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「ネットで広がる愛国心」 by 筑紫哲也のNEWS23 


この前、「筑紫哲也のnews23」の愛国心特集で「ネットに広がる愛国心」みたいなのをやってました。このブログでも、ことあるごとに、映画などの話でもこじつけるようにして、「愛国」や「ナショナリズム」について書いてきました。というか、最近、これ系のネタばかりのような気もする。前回も靖国だし。まあいいや。そんなわけで、このネタについてもちょっと書いときます。といっても、この番組の裏(日テレ・フジ・テレ東)で、ロッテ優勝をやってたのでチャンネルをカチャカチャやりながら見たんだけど・・・。


内容は、二人の「ネット愛国者」の生活を追い、彼らの考えを聞く、というもの。一人は、ケーキ工場で働くフリーターの「愛国者」。もう一人は、投資銀行に就職し「勝ち組」になり、お金を稼ぎたいという「愛国者」。二人とも、日本の「弱腰外交」に憤る。日本が弱いと嫌で、日本が強かったら気持ちがいいのに、みたいな感じ。部屋にはお約束で、あれ系の本が。












二人とも、自分の将来が「不安だ」と正直に告白している。そして、日本が強くなれば、自分も強くなった気になる、みたいなことを正直に言っていた。この「強さ」とは、「文句を言われない」「文句を言える」ということ。中韓相手にでしょう。

どう見ても、この二人が世間の人々のロールモデルとなることはないだろう。テレビを見た人びとが羨望の眼差しで、この二人を見ることはないだろう。

しかし、僕はこの二人に好感を持ちました。コイツラは正直者だと、素直なヤツラだと思った。もしかしたら、コイツラもネットで他人に嫌がらせをしてるのかもしれない。しかし、「筑紫哲哉の番組」に撮られ、料理されることに同意し、遠慮がちながらもホンネを吐露する彼らは、それなりに立派だと思った。勇気があると。というか、僕にはそんな度胸はない。この二人は純粋なんだろうと。嫌がらせなどはしていないと信じたい。コイツラの姿は、僕の好きな憎めない気の弱い日本人そのものだと思いましたよ。そういう日本人が嫌いじゃない。

というかね、中韓うるせーなー、ダマレヨ、みたいな気持ちってそんなに特殊なもんじゃない。僕だって、昔、そう感じてたことありますもん。子どもでしたけど、そのころ保守論壇の議論読んでたら、すっかり感化されちゃってた可能性は否定できない。僕みたいな人、他にも結構いるんじゃないですか?


で、筑紫さんの番組ですが、分析はまったく正しい。不安になった個人が、自己のアイデンティティを国家に投影してるという分析。まったくそのとおりだし、実際、テレビに出た二人も自分自身でそう言っていた。












小熊英二・上野陽子の「癒しのナショナリズム」で描写された、「つくる会」の会合に集まる人々とまったく同じ。というか、エーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」その他のナショナリズム研究の通り。社会の中の様々な共同体が崩壊し、個人の何かに帰属したいという欲求が満たされない。一人じゃツライ・不安という気持ち、そういうのから、中間(過去の日本なら、企業とか地域とか)をすっとばして一挙に国家へ、という構図。個人のアイデンティティの拠りどころが国家だけ、みたいな。ありふれた図式。












ある「自称ネット右翼」の人が、この番組を見て、「左の人はどうしてほしいのだろうか?」みたいなことを言っていた。この番組は、↑の二人を嘲笑しているように感じたみたい。そして、「ネットで噴きあがって愛国を叫ぶ弱者を批判しているが、そういう彼らにどうしてほしいの?」みたいなことを。「左の思想に共感してほしいのか。または、社会のゴミは消えてしまえと思っているのか?前者なら、その方法は完全におかしい。君たちは、馬鹿だから馬鹿な考えに感化されちまうんだ。オレたちのように頭を使って、まともな考えを持て、と言ってるように見える。社会的弱者のネット右翼である自分にはそう見える。そんな声を聞いて、左側の考えに共感しようなんて思うネット右翼はいないんじゃないか?」


このようなことを思ったようだ。↑は正確な引用ではない。思いっきりパラフレーズさせてもらいました。しかし、内容はこんな感じだった。この番組が「ネット右翼」を嘲笑しているとまでは思わなかったが、僕はこの人と同じように感じた。(というか、僕も自分のこと社会的弱者だと思うし。)この特集に、日本の未来を担うであろう若者二人に対する愛情はあまりかんじなかった。自分たちと違う人たちがいて、彼らがどういう人間か確認して、俺たちと違うと「他者化」して、それで満足しているようにしか見えなかった。自分たちの問題として考えようとしていない。(そりゃ、他人ですけどね。へタレ・ナショナリストとしては、「日本国の問題!!(笑)」として考えようよと。というか、同じ人間の問題として、もう少し突っ込んで考えようよ。まあ、時間足りないですけどね。)

