさすぎ。

この映画はすごい好き。すごいですよ。なにがすごいって、エロビと同じ描写なのに、全然エロビじゃない。エロいんだけど、エロさが違う。陳腐な言い方すれば、芸術。絵は全然美しくないんだけど、なんか美しい。ほんとすごい。大島万歳!

この作品ほどダルイ気分になれる映画はない。なにもかもどうでもよくなる。究極の堕落に憧れる。
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by mudaidesu | 2005-12-23 01:43 | 世界
正義論/自由論 寛容の時代へ


土屋恵一郎


正義と自由の問題。異なる利害と権利、価値観をもつ者たちが、どのようにして共に社会を構成し、共に生きることができるのか。一つの中心ではなく、多くの中心をもった、多焦点の社会で、複数の価値観や、人間の物語が語られる社会とは、いかなる社会であるのか。

ジョン・ロールズの正義論をとりあげることになるのは、アメリカ自身が、正義と自由の実験場所であり、思想そのものであったから。多数の人種、文化、宗教、性差別、そのすべての問題について、アメリカはまともに答えを出さなければならなかった。

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by mudaidesu | 2005-12-23 01:16 |
マリリン・マンソン  so american














GYAOで、マリリン・マンソンのライブ「Guns, God and Government World Tour」見た。無料だよ。日本公演の映像もちょっぴりあるよ。

ユーリーズミックスの「スウィート・ドリームス」のカバーがカッコよかった。




たまにかっこいい曲があるとは思ってたけど、真面目にこの人らを聴いたりはしなかった。当時のアメリカのバンドはスマッシング・パンプキンズしか真面目に聴かなかったし。マリリン・マンソンはマイケル・ムーアの「ボーリング・フォー・コロンバイン」でなかなか鋭いコメントしてて驚いた。自伝が出てるから読んでみたい。評判もいい。↑の写真は自伝の表紙。


マリリン・マンソンって音もそうだけど、存在自体がなんか「アメリカ」ってかんじがする。存在というかキャラは好きなんだけど。もちろん、彼らは「アンチ・アメリカ」なんだけど、アンチのスタイルすら、なんか「アメリカ」ってかんじがする。

ある意味、アメリカのパラサイト的存在。表のアメリカがあるからこそのアンチ。もちろんプロ(pro)があるからこそアンチが存在するのは当然なんだけど。彼ら自身もアメリカを体現してる。なんだかんだ言っても、メインストリームの一種のようななかんじ。いわゆる亜種。

当然、スマパンの方がはるかにメインストリームなんだけど、僕の中ではマリリン・マンソンの方がアメリカアメリカしてて、非主流でアジア人である僕には遠い世界に感じた。「アンチ・アメリカ」ゆえにアメリカから自由になれない。アメリカにがんじがらめにされてる。本人たちはのぞむところだろうけど。

マリリン・マンソンがアメリカアメリカしてるとかんじたもう一つの理由は、彼らがアメリカの田舎のある部分を体現してると思ったから。カントリー音楽とか、アメリカン・ロック(なんだそれ?)が体現する、明るく元気なメインのアメリカ田舎も遠い世界だけど、マリリン・マンソンが体現する、暗く鬱屈したサブのアメリカ田舎もよそ者にはなんかなじめない世界。のような気がする。あくまでイメージで。


というか、そもそもマリリン・マンソンってどこ出身?それも知らずに田舎を体現とかいいかげんなこと言っちゃってるけど。マリリン・マンソンの売りである歌詞の内容もよく知らずにテキトーなこと言ってるけど。

で、ちょっと調べたらフロリダ出身みたいね・・・。フロリダかあ・・・、なんかイメージが違うなあ・・・。まあ、フロリダにもアメリカアメリカした田舎があるということにしましょう(笑)。というか、アメリカの隅っこのフロリダ出身ながらもあえてアメリカを背負ってる、重荷を、十字架をしょっている、ということにしときましょう。

