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「ホテル・ルワンダ」とか世界政府とか


ホテル・ルワンダ
共感と暴露と動揺と切断処理 ホテル・ルワンダ

でこの映画について書いたけど、ここではこの映画のエンドロールのときに流れる歌についてちょっと。「なんで the United States of Africa ができないんだろう?」みたいな歌。

この歌について何も知らないし、この歌の歌詞もチェックしてない。だからこそ、映画を観たときと同じ気持ちで書ける。かも。

「ホテル・ルワンダ」について書いたときは、触れなかったんだけど、正直なところ、あの歌を映画館で聴いたときは、なんか居心地が悪かった。オリエンタリズムの臭いを感じたから。「我々の側」の傲慢を感じたから。

つづき・・・ホテル・ルワンダ痛烈批判!(大ウソ)
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by mudaidesu | 2006-06-07 22:00 | 世界
愛国心vs祖国愛 2  国益主義


愛国心vs祖国愛 1  by 藤原正彦のつづき。っぽい。

また藤原正彦さんの表現でちょっと気になったこと。


「愛国心なんて今すぐ廃語にすべき言葉です。この言葉は明治以来の失敗の最大の原因でしょ。愛国心という言葉には、二つの相反する異質なものが混じっている。一つはナショナリズム。これは国益主義で、他国はどうでもいいという考え方。二つ目はパトリオティズム。つまり祖国愛。これはすべての人間が当たり前に持っていないといけない。でも、戦後の日本は両方を捨てた。それで、今ごろになって、汚い手あかの付いた愛国心という言葉を使おうとしている」・・・

教育基本法改正案 藤原正彦氏に聞く【「愛国心」今すぐ廃語に】―「東京新聞」


つづく
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by mudaidesu | 2006-04-27 12:08 | ナショナリズム
日本人の美徳。保守の道徳。


白バラの祈り」のコメント欄での村野瀬玲奈さんとのやりとりから思い出したこと。「いわゆる保守」の方々のモラルについて。「日本人の美徳」をしつこく信じる「真の保守」な僕(笑)が思ったこと。


まあ、自国を免罪するためのそういう言説(屁理屈)ってのは誠実じゃないですね。西尾幹二さんなんかも、戦後のドイツをボロクソ言ってますよね。他者(元同盟国!)を貶めて、自分は開き直るってのは日本人の美徳に反します(笑)。・・・

私としてはアンチ近代なところもありますし、どうせなら保守主義者になっても別にいいんですが(実際は全然違いますけど)、最近の「いわゆる保守派」には全然シンパシーを感じません(笑)。私が愛着を感じる「日本人の美徳」を「いわゆる保守派」の方々にはまったく見出せません(笑)。

白バラの祈りのコメント欄


とか書いた。

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by mudaidesu | 2006-04-12 22:45 | ナショナリズム
人道的介入・・・正義の武力行使はあるのか


人道的介入・・・正義の武力行使はあるのか

最上敏樹


前・・・国々が相互にそういうルール(国家間)を守りあっていさえすれば、国の中でいかにひどいことが起こっていようと、「平和」は保たれていることになっていた。国際法的に見るなら、それは、侵略と戦争の違法化、武力行使の禁止、他国への干渉の禁止、主権の尊重といった原則の確立強化を意味する。

重さと悩ましさの根源は、その問いかけがはらむ倫理性にある。フランスの哲学者ポール・リクールは、「人の苦しみはそれを見た者に義務を負わせる」という言葉でこの倫理性を表現した。

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by mudaidesu | 2006-02-09 23:24 |
「正統性」が必要な時代? 右翼と鷹派


以前も紹介したけど、もう一度。


僕は80年間も愛国運動をしてきました。生まれる前からしてました。じゃないか。40年間、愛国運動をしてました。「君が代」は5千回歌いました。「日の丸」も5千回、掲揚しました。だから「愛国心の絶対量」は軽く、クリアーしました。
 
そんな、超愛国者の私が言うのです。思うのです。愛国心は心の中に収めておけばいい、と。「俺は愛国者だ。文句あっか!」と言葉にしたら、嘘になる。偽者になる。だから私だって、偽者です。本当の愛国者ではありません。要はその人間が、何を叫んだかではありません。何をしたかです。


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by mudaidesu | 2006-01-30 23:33 | ナショナリズム
イラク人質問題 9  自衛隊撤退


いきなりだけど、僕自身、自衛隊は撤退できないと思った。対アメリカについてをまったく無視しても。「アメリカさまのご意向」という変数を抜きに考えても、自衛隊撤退はちょっとなあだった。だから、余計にあの三人に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

もし僕が政策判断する立場にいたら、ようするに首相だったら、撤退という判断は絶対にできなかった。まあ、首相じゃないんだから、もっと柔軟に考えてもいいんでしょうけど。でも、首相にアドバイスする立場でも、撤退はムリと言っただろう。