おまけですが、この「自称ネット右翼」の人は好感が持てる。この人には、巷にあふれるお約束の他者(中韓・サヨ)への「憎しみ」があふれていない。それでいて素直。こういう人の声を大切にしたい。


で、この番組についてですが、そういう分析はことあるごとにするべきだし、広く知らしめる必要はある。けどねえ、それだけで終わったってしょうがないんだよねえ。そういう人は「弱い人」ってカテゴライズして終わったら、やっぱり意味がない。↑の方の言うとおりですよ。そういうのは「弱い人」だから、俺のように「強い人」になりましょう、って偉そうに言ったって誰も聞かないって。そう言ってるように思われちゃったら、全然ダメだって。

本来、左派ってのはそういう人たちの味方のはずでしょう。そういう人たちの問題に真摯に向き合い、共に考え、どうしていくかを探るべきでしょう。「あいつらは弱い奴」ですましてどーすんの?と。ベタベタ近寄ったり、媚びたらキモイけど、そーゆー傲慢な(または、そー見える)態度が左派が嫌われる一番の原因でしょう。「つくる会」の「普通の人」による「庶民の常識」に根差した運動が支持されちゃったりする理由でしょう。












嫌がらせとかをやっているのは一部で、大部分の「愛国者」「愛国者予備軍」たちは、それなりに真面目な気持ちでそういうこと考えるようになったのだと思う。少なくとも、自発的に「つくる会」の会合に出るような人は。小熊英二も、「彼らは平均よりも「真面目さ」と「熱情」をもつ人びとなのかもしれない」(あとがきPart2)と言っている。


靖国問題について」でも書いたけど、右は、そういう人びとの不安をさらに煽って動員してる。他者への憎悪を煽って動員してる。おまけに、「おまえは良識があり、誇り高き愛国者だ」と誉め自尊心をくすぐりながら。そういう人たちの俗情に媚びるのが右。(追記:この「右」は巷の売れてるバッシング・マーケットの寵児たちのことね。右思想すべてについてじゃないですよ。)

左はそうじゃない。左は違うやり方で、そういう人たちのために発言しなきゃならないはず。そういう人たちが、いかにして自尊心を得れるかを考えなければならない。国家に自尊心を投影なんてせず、他者を憎悪し己の精神の安定をはかるのでなく、自己の試行錯誤で自尊心を得よ!それがおまえ自身のためになる、と言うのは簡単だが、いかにそれを伝えるかを考えなければならない。

左は、そういう人たちとともに歩まなければならないはず。右とは違うやり方で、そういう人たちとコミュニケーションしなければならない。僕は面倒なんでやりませんけど、本来は、オピニオン・リーダー(なんだよそれ?笑)たちの責任でしょう(他人まかせはよくないかな?)。↑の「自称ネット右翼」の人なんて聞く耳持ってると思いますよ。こういう人の声に耳を傾けてもいいんじゃないかと。こういう人たちに訴えることを想定して、言説を構築しろ、ということです。

はっきり言って、左派論壇の言葉じゃ絶対に説得できないですよ。既存の言葉は完全に輝きを失った。全然響かない。僕にすらまったく、マジでまったく響かない。新しい言葉を生み出さなきゃダメ。他者に響く言葉を。言論・思想とはそういうもん。小熊英二が「民主と愛国」で表現したとおり。そうやって、また言論・思想を発展させていかなければならない。












話変わって素朴な疑問なんだけど、いまいち中国・韓国を憎悪する理由がわからないんだよねえ。いや、もちろん、よくわかるんだけど、一部の日本人が何に憤ってるかはよーく知ってる。マジで熟知しまくり。自分が何言ってんだかわかんないけど(笑)。

ただね、普通に考えると、中華人民共和国と韓国の「公権力」によって(メンドーなんで、とりあえず、中国人・韓国人はおいておいて、国家に限定)、日本人がなんか酷い目に会わされたとかほとんどないよね?別に、大空襲されまくって、家族・同胞を何十万人も殺されたわけでもなし、核爆弾落とされて大虐殺されたわけでもなし、何十年も植民地支配されたわけでもなし、侵略されて家族・同胞を殺されまくったわけでもなし、日本の空を優先的に使われてるわけでもなし、日本に軍事基地があって住民が迷惑かけられてるわけでもなし、その軍隊に日本でいろいろ問題起こされてるわけじゃなし、・・・・・・・・。