マリリン・マンソンが「antichrist superstar」(アンチ・キリスト・スーパースター)とともに有名になっていく時期に、ちょうどアメリカは保守化・宗教化が酷くなっていったような気がする。相互補完するような役割だったのかな。どちらが反動なんだかわからないけど。


ところで、マリリン・マンソン系のルックス・ファッションはゴシック調だけど、アメリカでおもしろい現象を見つけた。田舎の大学遊びに行ったら、日本語クラスにゴシック系の人たちがいたんだよね。女の子が多かったけど。そもそも田舎で(都会でもかも)、日本「語」に興味ある奴なんて変わり者か、アニメ好きか、アジア女性好きか(すげー偏見!)、やたら計算高い秀才君くらい。知り合いが日本語クラスのアシスタントしてたんでその人たちと話したんだけど、結果、変わり者+アニメ好きだった。
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by mudaidesu | 2005-12-19 22:52 | 音楽
イラク人質問題 8  動揺

ここで触れた、人質になっていたドイツ人女性が解放されたようです。

イラクで拉致のドイツ人女性、無事解放 ドイツ政府発表  朝日新聞


ここで触れたアメリカ人は、ここでは殺されたとの報道でしたが、なんか射殺する映像を武装勢力側が出したみたい。

Iraq group posts video of U.S. hostage's 'killing'  Reuters



で、話は変わりますが、イラク人質バッシングは、人生で最も衝撃を受けた出来事の一つだった。人質事件が起きたときどう感じたか。とにかく、衝撃だった。やっぱり、日本人があんなことになると衝撃だった。誰が拉致されても殺されても悲しい話なんだが、かわいそうとは思うけど、正直な話、動揺はしない。

日本人が、となると、動揺した。これは驚き。人質事件のようなことが起こったことにもそれなりに驚いたが、自分が動揺したこと自体にびっくりした。やっぱり自分は日本人なんだなあと。同胞がああいうことになると、感じ方も変わるんだなあと。

バッシングしちゃった人たちも、ある意味、動揺したのかもしれない。そして、その動揺を自分なりに整理する方法としてバッシングを選んでしまったのかもしれない。被害者を他者化する、という方法で。自分とは違う、と切り離すという方法で。自分の中であの出来事を整理しようとしたのかもしれない。動揺してしまい、それをなんとかしようと、自分の中でとりあえず答えを出そうとした結果なのかもしれない。


あと、もう一つ僕が動揺した理由は、やっぱ、知り合いとかにNGOの人や、そういう道に進もうとしてる人がいたからかな。ジャーナリスト志望の人や元ジャーナリストの人もいた。元軍人で人権NGOやら援助NGO志望の人たちもいた。

(そういえば、元シオラレオネ(いつになっても国名を覚えられない)政府軍大佐がクラスメートにいたのを思い出した。あんまり細かい話はしなかったけど、頭キレキレだしとてもきちんとしたオッサンでした。こわい話が出てくんじゃないかとビビって、内戦の話はあまり聞けなかった・・・。シオラレオネといえば、国連平和維持軍数百名(ザンビア兵とケニア兵と国連職員)が反政府軍によって拘束されたことがありました。全員無事釈放されましたが。他の事件で殺された国連関係者はたくさんいる。)


話飛んだけど、なんかすごくシンパシーを抱いたんだよね。あの三人に。これは、バッシング当時、宮台真司が何度も何度も言っていたことに関係するかもしれない。↓


現地NGO活動について「今回行かなかったが自分もいずれ行く」「自分も行きたい」 「周りに行っている人が沢山いる」とのコモンセンス(共通感覚)さえあれば、「費用を 払え」は出て来ない。

逆に言えば「費用を払え」大合唱は、危険を顧みぬNGO活動に対し「明日は我が身」 と連なるコモンセンスを持ち合わせるかわりに、「奇人扱い」して切り離すだけの、国辱 的な民度の低さをさらけ出す。