ほんとにへタレでごめんなさい。


他に何も浮かばなかった。僕のスッカラカンな頭じゃなんにも思いつかない。簡単に自分の答えを出さずいろいろ考えたんだけど、いくら考えても思いつかなかった。でも、もし万が一、世論が大沸騰して首相が撤退を決断なんてことになっても、反対はしなかっただろう。自分から撤退は主張する気にはならなかったけど、撤退全然OKと思ってた。いや、僕が反対しても賛成してもどうなるわけじゃないんですけどね。


一応撤退はできないと思ってても、話聞いてムカツクのは「テロに屈するわけにはいかない」とかしゃーしゃーとしたり顔でいったりする人の方だったんだよね。「撤退しろ」という人の方がはるかに共感できた。悩みながら苦しそうに「撤退はできない」という人には共感したけど。

僕の撤退反対も本質的には「将来のために、他の日本人その他のために(この前置きがとても重要)、テロに屈するわけにはいかない」なんだけど、絶対に「テロに屈するわけにはいかない」という表現は使わなかった。絶対に使いたくなかった。これほど安っぽくて浅はかな言葉はない。というか、チープな言葉になっちまった。思考停止の象徴のような言葉になっちまった。



これは、9条問題でもそう。僕自身迷いまくってグラグラ揺れまくってるけど、どっちかというと(現状の選択肢では民主党的な)改憲派のような気がする。でもね、自民党路線(主にあっち系)や巷の素朴な「攻めれたらどーすんだよ!」「中国がどうたらこうたら」系(今の改憲の論点はそこじゃないよ。論点は二つ。国連安保理決議なしの武力行使(=アメリカの戦争)への関わり方と国連安保理決議ありの武力行使(=集団安全保障)への関わり方)や「外交は武力を背景に!俺たちは損してる!」系の改憲派と比べると、ずっと共感するのは護憲派の方。ここでちょっと書いたけど、改憲派の重鎮の小林節の気持ちがほんとによくわかる。おかしな改憲論に出会うたびに、僕の改憲への意欲が萎える。

最近、特にイラク戦争後、ますますグラグラユラユラしまくり。というか、6、7年前は躊躇なく改憲!とか思ってたような気がする。それから、だいぶ護憲よりにシフトしてきてる。流行に逆行。それに、ここのところの小泉さん周辺の改憲戦略は、靖国その他で中韓とわざとモメて改憲の世論構築をしながらのような気がするので、こういうあやうい「不安を煽る」戦略には乗れない。ついでに、アジアで孤立しているという批判はあまり意味がない。わざと孤立しようとしてるだろうから。

僕は一応、日本人を信頼してるから、最近のファナティックなナショナリズムや「つくる会」みたいのが盛り上がれば盛り上がるほど、改憲への世間の不安感が高まると信じてる。あっち系の人たちは改憲のイメージ悪化に寄与しちゃうと思う(その点、西村真悟の存在は改憲のイメージを著しく悪くしてたので、彼の排除で得するのは改憲派)。実際、僕の中ではそう。改憲派がまともな人たちばかりで、あっち系の人が全然目立たない状況だったら、それこそが護憲派にとっては脅威だと思う。

で、おそらく、改憲の国民投票ではノンに入れると思う。もちろん内容次第だけど、国民投票にかけられる案は僕が賛成可能なものになると思う。で、実際に国民投票やるなら確実に過半数とれると確信してるだろうし、五分五分の世論じゃ国民投票はやらないと思う。そういう状況なら、改憲が決定的な状況なら、反対がいるということを示すためにもノン(たった一票ですけど)。乙女じゃないけど、僕の心は複雑です。

そういえば、videonews.comで、右翼(?)の小室直樹(宮台真司の師匠で丸山真男の弟子)がリアリストぶりを発揮してた。小室さんは日本国憲法や9条を自著ではボロクソ言ってる。この人は近代主義者なんで、その立場からの批判。だから、すごくまとも。その小室さんが、日本人はまだ憲法作れる民度じゃないし、9条あった方が得だから、アメリカさんには「改憲しようとがんばってるんですが、なかなか世論が乗ってこなくて上手くいきません」みたいなことを言いつつ今のままでいいよ、みたいなことを言ってた。保守本流的な議論。



話だいぶ飛んだけど、自衛隊撤退の話にもどると、あーあ、だから、(二年前の)選挙で民主党が勝つべきだったんだよ!とつくづく思った。民主党でも自衛隊派遣したかもしれないけど、それならそれでもっともっと議論が起こっただろうし、いろいろなものが見えてきたと思う。