多少ムカツクのはわかるけど、憎悪するほどのことなくない?と素朴に思ったりすんだけど。↑のような経験してれば、そりゃ、憎悪の理由はよく理解できる。もちろん、たとえ、↑のような経験してても、「まあ気持ちはわかるけど、憎悪したってしょうがないよ。未来のためにならないよ」と言ってやりたいけど。

まあ、憎悪やら嫌悪みたいな感情ってのは理屈じゃないからなあ。生理的なもんだしね。↑で言ったように、僕自身そういう感情持った経験もありますし。気持ちはよくわかる。

そーいえば、脱北者を支援していた日本人が三人ほど、中国の公権力に酷い目に会わされましたね。あれは怒るべき。

いや、僕自身は、もちろん、中国の公権力にはいろいろ言いたいことあんだけどね。対日本人というより、対中国人その他についてなんだけどね。というか、中国共産党政権がロクデモネーのは当然の前提。
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by mudaidesu | 2005-10-30 01:57 | ナショナリズム
靖国問題について


ダブスタ&ゼロサム」に「Johnny style!」さんから靖国問題についての文章のTBもらったので、コメント代わりにちょっと書きます。

私のいいかげんなメモ書き程度のエントリーにTBすみません(笑)。あちらの力の入った文章に感心させられました。でも、非国際人さんが指摘するように、靖国参拝賛成派へ語りかけるなら、そちらの議論にも配慮して論じることも大切かな、とも思いました。

靖国問題について、私も思うところはめちゃくちゃたくさんあるのですが、面倒でいまさら書く気がしない、という情けない状態です。いろんなポイントがありますから、少しづつでも書いていけばいいんでしょうけど・・・。

靖国問題って、ほんとにいろんな論点があるんですよね。日本の戦争、日本の戦前史・戦後史、日本の歴史・文化・伝統・宗教、靖国神社そのものの歴史、靖国神社の歴史観、東京裁判、サンフランシスコ講和条約、中国共産党、中華人民共和国の歴史、韓国の歴史、国際政治、ナショナリズム、「つくる会」、天皇、遺族会、憲法、司法制度、政教分離、・・・・、いくらでも論点が出てきます。はっきり言って、真面目に書き出すとキリがないです。

思うこと全てを書くのは面倒なんで(すみません)、いくつかだけ書いときます。私は「ダブスタ&ゼロサム」では、リアリズムに関する問題として、靖国にちょっと触れました。「Johnny style!」さんは、外交問題としての視点から、靖国問題のいろいろな論点に触れてます。私も、外交問題としての靖国問題に関して、思うところはいろいろあるのですが、ここではちょっとだけにします。あちらで触れられてる論点のうちのいくつかについてだけにします。


「靖国参拝やめたって、日中関係が全てうまくいくわけじゃない」みたいな議論を、一部の政治家さんとかからよく聞きますが、正直、この主張は微妙ですね。「靖国参拝やめれば、日中関係が全てうまくいく」なんて誰も言ってないですし。


「内政干渉論」も微妙ですねえ。「内政干渉」ってのは「主権侵害」であり、「主権侵害」ってのは、圧力かけて国内政策を実際に変えさせることですし。中韓のやってることは、まだ批判・注文どまりだと思います。中国ではビジネスチャンスを日本企業がことごとく逃してるそうですけど。まあ、圧力が経済制裁までいったら内政干渉と見なしてもいいと思います。米国が日本に経済摩擦でやるような制裁までいったら。

でも、国際政治上の「内政干渉」、というか、「内政干渉しない」という国際政治上のルールは、厳密には、大国が小国に強制的に影響を与えることについてなんですよね。ときには武力を背景に。少なくとも、国連憲章の精神ではそうです。強国による弱小国の支配はダメよと。国連憲章の精神は、二つの世界大戦の反省からですし。まあ、冷戦時代は両陣営が内政干渉しまくりでしたけど。

で、国際政治のルール上NG(タテマエでは)の「内政干渉」を、大国に露骨にされちゃう小国なんかは、世界に向かって「内政干渉!」なんて言えるわけがない。そんなこと言える余裕や力があれば、「内政干渉」されないですから。

最近の国際政治で、国家が「内政干渉!」と叫ぶのはどういうときでしょう?ちょっと前は中国がよく言ってましたよね。北朝鮮も。独裁政権が人権問題などで、アメリカなどに「まともな批判」をされたとき。こういう反応って、その問題について「国際的に正当性のある」反論ができないからこそでしょう。中国はアメリカの貧困問題を批判し「そっちこそ人権軽視!」とやったこともありました。そりゃそうだという部分もありますが、苦し紛れのすりかえです。「おまえだって!誰々だって!」というのは内輪でのディベートではそれなりに有効かもしれませんが、「国際的に」説得力のある議論には絶対にならないと思います。