元人質のうち二人が、同じ日にまず弁護士会館で日本人記者相手に、ついで外人記者ク ラブで外国人記者相手に記者会見した。二人の発言は同じだったが、記者の雰囲気が対照 的なのだ。

日本の国辱記者どもは「迷惑をどう思うのか」「謝る気はないのか」と頭を下げさせよ うとする。外国人記者たちは「よく帰ってきた」「ご苦労さん」という雰囲気に満ち、「明日は我が身」の想像力を示す。

日本の記者どもの国辱ぶりは、NGOで人命救援活動をする者を「奇人」としてカット アウトする民度の低さに留まらない。現地で記者活動をする者をさえ「賤民」としてカッ トアウトする大手メディアの堕落ぶりも同じだ。

・・・

「マスコミは第四の権力」(立法・行政・司法のチェック&バランス機関)が聞いて呆 れる。この「政府ケツ舐めメディア」ぶりを証明するのが、現地入りして取材する者らへ の「立場可換の想像力(同感可能性)の不在」という異常現象だ。

各国記者に散々尋ねられた。日本の記者どもの一種異様な雰囲気、政府の意に従わざる 者をあたかも非国民呼ばわりしかねない傍若無人ぶりは、何なのかと。私は日本の記者ど ものマヌケぶりによって恥辱を浴びたのだ。

右翼思想からみた、自己責任バッシングの国辱ぶり  宮台真司

宮台さん、少々暴走ぎみです。まあ、ほんとに宮台さんも怒り心頭だったようで。その後、安田さんと渡辺さんをvideonews.comに呼んだときも、宮台さん、二人を差し置いてしゃべりまくってました。本人も、のぼせちゃってごめんなさい、とか言ってたような。


僕自身は、自分の欲望に忠実に生きたいと思っていたし、自分にとって文明的で文化的な生活をしたいと思ってた。この場合の文明とか文化は、僕たちが日本や他の先進諸国で享受している消費文化のこと。人権NGOやら援助NGOとかに行く気なんてさらさらなかった。

第三世界とか旅行してても10日くらいで「文明」が恋しくなる自分を発見。現地の食い物も大好きなんだけど、一週間に一回くらいはマックやらピザハットあたりにおじゃましたりした。中東まわってたときなんて、イスラエルに行って、ほんと安心したというかホッとした。

そして当然、イラクなんかに行く、情熱も怒りも勇気も度胸も使命感もなんもない。そんな自分だからこそ、そういうものを持った人間たちがあんなことになっちまってと動揺した。そういう知り合いがいたからそれなりに自分と身近なことなんだけど、自分には絶対できなようなことをやっている人たちだからこそ、めちゃくちゃ動揺した。

おそらくね、高遠さんたちもこういう気持ちだったと思うんだよね。僕が彼らのことを心配したように、彼らはイラクの人たちのことが心配でならなかった。いてもたってもいられなかったと。僕なんて、イラクの人たちやその他世界中の人たちのことを心配したって、別に何をするわけでもない。高遠さんたちを心配したって、何もしなかった。高遠さんたちはなんかする人だったんだよね。

だから、ほんとショックだった。ああ、あいつら死んじまうのかあと。


ついでに、ネットでは、ボロクソ叩きがはじまってんだろうなあと。一応チェックしたら、まあ予想通り。驚きもなんもない。驚いたのは、 「イラク人質問題 5  雑感」でも書いたように、その後のメディアや政治家たちの反応。マジですかー、とポカーンとしてしまった。
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by mudaidesu | 2005-12-19 22:09 | イラク人質事件
責任感? 井川と風邪とV旅行


とりあえず、スポーツ新聞の記事引用から。というか、引用ばっかだけど。


ウエルカム・パーティーの開始5分前、最後に会場入りした阪神井川の姿に岡田監督やナインは目を丸くした。口元には大きなマスク、服装は冬物の長そで。杉山や橋本らがアロハシャツ姿で参加する中、そのいでたちは異様だった。・・・