やっぱりね、政権が自分でやった政策を変えるのはめちゃくちゃ難しい。そうそう自己否定はできるもんじゃない。民主主義がなかなかイケてるシステムなのは、政権交代が可能だから。政策をドラスティックに変えることが可能だから。(ブッシュの一期目のABC(Anything But Clinton とにかくクリントンと違うことをやる)みたいなはアホだけど。)

おまけに、今の日米関係みたいに政権同士の信頼関係のもとでの政策ならとくにそう。政権変えなきゃ、こういう政策は変えられない。悲しいけどそれが現実。せめて、何十万人が官邸・国会取り囲むくらいのことが起きなきゃ。


でもね、駅でやってた、自衛隊撤退署名はした。用事があって行けなかったけど、首相官邸前のデモにも行こうと思った。矛盾してんだけど。

でも、フィリピンがサクっと撤退しちゃったのを見て、ありゃ?と思った。もしかして、撤退可能だった?とか思ったりもした。イラクや中東で働いてるフィリピン人が多いっていう日本とは違う条件もあったけど。おまけに、フィリピンでは世論が撤退支持だったし。というか、フィリピン世論はちゃんと宮台真司(「イラク人質問題 8  動揺」)が言うような他者の境遇への想像力を発揮した。

フィリピンってイスラム系の反政府組織と年がら年中モメてるから、テロとはなんぞやについてのフィリピン人の皮膚感覚は日本人より優れてるはず。テロに関してナイーブな考えは持ってない。フィリピン政府なんてゴリゴリ・リアリストで、めちゃくちゃ冷徹に政策決めてるはず。

となると、テロにうといくせに、知ったかで「テロに屈するな!」とか叫ぶ日本人の言葉がみょーに空疎に感じてくる。ノンキだなあと。なんかそういうのが嫌なんで、自衛隊撤退反対でも、「テロに屈するわけにはいかない!」みたいなありがちな表現は絶対に使わなかった僕だけど、結局中身はたいしてかわらず、ノンキな一人なのかも。
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by mudaidesu | 2005-12-26 22:52 | イラク人質事件
またまた a リアリスト on アメリカ外交政策


またまた『論座』11月号ですが、 『フォーリン・アフェアーズ』の論文についてちょっとだけ。

リアリストのリアリズム イラク戦争反対」でちょっと書いたミアシャイマー(笑)の盟友のスティーブン・ウォルト(Stephen M. Walt。この人もユダヤ系だよね?)さんが書いてます。この人、ハーバードの大物なのに、なぜかいっつもミアシャイマーのおまけ扱い。

ちょっと脱線しますが、「リアリストのリアリズム」へ「色・色」さんからTBいただいた記事 

アメリカは何のためにイラクを侵略した?
http://iro-iro.jugem.jp/?eid=66

によると、アンケートに答えた882人の国際関係学者の80%がイラク戦争に反対だったそう。で、87%が戦争によってアメリカの安全保障が脅かされると考えていたそうです。なにげに、20%が気になりますね。ネオコンさんはこんなにいないだろうし。「リアリストのリアリズム」で書いたように、リアリストはほとんど全員(有名どころは)反対のようだし、というと、いったいどんな系の人が賛成してたんでしょうか。


で、ウォルトさんの論文の日本語タイトルは「アメリカの強大化と世界の反発・・・アメリカは地域バランサーへの回帰を」で、リアリストっぽいタイトル。伝統的な孤立主義でもなくリベラルな国際主義でもなくネオコンさんなすっとんきょう主義でもなく。でも、ちょっとアレ?ってところがあったので。

以下引用。

孤立主義への回帰は選択肢にはならない。・・・。

批判派(孤立主義者。ブキャナンさんとか)が何をどう考えているにせよ、世界コミュ二ティーは、公海自由の原則を守り、対テロ戦争を戦い、WMD拡散防止を試み、国連、国際通貨基金、世界銀行を支えていく上で、アメリカに多くを依存している。ワシントンが圧倒的な影響力をもっているおかげで、世界各地での大国間のライバル関係が抑え込まれ、これが安定した世界秩序を維持していく助けになっている。アメリカが完全に国際社会から手を引いて、より大きな安全と繁栄を手にする国はほとんどない(この部分はちょっとリベラルっぽいなあ)。

とすれば、アメリカは、域外に身を置きつつ秩序バランスの維持に貢献するという伝統的な役割に立ち戻るべきではないか。・・・。パワーバランスの維持は地域諸国に委ね、・・・。介入は、地域的なパワーバランスが崩壊し、死活的なアメリカの利益が敵対勢力に脅かされてるといった、絶対的な必要性がある場合に限定する。