靖国問題での、日本国内の「内政干渉!」というのも、構図としては同じではないでしょうか。森本敏さんが朝生でも言っていたのですが、日本が靖国問題で「国際的に正当性のある」反論をするのは不可能でしょう。というか、中国共産党の言い分の中で、靖国参拝批判ほど、「国際的にまとも」な主張はあんまりないでしょう(笑)。それだから、こっちは「内政干渉!」としか主張できない。というか、この「内政干渉!」というのは日本国内向けでしょう。さすがに、たいした圧力かけられてないのに、独裁政権のように世界に向かって「内政干渉!」と叫ぶのはちょっと恥ずかしい。大国日本がそんなこと大真面目で言ったら、自分たちの外交力がヘボいということを宣言するようなもんですから。

というか、この程度の批判・注文を「内政干渉」とか言ってたら、北朝鮮その他の独裁政権を批判できなくなっちゃいますよ。ガンガン批判しましょうよ。私はリアリストじゃないんで、他国の人権問題その他の国内政策はガンガン批判すべきだと思ってますし。

まあ、小泉さんが高裁の判断に気を使って「私的参拝」を強調しているんで、「内政干渉」議論はもう古い論点になっちゃってると思いますけど。


靖国問題で譲歩したら他の問題でもズルズル譲歩してしまう、って議論もありますね。これも森本さんが言っていたのですが、他の問題なら、日本は「国際的に正当性のある」、というか、「国際的にたたかえる」主張が十分できるでしょう。遠慮のいらないまともな論争が可能です。ズルズル行くほど日本人は無能でないでしょう(対米外交を見てると不安にもなってきますが、中国相手なら全然余裕でしょう)。靖国問題の場合、日本の国論が激しく対立しちゃってますが、他の問題ではそこまで酷い状態ではないでしょうし。

靖国参拝のせいで、日本の国論が激しく二分しちゃって、効果的な対中外交が不可能になっている側面もあると思うます。というか、逆に、中国に対して変な遠慮が出ちゃうんですよね。だから小泉さんも謝罪の言葉出すわけですし。


中国にとって靖国は日本相手のカードでしかない、みたいな議論もあります。これはなかなか難しい。たしかにそういうところもあると思います。しかし、たとえそうでも、今日の国際政治は、国内世論と国際世論をオーディエンスに「タテマエの正当性」を競うようなものなので(イラク戦争前のアメリカvsフランスのように)、「ホンネ」がそうだから「タテマエ」は無視していいというわけにはいかないでしょう。

おまけに、中国は独裁ながらも、世論が力を持ってきていますのでなおさら。このへん難しいところなんですが、対日外交カードというより、中国共産党政府としては、自らの「正統性」のために、靖国は譲れないのかもしれません。抗日の歴史の問題もあるでしょうけど、「悪いのは一部の軍国主義者。他の日本人は中国人民と同じ被害者」のロジックで、中国国民を納得させたんだから、その判断の正当性が、共産党の正統性に関わる問題だったり。というか、日本の世論と違って、中国の世論は、この問題で、99%(?)一致してますし。こういう世論は逆に足かせにもなります。これで世論を裏切ると、まさに共産党政権の「正統性」の問題に繋がってくる。

だから、中国政府も苦しいんだと思います。靖国を「外交カード」として使うほどの余裕はないと思うんですよねえ。国内での「正統性」が完璧ならそういうことできるでしょうけど、ちょっとミスったらヤバイことになるかもしれませんし。中国はゴリゴリのリアリスト外交やるタイプですから、その路線では外交上、靖国にこだわるのは全然得にならないですもん。台湾問題とは全然違う。やっぱり、靖国問題は、外交カードというより、中国共産党にとっての「正統性」の問題だと思います。

国内での「正統性」、国際関係上の国益、この二つの間で苦しい。国益を取ったら、国内世論は99%アゲンストですし。「正統性」があやしい独裁政権としては、これはキツイ。靖国問題片付くまで、キツくて他の問題でも譲歩(=日本にとって得)できない。日本が国益追求するなら、相手が他の問題で譲歩しやすい環境をつくることも必要でしょう。

逆に日本の場合、国益を優先しても、アゲンストは多くても50%程度ですから、やりやすいはずなんですけどねえ。小泉さんは意味不明だから。何考えてるのかイマイチわからない。自分のイメージ戦略のツールとしてしか靖国を見ていないのか。それとも、もう少し戦略的にやっていて、日中の緊張を高め、日米関係をより緊密に、という狙いがあるのだろうか。ちょっと前までは、靖国をカードとして使う(=中国に高く売る)気があるかもと少しは思ったけど、もうそれはなさそうだし。まさか、外交問題になってるのに、外交上、なんの戦略も考えてない、なんてマヌケな話だったらほんとにこわい。リアリストじゃない私でもこわい。