何もそこまでしなくても…。だがそんな苦行のような姿には、2年分の“謝罪”が込められていた。「チームに迷惑をかけたらいけませんからね」。03年はトレーニングを理由にオーストラリアV旅行に不参加。星野前監督から「裏方さんの労をねぎらうのが目的やないか。協調性が足らん。ふざけるな!」と一喝された・・・

今オフは契約交渉でも夢を一時封印して1発サイン。無言から一転、自分の言葉でファンにメッセージを送る機会も増やし始めた。体調不良をおしてのV旅行参加も、今度こそチームの輪に入りたい、入って行こうという気持ちの表れだった。

井川“点滴打っちゃった”到着即病院へ


↑の記事読んだときは、井川はあいかわらずおもしれーなあ、と思うだけだったけど。


「誠意は買うたらないかん。カゼをひいたのに、みんなと同じように参加したんやから」既に来季の開幕投手に指名している岡田監督も、エースとしての自覚と成長を感じ取っていた。ドタキャンせずに、体にムチを打ち、単身で参加した26歳の心意気を評価した。

井川またお騒がせ!?風邪治りきらずV旅行から突然の帰国

こういうのや、


無理を押して今回の旅行に参加したことが岡田彰布監督(48)やナインの評価を上げることになった。「体調が悪い中でハワイまで来た誠意は買うたらなあかん」と岡田監督。希望していた米大リーグ移籍がかなわなかったことから、今季は不協和音を招きがちだった井川が人間として変わりつつある。・・・

「風邪ニモマケズ」参加を決めた姿勢は、チームメートの共感を呼ぶには十分だったようだ。岡田監督も体調より球団行事を優先した井川の姿が印象的だったようだ。

V旅行の中途で帰国したのに、左腕エースはナインから評判を上げたようだ。

阪神・井川、株上げた! 風邪ニモマケズ V旅行参加

こういうのや、


不参加の一昨年と違い、体調不良を押してまで仲間と喜びを分かち合いたいという純粋な思いが首脳陣や選手にも伝わった。指揮官が重要視する「ハート」は完ぺき。・・・

そこまで無理しなくてもと思わせるほどの体調にもかかわらず出席したのが、井川の素顔、本音。本当は責任感の強い若者なのだ。

わがまま、自己中心的―。一つ一つの言動が誤解を招きやすいために、批判を浴びることも多かったが、実際は違う。チームを、仲間を思う気持ちはその姿だけで周囲に伝わっている。・・・

体調不良でキャンセルしてもおかしくない状態でいて、なおも周りに気を使う。純粋に、仲間と喜びを分かち合いたいという気持ち。

熱意伝わった!井川V旅行初参加

こういうのや、


03年不参加だった優勝旅行に風邪をおして(?)参加した井川の姿勢を買っている岡田監督。唯我独尊の井川が少しずつみせてくれる“チーム愛”に、指揮官は来季の大活躍を夢見ているようである。

常夏の島でお寒~い井川、V旅行に風邪引きマスク 岡田監督は参加の姿勢を評価


こういうのを立て続けに読むと、なんだかなあと思う。過去の経緯はいろいろあっただろうけど、なんか倒錯してないすかね?「責任」や「熱意」や「姿勢」という概念の意味が。

プロなら、自己管理をしっかりやって公式戦で結果を残すことこそが一番の責任のような。ムリして余計なことやったら、まさにプロとしての自覚が足りん!と言う人がいてもいいような気がするけど。ムリして旅行なんかに参加して、体調不良が長引いてトレーニングが遅れたりしたら、それこそプロとしての自覚の欠如のような気もするけど。