要するに、同盟諸国には関与しながらも、アメリカは軍事プレゼンスを最小限に抑えるというやり方だ。

とリアリストらしい議論をし、

アメリカの外交政策は、アメリカのパワーで何ができ、何ができないかについての認識に導かれたものでなければならない。比類なきパワーを手にしたからといって、アメリカが自分の価値を他国に押しつけることができる、あるいは押しつけるべきだと考えるのは間違っている。いかに、アメリカ人が自国の動機を利他的なものだとみなしても、価値を相手に強要すべきではない。

ネオコンサーバティブのアメリカ帝国論者やリベラルな国際主義者にとって、世界に対して何をすべきで、どのように暮らすべきかをお説教するのは、効しがたい誘惑なのかもしれない。

みたいにお約束のリベラル&ネオコン批判もちゃんと忘れない。リベラルとネオコンを同類扱いして。「リアリストのりアリズム イラク戦争反対」で触れたミマシャイマーさんとウォルトさんの「リアリズムvsネオコン」と同じように。ところで、ウォルトさん、なにげに、ネオコンさんを「アメリカ帝国論者」とか呼んじゃってるし。リアリストもネオコンさんをそういう風に呼ぶのね。ちょっと驚いた。

けどね、アレレレレ!?ってな文章もところどころにあんのよ。

軍事力を慎重に用い、主要な同盟国との強調関係を育み、とりわけ、地に落ちた国際社会でのイメージを回復することで(強調)、アメリカは自らの支配的な優位を他国にとって受け入れられるものにしていく必要がある。

問題はアメリカ人が自国の行動をどう判断するかではなく、他国がそれをどうみなすかである。・・・。いまや、超大国としてのアメリカの地位を支える国際社会でのアメリカの好感度は急激に低下してきている。

アメリカの現在の任務は、かつて世界がこの国に託した信頼、称賛、正統性を再建することだ。そうすれば、世界はアメリカのパワーを抑えることにではなく、それがもたらす恩恵に目を向けるようになる。

とか書いてますが、(ネオ)リアリストらしくないですねえ。リベラルっぽいですよ。ウォルトさんの議論を隅々まで知ってるわけじゃないんだけど、ハーバードの同僚のジョセフ・ナイさんの「ソフトパワー」の議論に影響されちゃってるんでしょうか。

というか、のんきにコテコテのリアリズム理論をやってる状況にアメリカはないっていう自覚からでしょうか。リアリスト(というかウォルトさんと相棒のミアシャイマーさんのが特に)の文章ってめちゃくちゃ論理的なんだけど、ときには浮世離れ(現実主義者のくせに)しちゃってることもあんだけど、これはとても普通で常識的な論文になっちゃってます。まあ、「フォーリン・アフェアーズ」がそもそもそういうもんなんだけど。
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by mudaidesu | 2005-11-24 22:15 | 世界
安倍ちゃんは本気だったん?


北朝鮮への経済制裁の話です。「<純粋なるもの>への回帰願望  ぺ・ヨンジュンという思想」のコメント欄で、安倍晋三さんにちょっと触れたついでに。「(安倍さんに)ほんのちょっと、ほんとにほんのちょっとだけですが、アジア外交期待してたり(笑)」とか書いちゃったし(笑)。ちなみに、一応、拉致問題についての僕の基本的なスタンスは「拉致問題どうなったん!?」みたいなかんじ。


で、最近はすっかり盛り下がっちゃってるけど、一時は経済制裁!ってな声があちこちでありました。その象徴的存在が安倍さんでしたね。彼は本気で経済制裁をすべきと思っていたのでしょうか。どうなんでしょう。

小泉さんが絶対YESと言わないのを安倍さんはわかっていたとは思う。そして、安倍さんが小泉さんに反旗を翻すことは絶対にないと思ってました。しかし、もし万が一、世論が大沸騰して小泉さんの支持率が急降下して、制裁すべし!という雰囲気になり、安倍さん以外じゃ政治が成り立たない状況にもし仮になってたら。


アホなSFみたいな話だけど、制裁支持が75%くらいのときもあったんだから、可能性はゼロじゃなかったのではと。(二回目の小泉訪朝後、家族会の怒りを受けて平沼さんがオポチュ二ストぶりを発揮し、反小泉的な発言を連発しましたが、小泉さんの人気が落ちず、家族会に逆風が吹くのを確認すると、あっさりトーンダウンしてポシャりましたね。平沼さんてほんとヘタレだなあと思いましたが、この前の郵政問題では頑張りましたね。前回同様、空気読み違えただけかも知れませんが。)


で、↑のSFのようなことになってたとしたら、安倍さんはやったのか?あの時点で、あの東アジア情勢で。


なにも僕は全ての経済制裁がナンセンスだとは思ってない。準備しとくのは当然メイクセンス。効果的な経済制裁もある。対南アフリカへの経済制裁は成功例だと思うし。ただ、あの状況での日本の経済制裁はまったくナンセンス。ま、だからこそ実際に日本はやらなかったわけだけど。けど、イラク戦争みたいなナンセンスが起こっちゃったりするんだから、世の中わからないし難しい。イラク戦争もまさかあんな形でやらんだろうと僕は思っていたし。