韓国については、あまり心配してないんですよね。なんだかんだ言ってもお互い自由民主主義同士だし、民間レベルの交流を地道にやってけば、政治がゴタゴタしてても、大丈夫でしょうと。


あと、私が思うのは、靖国問題に関して、中国の国内事情に関する冷静な情報・議論があまりに欠けている、ということでしょうか。保守論壇は、中国政府・中国人をただただひたすら侮蔑・嘲笑するだけで、保守論題の傾向を知る以外、中国を知るためにはほとんど役に立ちません。一方の左の論壇の議論も、中国内部がどうなっているかという問題にはほとんど踏み込みませんし。どちらの情報も少々ナイーブすぎるような気がするんですよね(戦略上そうなんでしょうけど)。私自身は左というかリベラル系ですから、結論としては左の議論と基本的には近いんですけど。


追記:そーいえば、靖国問題に関しては、この二人が興味深いこと言ってましたね。

転向!? 石原慎太郎 渡辺恒雄


というか、ちらほらと書いてきたんですが、保守論壇には、中韓や日本の左派に対する憎悪を撒き散らすことをほどほどにしてほしいです。そういうのが「売れる」のでしょうけど、大衆の何かへの憎悪を煽るようなことは、本来、保守主義者こそが、一番嫌うべきことでしょう。そうやって(何かへの憎悪を煽り)大衆を煽動するのは左翼の専売特許であると。保守主義者はそんな下品なまねはしないと。子どもの言い訳、屁理屈のようなセコい正当化も、いいかげんほどほどにしてほしいです。ディベート対策もいいでしょうけど、そんなのばっかりじゃ、魂を揺さぶることは不可能です。

日本の心と知性を代表する保守論壇の方々には、他者への愛情や寛容の精神のあふれる言葉・文章で、靖国論・日本論を語ってほしいです。そういうのが、我々が誇る日本人の美徳でしょう。保守論壇こそがその心・美徳を継承し体現すべきでしょう。保守論壇が育てるべきなのは、憎しみにかられた日本人ではなく、他者への寛容と慈愛の心を持った日本人のはずでしょう。憎しみの心は日本人の文化でも伝統でも「誇り」でもない。寛容の精神こそが日本人の文化であり伝統であり「誇り」のはずでしょう。他者への憎悪を煽るのをやめ、日本への愛を語ってくれ。


リベラル派には、中国政府の善意をナイーブに信じさせるような議論はほどほどにしてほしい。本来、理念的には、日本のリベラル派は中国の一般ピーポーと連帯すべきでしょう。中国政府への批判的な眼差しは決して忘れてはならいと思います。これは、日本人のためというより、中国人のために。日本の国益のためではなく、中国人の幸せのために。日本の国益のために、中国政府と信頼関係を結び付き合うのは、日本のリアリストにまかせちゃっていいのではないでしょうか。なんだかんだいっても、自民党にも民主党にも経済界にも知識人にも、リアリストはたくさんいるでしょう。

リアリストはもっともっと頑張れと。リアリストが不甲斐無いから、リベラル派がリアリストみたいな物言いをしなきゃならない状況になっているんで。リアリストはなりを潜めている場合じゃないですよ。

そして、リベラル派には、靖国参拝を歓迎する普通の人びとの気持ちを、もう少し考えてあげてほしい。その人たちの心にも響くような言説を作り上げてほしい。これはどちらにも言えることですが、相手を「論破」するだけじゃたいして意味がない。内輪だけで通用する議論を、違う考えを持つ人に披露してもほとんど効果はないと思います。

私としては、もうディベートは飽きたんで、論壇にはディベート的な主張・議論はほどほどにして、分析・研究を見せてほしいな、と勝手に他人事のようなこと思ってたりもします。右の議論も左の議論もナショナリスティックすぎかなと(私もへタレ・ナショナリストなんで人のこと言えませんけど・・・)。同じようなのばっかりで、読まされる方としては、ガス抜きにはなっても、あまり勉強にならなかったり。まあ、論壇ってのはそういうもんなんでしょうけど。こういう姿勢は、あまりよくないのかもしれませんけど、やっぱり、たまには他人事のように物事眺めるのも大切かな、と思ったりしてます。




ナベツネ on NYT  ヤスクニとソフトパワー

ヤスクニ・リターンズ  靖国参拝と海外反応 1

ヤスクニ・リターンズ  靖国参拝と海外反応 2

ヤスクニ・リターンズ  靖国参拝と海外反応 3
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by mudaidesu | 2005-10-27 22:50 | ニッポン
ナチュラル・ボーン・キラーズ vs ノーと言える中国