井川の行動を誉めたくなる気持ちはわからんでもないし、こういうのは情緒の問題なんだろうけど。

こういう不条理な情緒もスポーツがおもしろい理由の一つなんだけど。ムリしちゃうピッチャーの心意気とか。「キャプテン翼」(中学時代の全国大会)みたいに、ボロボロになってヘロヘロになっても戦い続けるってのはやりすぎでイカンと思うけど。ぶっ壊れたらドラマにはなるかもしれないけど、元も子もないし。

まあ、スポーツ新聞の記事はそんなもんなんだろうけど。「あるストーリー」にそった記事を作るのが役割だろうし。別にスポーツ新聞をバカにしてるわけじゃない。そういう生ぬるく安易なところがまたスポーツ新聞の楽しいところだし。読んでるこっちも楽しいし。

ちなみに、井川は大好きですよ。ネタになりやすいところも、わけわからないところも、我が強いところも大好きです。
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by mudaidesu | 2005-12-15 05:04 | スポーツ
田中宇の無茶!?


ちょっと長いけど、田中さんの文章の一部の引用。


▼無茶なタカ派戦略をわざとやる新中道派

・・・

米政界には「ブッシュ政権がやっているネオコンの戦略は、アメリカの力を無駄遣いしているので、それをやめさせて、強いアメリカを復活させたい」と考えている「中道派」がいるのは事実である。しかしその一方で、中道派の中には「ネオコンの戦略をどんどん過激にやってアメリカの力を無駄遣いさせ、アメリカの覇権を故意に低下させることによって、世界を多極化したい」と考えている「新中道派」とでも呼ぶべき勢力がおり、こちらの方が、旧来の中道派よりも強い。

新中道派にとっては、ブッシュ政権を方向転換させる必要などない。タカ派的な強硬策をどんどん無茶にやっていれば、自然とアメリカは衰退し、中道派が目指していた多極化が実現され、弱くなったアメリカは国際協調主義の方針しかとれなくなる。ネオコンの政策を乗っ取って、中道派の政策を実現しようという戦略である。

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by mudaidesu | 2005-12-15 04:43 |
オージーの誇り!!! Australia on Fire


シドニー郊外でレイシストたちが大暴れしたようです。約5000人(マジかよ?)。ターゲットにされたのは中東系の人たち。今のところ、数十人の負傷者だけで死亡はゼロらしい。簡単にニュースを紹介。

簡単に言っちゃえば、オーストラリアは前はレイシスト国家、今は多様性を尊重する寛容な他民族国家。シドニー・オリンピックなんてそれを演出しようとしてたよね。

警察によると、ネオナチさんたちと白人至上主義者たちが中心だったらしい。こいつらがビーチに突入してきて暴れ始めたらしい。レイシスト・スローガンを連呼しながら。「No More Lebs(レバノン人)」とか。

ある女性が掲げてたプラカードには「Aussies fighting back」と書かれていたそう。「オーストラリア人たちが立ち上がりはじめたよ!やり返しはじめたよ!目覚めはじめたよ!」みたいなかんじかな。

で、この女性は「Patriotic Youth League(愛国青年団?)」の宣伝もしていたそう。 この団体はオーストラリアのネオナチ組織としてそこそこ有名みたい。ヨーロッパのネオナチや極右組織ともお友だちらしい。ホームページらしきもの(http://www.patrioticyouthleague.org/ )は現在access denied状態。ここが彼らのページかどうかは不明。

バリ島でのテロで6人のオーストラリア人が死亡したんだけど、その後、中東系の人たちに対する排外的なものが盛り上がりつつあったらしい。襲撃が起きたあたりにはレバノン系の人たちが多いみたい。

Neo-Nazis in race riots  The Sydney Morning Herald



警察によると、暴れてた連中の多くはオーストラリア国旗も掲げてて、おまけに国歌まで歌いながら暴れてたそう。警察のお偉いさん曰く、連中は「clearly un-Australian」で、人間として恥ずかしい。「非国民」呼ばわりですか・・・・。