山本一太さんもやるべきと言っていたが、あれは完全にポーズだった。と思う。小泉さんとの役割分担。安倍さんの役割もそうだと一応は思ってました。あとは、世論のガス抜き係の役割かな。

けどねえ。山本さんについては確信を持ってあれは戦略だったと言えるんだけど、安倍さんはそういうリアリストには見えないんだよねえ。ほんと政治屋ってかんじで。(「政治屋」の使い方が変だけど気にしない。)なんでもかんでも、政争の具にする人ってかんじ。外交上の戦略としてじゃなく、内政に利用しまくってただけじゃないかと。自分のためだけに。


「経済制裁に反対する人は、北朝鮮に工作されてる」なーんてことを「ホーム」の「報道2001」で何度か言っていた。街頭演説でも言ってたようだ。

マジかよ!反対論者は北朝鮮の手先なのかよ!そうだったんだ!ガッテン!っては思わんかったけど。というか、この人なんでも、北朝鮮の「工作」出せば、自分の正しさが証明できると思ってんのかな?大人気だし、それが成功しちゃってんだけど。


というか、こーいう理性もへったくれもない発言を繰り返すこの人は、本気で制裁なんて言ってるのかも?と空恐ろしくなった。役割分担じゃないの?それとも、ほんとは役割分担なんだけど、ついでに政敵を叩いといてやれってだけ?


でも、ここ数ヶ月すっかりそういうこと言わなくなったから、ああ、やっぱり口だけだったのねと。あれが戦略だったならまだいいけど、行きあたりばったりだったら・・・。この人が首相になるときのことを考えると、本気じゃなかった方がいい。けど、ああやって、世論を煽るのはアリなのか?

そりゃ、なんでもアリなんでしょうけど、ヤケドする可能性だってある。実際、二回目の小泉訪朝まですごい時間かかったし。あれは世論が煽られまくっちゃったせいでしょ。もうちょいうまくやってれば、もっと早く子どもたちの来日は実現できたはず。



ちなにみ、拉致問題に関して安倍さんをまったく評価してないけど、平沢さんはそれなりに評価してる。拉致問題では一番マシだと思う。一番役に立ったと思う。最初から頑張って、世論を高めたし。僕はリアリストじゃないんで、人道問題はときには国益より大切だと思ってますんで。

平沢さんの煽りの内容は排外主義的で微妙だったけど、他にやる人がいなかった。他の人はなにもしなかった。ゼロよりはマシ。一回目の小泉訪朝後、毅然と対応すれば北朝鮮は折れてくる、と言い続けてたのは???だったけど。(安倍さんなんて、北は冬を越せないとか言ってた。)


しかし、平沢さんは自分の見通しが甘かったことを率直に認め、これじゃダメだと方針転換した。それによって一部からバッシングされたけど、あれを見て、この人は本気で拉致問題を進展させようとしてんのかもと思った。拉致問題を利用してるだけの人もいるかもしれないけど、この人はそうじゃないのかなあと。やれることやれないことをきちんと考えて最善を尽くそうとしてんのかなと。リアリストというよりプラグマティストってなかんじかなあと。拉致問題に群がる他の人たちとは違うのかなあと。平沢さんに甘すぎですかね。平沢さんの政治思想そのものは他の人たちとたいして変わらんと思いますけど。それに、拉致問題は平沢さんのレーゾンデートルでもあるし。
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by mudaidesu | 2005-11-17 22:11 | ニッポン
リアリストのリアリズム  イラク戦争反対


ダブスタ&ゼロサム」でリアリズム国際関係理論について触れましたが、また、ちょっとリアリズムとリアリストについて。リアリストのイラク戦争への考え方についてもちょっとだけ。というか、リアリストならイラク戦争反対に決まってますよ、と。

リアリズムの理論家ってユダヤ系ばかりなんだよね。名前が。初期の理論家には、ドイツからアメリカに逃げてきた人もいた。有名なのが、ハンス・モーゲンソ―(Hans Morgenthau)。この人は、大御所中の大御所。リアリズム国際関係理論の生みの親。

やっぱ、ユダヤ人としての経験が影響与えてんのかなあと。リアリストの世界観に。リアリズムは防御の思想なのかなと。世の中あまくねーぜ、と。

理論上は、どんな国家でも国家の生存のために合理的判断するので、国家の体制についての善悪の判断はしない。そして、モラルなんて考慮されてない。けど、初期のリアリスト、というか、古典派のリアリストには、それでも「モラルが大切」みたいな信念があったみたい。モーゲンソ―の論文にそういうのがあった。「善」を守るためにこそ、ナイーブな思考を止めて、冷徹にいくべし、みたいな。そーいうことを熱く語ってる異色の論文があって驚いた。古典派と違って、ネオリアリストは、そういうのもふっとばしちゃてるような気もする。