昨日、友人と話してたら、オリバー・ストーンと「ナチュラル・ボーン・キラーズ」の話題が出た。ちょっと前に、ここのコメント欄でも、「ナチュラル・ボーン・キラーズ」の話になったんだけど、僕はこの映画大好きなんですね。単純におもしろくて、細かい話は抜きで、ワッハッハって。おまけに、ジュリエット・ルイスが好き。みたいなことを書きました。でも、よくよく考えてみると、あんまりこの映画の内容覚えてないんですよね。トミー・リー・ジョーンズの生首が棒に刺さされて、囚人たちがお祭り騒ぎ、みたいな映像を覚えてるくらいだったり(ディレクターズ・カットの方)。なんでそんなにこの映画が好きなんだろう?と考えてみたら、思い出したことが一つありました。
















なぜって、「ノーと言える中国」ですよ。結構前に読んだんで、中身はたいして覚えてないんですけど、この本のせいですよ。思い出しました。

この本は、中国の若手ナショナリスト、若手の作家やら文化人やら知識人たちが書いたそうですが、ほんとくだらない。当時すごい話題になってたそうで。後から知ってチェックしたんですが、アメリカの新聞やらあっちこっちで取り上げられてたんですよ。それで、なんだよ、すげー本なのかよ、とか思って読んでみたら、とほほでしたよ。とほほ。













そこらで我々が愚痴って笑い話してるレベルじゃないですかと。そんなレベルの話を本にしないでくださいと。

覚えてるところだと、中国人(東アジア人?どっちだか忘れた)は箸を使う。西洋人はフォーク。箸の方が高度だぜ!複雑だぜ!だから中国人の方が優れてる!みたいな。とほほ、です。つか、僕はフォークの方がすごいと思います、と。便利じゃん、フォーク。けど、だからといって、フォークを発明し使ってる西洋人の方がすぐれてるなんて思わんですよ。当たり前ですけど。

チベットのお話も、「アメリカだって、カリフォルニア(その他)をメキシコから奪ったじゃねーか!」「おまけに、アメリカ人は無知だから、それを知らねーの」みたいな。とほほ、ですよ。○○だって、ってガキかと。そんなこと言い出したら侵略し放題じゃないですか。○○だって!みたいなセコイこと言っても、ディベートじゃ有効かもしれませんが、チベット問題を正当化できないし、他人を説得もできませんよ。アメリカ人が歴史知らないのはそのとおりだけど、だからって「アメリカ人そのもの」を嘲笑したらダメですよ。













で、そういう話ばっかだったような気がしますわ。で、なんで「ナチュラル・ボーン・キラーズ」かというと、ちょうどこの映画観たころだったんですよね。この本読んだの。たぶんそんな気がする。

なにを隠そう、この本はこの映画にも触れてるんですよ。しかも、「こんな暴力的で不道徳な映画を作り、観ているアメリカ人は腐ってる」みたいな話してんですよ。またアメリカ人そのものかよ、ですよ。この映画に文句つけるのはいいけど、短絡的にアメリカ人はどうこうに持ってくなっての。

だから、この映画を擁護したいって気持ちが、ひねくれものの僕の中で強くなったのかも。


というか、どこの「ナショナリスト」も思考回路は似てますなあ。私もひそかにナショナリストなんですが、こういう思考回路が嫌なんで、ひっそりと、へタレにナショナリストなんです。こういう思考回路を「ガチ・ナショナリズム」とネーミングしちゃおうかな。

ただ、日本にも「俺たちは損してる!」みたいな鬱屈した感情から、ガチなナショナリズムが高揚していることからもわかるように、中国でもそうなんだろう、と。ある意味、日本より酷いだろうと。話題になった理由も、この本がすごいからじゃなくて、こういうくだらない本が、ガス抜き本が、中国で売れに売れてしまう現象にあったのだろう。

一部の中国人の間じゃ、「損してる!」感は日本人よりもっと強いだろうし。過去や歴史に対する誇りも日本のナショナリストなんかよりはるかに強いだろうし。日本の巷のナショナリストは、過去や歴史を誇るとか言いながらも、侵略戦争や植民地支配を正当化する程度のセコイことしかやってないし。それくらいしか「わかりやすい」「耳ざわりの良い」「誇り」として流通できるものが見つからないんでしょう。

それに比べると、中国のナショナリストが誇りとして利用するものは、もっとダイナミックなものだから、否定するのも難しいし。そういう言説に対しては「すごい。すごい。で?」と徹底的にクールに対応するのがイチバンなんでしょうか。どうでしょう。