不謹慎にもウケちゃったのは、50人くらいにボコボコにされたという被害者の一人曰く、「僕は半分レバノン人で、半分アボリジニー。I am more Australian than the Anglos(僕の方がアングロサクソンよりオーストラリアンだよ。」

最初にアホ・レイシストたちに襲撃された人は200人くらい(マジかよ)に追っかけられてたそう。この記事の写真は、一人が大人数に瓶とかで殴られてるところ。

Race riots spread to suburbs  T he Sydney Morning Herald



この出来事は、1860人に二人の中国人が殺されたとき以来、最大のレイシスト暴動かもしれないそう。

二人の子ども(4歳と11歳)がいるオッサン曰く、「俺のじいちゃんはオーストラリアのためにジャップ(日本人)と戦った。今、俺がやってることも同じことだ。」

ある人によると、Pauline Hansonが警告してきたことが起こったと。ちゃんと彼女の話に耳を傾けなかったからだと。(たしかに、このポーリン・ハンソンという極右のおばちゃんは、リベラルな政策をやめないと、こういうことがそのうち起きると言ってた。)

Thugs ruled the streets, and the mob sang Waltzing Matilda



ハワード首相(保守派)が会見したようだけど、「レイシスト」という言葉は使いたくないらしい。「レイシスト」という言葉はいいかげんに使われることがあるからとかなんとか。でも、「レイス」を理由に他人に暴力を振るうのは絶対に許されないそう。つか、こういう状況で「レイシスト」を使わないでいつ使うのよ。メディア上では、「レイシズム」や「ナチズム」という表現が踊ってる。まあ、首相がそういう言葉を使うべきかどうかは、たしかに微妙かもだけど。

ちなみに、ハワードさん、東アジアサミットに出るために、イスラム教徒が8割の国(マレーシア)に行く予定。

PM refuses to use racist tag  The Sydney Morning Herald



「オージー!オージー!オージー!」とかやってるオッサンとかも見れます。↓

ニュース映像   The Sydney Morning Herald





Patriotism is the virtue of the vicious.
(愛国心とは悪人の美徳である。オスカー・ワイルド)

Patriotism is the last refuge of a scoundrel.
(愛国心はならず者の最後の逃げ場所である。サミュエル・ジョンソン)
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by mudaidesu | 2005-12-12 11:44 | ナショナリズム
イラク人質問題 7  現在


武装勢力によると、拘束されていたアメリカ人(武装勢力によると「security consultant」だけど、実際はただの電気技師の可能性も)が殺害されたよう。アメリカ軍の通訳やってたエジプト人も拘束されてたようで、こちらも殺害されたよう。どちらも、確認はされてないとのこと。

Egyptian hostage found dead in Iraq  アルジャジーラ(ロイター) 12/11


クリスチャン団体(CPT)の4人の人質のデッドラインは木曜日でしたが、デッドラインが土曜日まで延長されてました。デッドラインは過ぎましたが情報なし。ドイツ人とフラン人についても情報なし。

興味深い動きとしては、アルカイダのユーロッパ大使と言われているアブ・カタダ(発音不明。指名手配中)が、イスラムの教えに従って4人を解放するべきだというビデオ・メッセージ(アラビック)を出したらしい。それが中東で放送されてるよう。

追記:カタダは指名手配中じゃなくてイギリスの拘置所の中(ヨルダンへの移送予定?)でした。拘置所の中からビデオ・メッセージを出したようです。


あと、最も長い歴史(1928-)を持ち、最も大きいイスラム原理主義(復興運動)組織のムスリム同胞団の最高指導者が、4人の拘束はイスラムの教えに反すると声明を出したそう。いかなる目的、信仰、思想を持っていようと罪のない人々を人質とすることをイスラムは禁ずると。拉致はイラクのイメージを悪くするだけだと。

Concern grows for Iraq hostages  BBC 12/11
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by mudaidesu | 2005-12-12 02:22 | イラク人質事件


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