リアリズム、とくにネオリアリズムの議論ってめちゃくちゃおもしろい。とってもシンプルで。僕自身は、リアリストじゃないし、リアリストを批判する側なんだけど。それでも、おもしろい。

ジョン・マーシュマイヤー(John Mearsheimer) というネオリアリストがとくに好き。(追記:なんか、調べてみたら、日本語読みはミアシャイマーみたいね。というか、どーみても、最後がマイヤーにならんよね。いまだに英語がちゃんと発音できない、というか、テキトーに発音して、そのまま間違えて記憶するってのは、僕の中ではよくあることです。)

この人の名前もユダヤ系ですね。この人は古典派のモーゲンソーやらよりはちょっとタカ派的。offensive realismとか呼ばれてて、過去においての軍事力の重要性みたいのを語っちゃったり。けど、この人の議論はとてもシンプルでいいんですよ。(いつも、相棒のStephen Waltさんと書いてるけど。)好き嫌いは別にして文章がめちゃくちゃシンプルでいい。論理も超シンプル。英語の文章なんてどういうのがいいかさっぱりわかりませんが、この人の文章だけはすごいと思った。


で、イラク戦争ですが、この人はイラク戦争反対でした。

イラクには、封じ込め政策で十分。封じ込め政策は過去にもうまくいったし、将来もうまくいくと。フセイン相手でもそれで十分と。フセインはイカれた奴じゃない。ちゃんと封じ込め=抑止すれば大丈夫。たとえ、大量破壊兵器を持ったとしても、アメリカや同盟国を攻撃・脅迫することはない。アル・カイーダ対策の方が大事で、イラクなんかにかまってらんない。おまけに、イラク侵攻なんてやっちまったたら、後始末がちょー大変。先が読めなすぎ、んなリスクはいらん。おまけに、余計なことすると、北朝鮮とかが核開発加速しちゃうかもだし。秩序を壊すなと。つか、中東和平を先やれよ。みたいなかんじ。

Keeping Saddam in a Box  2/2 2003 The Newyork Times
An unnecessary war  Foreign Policy Jan/Feb 2003
Realism versus Neo-conservatism 2005 5月 (タイトル通り、リアリズムvsネオコン)
wilipedia John Mearsheimer


ネオリアリストの大御所のケネス・ワルツ(Kenneth Waltz、ユダヤ系ですね)も、イラクはいままでどおりの封じ込めでよい、と2003年2月のインタビューで言ってました。よーするに、ネオリアリストは国家は理性的で自己の生存のために合理的判断をする、と考えるので、フセインのイラクが、自分の国を危うくするようなこと(アメリカに対する先制攻撃、テロリストに武器供与など)はしない、と。イカれた奴があんな地域であんなに何十年も権力握れないって、とか。

まあ、ある意味、フセインを信じているというかなんというか(金正日も)。この人は、「ならず者国家」みたいな概念が嫌いなようです。国家にならず者もへったくれもない。「ならず者国家」みたいな発想はリベラルのナイーブちゃんの自己満足にすぎない。国家はみんな国家だ。みたいな。結局、フセインは国を滅ぼしたんですが。

Conversation with Kenneth N. Waltz
wikipedia Kenneth Waltz



リアリストの大御所中の大御所のジョージ・ケナン(George Kennan)もそうでした。ケナンは、冷戦勃発時のアメリカの外交戦略の理論的基礎を築いた人です。当時、ソ連を封じ込めろと主張しました。いわゆる「封じ込め政策」(containment)の生みの親。(古典派なんで、ソ連に対しての、アメリカの正しさを信じた上ででしょう。)

リアリストのケナンはクリントン政権のリベラル的外交(人権重視、人道的介入など)を批判した。ケナンは、アメリカ・NATOのコソボ介入やNATO拡大にも反対したそうで。ロシアとの関係を悪化させちゃダメだから。(セルビアとロシアは宗教上近いんで親密。だから、欧米はコソボ介入時、安保理決議を目指さなかった。)当然、イラク戦争にも反対。アル・カイーダ対策の方が大事だろと。アル・カイーダとイラクが繋がってるなんて話はアテにならんぞ、と。というか、マジで見通し不明すぎてヤバイって。戦争の目的がコロコロ変わって、ズルズルと続けちゃう危険があるぞ、とか。ケナンは、今年、101歳で亡くなりました。