この本のような素朴な感情は広く流通しているんだろうな、と。これは日本にも、どこの社会にも言えることだけど、作家や知識人なら、そういう俗情に媚びずに、もっと違う態度で臨んでほしいですね。まあ、スポンサーが権力に近いところなんだろうけど。官製ナショナリズムなんでしょうか。ま、中国はまだ開発独裁の段階だから、そんなもんなんでしょうけど。ただ、最近は、草の根からナショナリズムがきてるようだから少々心配ですねえ。なんとか、ポジティブな方向に向かってほしいもんです。まだ開発独裁だから、(進歩史観のリベラルっぽく)大目に見るべきなんでしょうか?でも、中国は大国ですしねえ。んーん。

まあ、なんだかんだいっても、中国人にはなにげに懐の広い人が多いから、そういう人たちに期待しますか。


ま、そういうわけで(どういうわけなん?)、僕は「ナチュラル・ボーン・キラーズ(ディレクターズカ
ット)」が好きなんですよ。おもしろいでしょ。やっぱ。

というか、すっかり忘れてたんですけど、オリバー・ストーンといえば、ショーン・ペンの「Uターン」ですよ。これ最高。というか、この映画のショーン・ペン最高。なさけなさがすばらしすぎ。


















というか、セリーグもプレーオフやらなきゃ。
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by mudaidesu | 2005-10-24 02:22 | ナショナリズム
くだらね~ ああ くだらね~ ちょー くだらね~


ちょっと思ったこと。
Kのコダワリ」さんの「人種、民族という虚構」を読んでちょっと思ったことです。

ちょっと引用↓。リンクは省略。


ところで、近年の遺伝子研究の結果、ユダヤ人と「国を持たない世界最大の民族」クルド人との近縁性が解明された。ところがこの研究結果が、「社会的、政治的影響」を理由に学術誌での発表を拒否されてしまったのだそうだ。遺伝子研究の結果は、「人種、民族」という虚構をも暴き立ててしまった。

あちらのコメント欄で、私は、

私なんかからすると、ユダヤ人もパレスチナ人もアラブ人もクルド人もトルコ人もギリシャ人もたいして変わらねーよ、なんですが。というか、バルカン半島の人も南欧も東欧も・・・逆側は南アジアも東南アジアも・・・結局、みんなたいして変わんねーよ、なんですけどね。

と書きました。まあ、いつも物事にサイエンティフィックな視点から鋭く切り込む「Kのコダワリ」さんと、テキトーな感想ですましてしまう私なんですが・・・。


中近東のあのあたりや、バルカン半島あたり、ってナショナリズムを素にした争いが絶えなかったんですよね(他の地域もそうですけど)。でも、はたからみりゃ、たいして変わらんだろ、おまえら、なんですよね。


友人のスイス人の話を思い出した。「俺はイタリア系なんで、アラブ人みたいな顔してんだよな。で、そういうことイタリア人に言うと、連中は怒るの。同じ顔してるくせによお。バカみてー。地中海近辺の奴らなんてみんな同じだろ」みたいな話を、チュニジア人(アラブ人)の前で堂々としてて、さすがだな(何が?ですけど)、と思った。で、スイスのブラックジョークを紹介してた。「夜遅く、黒人と白人、どっちがノックしてたら玄関を開けるでしょう?スイス人の答えは?答えは、黒人です。白人だったら、その人がアルバニア人だったらヤバイから」みたいな話してた。これはピー!ですね。いや、アルバニア難民がヨーロッパで社会問題になってたときの話のようですが。

こいつは全然レイシストじゃないのをみんなわかってるからいいんだけど、お調子もんだから、他所でもそういうノリで人種ネタ振るから、結構みんなヒヤヒヤしてました。人種ネタはおもしろいんだけど、場所と相手をちゃんと考えないとね。



「はたから見りゃ、たいしてかわらねーよ、おまえら」ってのは、中国人、朝鮮人、日本人にも言えますね。

でも、日本の保守派は、日本は別、と。サミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」まで持ち出したりして。ハンチントンが世界には8つの文明があって、日本は独自で1つの文明をなしているとしたと。朝鮮なんかは中華(儒教)文明に入っちゃいますよと。

小林よしのりさんなんか大喜びでこれを書いてました。他にもそういう人いたような気もしますが。そ~いや、フジテレビの『報道2001』でちょっと前に、竹村健一さんがハンチントン持ち出してこれ言ってましたねえ。でも、ちょっと思うんですけど、日本について素人のハンチントンさん持ち出してど~すんの?と。だからなんだよ、っすよ。つか、竹村さんの方がはるかに日本に詳しいんじゃないですかと。ハンチントンさんより、竹村さんが言った方がまだ説得力あったりして。ま、どうでもいいんですけど。

(ハンチントンが日本について素人ってのは言い過ぎかも。もともとこの人が世に出てきたのは、欧米先進国以外の国々の政治体制、政治制度発展、政治的安定、経済発展とかについての研究によってだから。)