George Kennan Speaks Out About Iraq
obituary The Economist
obituary The Washingtonpost
Kennan's Foreign Affairs articles
wikipedia George Kennan


リアリストの戦争反対は、「反戦」ではなく、簡単に言っちゃえば、国際の秩序・バランス=国益、を重視するから。たとえば、リアリストは台湾独立には反対だろう。台湾が民主主義、中国が権威主義ってのは関係ない。国家の中身はどうでもいい。国家体制についての善悪の判断は排除する。

僕は、へタレ・リベラルなんで、心情的にはもちろん台湾独立。というか、台湾の人たちで好きなように決めて。だけど、さすがに予測不可能なんで、ごめんよ台湾、中国がもうちょいマシな国になるまで待っておくれ、です。しかしながら、台湾の独立志向の方々は、日本の右派(親台派)に気を使っちゃってほんとかわいそうだと思う。国民党独裁政権と闘ってきたリベラル派が多かったりするだろうに。というか、民進党って名前のとおり一応基本は進歩派だよね。国内政策ではいろいろごちゃごちゃしてるようだけど(対中国についても一枚岩じゃないけど)。というか、あんまり詳しくないんだけど。


というか、日米のネオコン的なるもののせいで、リアリストが輝いて見えてします今日この頃ですよ。前は、ったく、冷てー議論してんな、コイツラ、とか思ってたのに・・・。

日本のリアリストで、公にアメリカのイラク戦争に反対したのは岡本行夫さんくらい?(岡本さんは、自衛隊派遣はしょうがない、というスタンスでしたが。)よく知らんですけど。森本敏さんは、「アメリカはおかしい」とはいいつつも、この人は自分の意見=日本政府の意見、みたいな意識で語るから、「アメリカはおかしいけど、日本はサポートしないわけにはいかない」みたなノリだった?


ところで、リアリストはイラク戦争反対だけど、実は、ベトナム戦争も反対だった。↑のマーシュマイヤー(ミアシャイマー)の「リアリズムvsネオコン」によると、リアリストでベトナム戦争に反対しなかったのはキッシンジャーだけだそう。ベトナム戦争の話になると、ニクソンのイメージが悪いですが、そもそも、ベトナムに突っ込んでいったのは民主党のリベラル系の方々。後始末をリアリスト系のニクソンがやってた(大ボケして、戦争エスカレートさせたりもしましたけど)。ニクソンの訪中なんかは、まさに、リアリストの真骨頂でしょう。

そして、マーシュマイヤー(ミアシャイマー)によると、ベトナムと同じように、キッシンジャー以外、ほとんどすべて(allmost all)のリアリストはイラク戦争に反対だと。キッシンジャーはブッシュ家とのお付き合い上、反対を言わなかったのでは?んなわけないですかねえ。でも、パパブッシュも内心では反対だったでしょうしねえ。

この「リアリズムvsネオコン」のノリは、基本的には、従来型の、ネオコン登場以前の、リアリストのリベラル批判のノリとほとんど同じ。これを読むと、あらためて、ネオコンさんってのはリベラルの突然変異なんだなあ、と思わされます。まさに異端ですね。アメリカの知的潮流の中では、すごく小さい勢力なのに、政権乗っ取っちゃった。

この論文によると、ネオコンは民主主義の魅力を過大評価して、ナショナリズムを無視していると。ネオコンは、民主主義を持ってきゃ、みんな喜ぶだろうみたいな発想。モーゲンソーなどのリアリストは、逆で、ナショナリズムの力をちゃんと考慮しているからこそ、他人の社会に突っ込んでいくな、と主張する。

これは、ベトナム戦争についてもいえる。アメリカが直面したのは地元民のナショナリズムだった。冷戦時代のアメリカは、反米=共産主義と短絡に考えていて、ナショナリズムを考慮に入れてなかったとも言われますね。イランのモサディクなんてまさにそう。ソ連がアフガニスタンで経験したのもそれですな。


で、リアリストのイラク戦争反対論をあらためてザラっとチェックしてみると、理性的なんだけど、やっぱり弱いなあ、と。やっぱり「不安を煽る」(=もし○○だったらどーすんだ!系)という相手の手法にはなかなか勝てないだろうなあと。「勝つ」とは、より多くの人をその気にさせるということね。世の中うまく行きませんねえ。


関連

またまた a リアリスト on アメリカ外交政策
<フランシス・フクヤマ>論争 リベラル ネオコン フェミ
ネオコンの懺悔!?ブッシュ批判!?by フランシス・フクヤマ
ニッポン 旧ユーゴ 虐殺 国連 その他
ダブスタ&ゼロサム
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by mudaidesu | 2005-11-05 00:44 | 世界
靖国問題について