いや、別に、日本が特別でもいいし、実際そうかもしれない。何を基準にするかで変わってくるし。けど、「日本は特別!中国・朝鮮とは違う!」と言いたがる人って、ようするに、「中国のおまけみたいな朝鮮、独自の誇れる文化のない朝鮮」みたいなこと言いたくて、そして、「そういう朝鮮より日本はすごい!」としたいみたいな。西尾幹二さんなんかにもそういうノリがあると思う。


そりゃ、やだよ。そういうのがなんかいや。


必死になって、民族その他の違いを主張するってのはあんまりかっこいいものではない。それも、自分の方が上みたいなノリがあると余計に。ダサダサ。


前に、台湾人が、あるボリビア人についての話を、あるスペイン人にしたとき、台湾人がそのボリビア人を「スパニッシュ・ガイ」と表現したら、そのスペイン人がちょっとキレた。「あいつは、スパニッシュじゃない。ボリビアンだ。それは、お前のことをジャパニーズというようなもんだ」みたいなことを言った。

細かい突っ込みとしては、ボリビア人はスパニッシュしゃべるけど、台湾人はジャパニーズしゃべらねーよ、ってのがあるが、そんなことは別に言わんかった。このスペイン人の思ってることは、そういう細かいことじゃないから。

このスペイン人は、ヨーロッパのスペイン人であることに、そして、「スパニッシュ」の発祥の地であるスペイン出身であることにやたらと誇りを持ってる人だった。アメリカには中南米出身のスパニッシュを母国語とする人々がたくさんいるので、スパニッシュ・テレビ局がいくつかある。このスペイン人は、そういうのがお嫌いらしく、「こいつらのしゃべってるのは『スパニッシュ』じゃない」とほんとに嫌そうに言っていた。たしかに、スペイン人の話すスパニッシュと、中南米人の話すスパニッシュにはいろいろ違いはあるでしょう。もちろん、中南米のスパニッシュにもいろいろ違いはある。もちろん、一人一人違うし。けど、どれも一応「スパニッシュ」じゃん、よと。

まあ、いちいち突っ込まなかったんだけどね。差別意識がある人と真正面からやり合ってもしょうがないし。余程のことがない限りね。目の前で人が傷つけられない限り。

ちなみに、中南米出身者にもスペインやスペイン人についていや~な文句垂れる人はいる。そして、もちろん、ほとんどのスペイン人は気のいいナイスな奴らですよ。連中のノリにはついていけんけど。つか、うぜ~、と思ったりするけど。お隣のフランス人があんなにノリ悪いのに不思議だなあ。


そ~いや、「ニューヨークタイムス・マガジン」(ニューヨークタイムスの日曜版についてくる)で、いつか 「what is race?」(人種ってなによ?)って表紙があった(いつぞやのベネトンの広告のような)。何十人かの顔の写真が並んでるだけ。混血しまくりでわけわかんねー、骨格白人っぽくて、色は黒かったり、逆だったり、鼻はあれで、唇がこうで、マブタがああで、髪の毛があんなかんじで、とにかく、もうごちゃごちゃ。raceっていっても、もうわけわからんっすよ。

ヴィレッジ・ボイス」という、ニューヨーク近辺でばら撒かれてるフリーペーパーがあるんだけど、分厚くて内容も濃い。で、おもしろいのが「lookinng for (探してます)」のセクション。ようするに出会い欄。そのプロフィールのところがすごい。自分の特徴、人種、民族とかについてが。たとえば、「1/4ロシアン、1/8ブラック、1/8アジアン、1/8アイリッシュ・・・」とか、もうわけわからねー、想像できねー、なのばっか。まあ、これはニューヨーク近辺のだからそうなんだろうけど。

あとおもろいのが、「何月何日の何時頃、どこどこ歩いてた、これこれこんなルックスの女性探してます!」みたいのがあったり。


ま、くだらね~ くだらね~ ちょ~ くだらね~ ですな。




「ピー」といえば、「内P」(内村プロデュース)終わっちゃうんですか~!?  え~~~~!?

くだらね~ の大好きなのに~ !






追記:

ふと思い出したんだけど、チャン・ツィー・イーの出てるシャンプーのCMって微妙じゃないですか?アジア人の女性の髪の美しさを表現するのはいいし、新しい発想で素晴らしいと思うんだけど、白人の女性の醜いチリチリ髪を引き合いに出すってのはどうかと。

これを、逆でやったらヤバイような。白人の美しさに、アジア人の醜さを引き合いに出したらピー!ですよね?細かいこと気にしすぎですかね?



花王アジエンス  チャン・ツィイーCM
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by mudaidesu | 2005-09-27 19:22 | ナショナリズム


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