ダブスタ&ゼロサム」に「Johnny style!」さんから靖国問題についての文章のTBもらったので、コメント代わりにちょっと書きます。

私のいいかげんなメモ書き程度のエントリーにTBすみません(笑)。あちらの力の入った文章に感心させられました。でも、非国際人さんが指摘するように、靖国参拝賛成派へ語りかけるなら、そちらの議論にも配慮して論じることも大切かな、とも思いました。

靖国問題について、私も思うところはめちゃくちゃたくさんあるのですが、面倒でいまさら書く気がしない、という情けない状態です。いろんなポイントがありますから、少しづつでも書いていけばいいんでしょうけど・・・。

靖国問題って、ほんとにいろんな論点があるんですよね。日本の戦争、日本の戦前史・戦後史、日本の歴史・文化・伝統・宗教、靖国神社そのものの歴史、靖国神社の歴史観、東京裁判、サンフランシスコ講和条約、中国共産党、中華人民共和国の歴史、韓国の歴史、国際政治、ナショナリズム、「つくる会」、天皇、遺族会、憲法、司法制度、政教分離、・・・・、いくらでも論点が出てきます。はっきり言って、真面目に書き出すとキリがないです。

思うこと全てを書くのは面倒なんで(すみません)、いくつかだけ書いときます。私は「ダブスタ&ゼロサム」では、リアリズムに関する問題として、靖国にちょっと触れました。「Johnny style!」さんは、外交問題としての視点から、靖国問題のいろいろな論点に触れてます。私も、外交問題としての靖国問題に関して、思うところはいろいろあるのですが、ここではちょっとだけにします。あちらで触れられてる論点のうちのいくつかについてだけにします。


「靖国参拝やめたって、日中関係が全てうまくいくわけじゃない」みたいな議論を、一部の政治家さんとかからよく聞きますが、正直、この主張は微妙ですね。「靖国参拝やめれば、日中関係が全てうまくいく」なんて誰も言ってないですし。


「内政干渉論」も微妙ですねえ。「内政干渉」ってのは「主権侵害」であり、「主権侵害」ってのは、圧力かけて国内政策を実際に変えさせることですし。中韓のやってることは、まだ批判・注文どまりだと思います。中国ではビジネスチャンスを日本企業がことごとく逃してるそうですけど。まあ、圧力が経済制裁までいったら内政干渉と見なしてもいいと思います。米国が日本に経済摩擦でやるような制裁までいったら。

でも、国際政治上の「内政干渉」、というか、「内政干渉しない」という国際政治上のルールは、厳密には、大国が小国に強制的に影響を与えることについてなんですよね。ときには武力を背景に。少なくとも、国連憲章の精神ではそうです。強国による弱小国の支配はダメよと。国連憲章の精神は、二つの世界大戦の反省からですし。まあ、冷戦時代は両陣営が内政干渉しまくりでしたけど。

で、国際政治のルール上NG(タテマエでは)の「内政干渉」を、大国に露骨にされちゃう小国なんかは、世界に向かって「内政干渉!」なんて言えるわけがない。そんなこと言える余裕や力があれば、「内政干渉」されないですから。

最近の国際政治で、国家が「内政干渉!」と叫ぶのはどういうときでしょう?ちょっと前は中国がよく言ってましたよね。北朝鮮も。独裁政権が人権問題などで、アメリカなどに「まともな批判」をされたとき。こういう反応って、その問題について「国際的に正当性のある」反論ができないからこそでしょう。中国はアメリカの貧困問題を批判し「そっちこそ人権軽視!」とやったこともありました。そりゃそうだという部分もありますが、苦し紛れのすりかえです。「おまえだって!誰々だって!」というのは内輪でのディベートではそれなりに有効かもしれませんが、「国際的に」説得力のある議論には絶対にならないと思います。

靖国問題での、日本国内の「内政干渉!」というのも、構図としては同じではないでしょうか。森本敏さんが朝生でも言っていたのですが、日本が靖国問題で「国際的に正当性のある」反論をするのは不可能でしょう。というか、中国共産党の言い分の中で、靖国参拝批判ほど、「国際的にまとも」な主張はあんまりないでしょう(笑)。それだから、こっちは「内政干渉!」としか主張できない。というか、この「内政干渉!」というのは日本国内向けでしょう。さすがに、たいした圧力かけられてないのに、独裁政権のように世界に向かって「内政干渉!」と叫ぶのはちょっと恥ずかしい。大国日本がそんなこと大真面目で言ったら、自分たちの外交力がヘボいということを宣言するようなもんですから。

というか、この程度の批判・注文を「内政干渉」とか言ってたら、北朝鮮その他の独裁政権を批判できなくなっちゃいますよ。ガンガン批判しましょうよ。私はリアリストじゃないんで、他国の人権問題その他の国内政策はガンガン批判すべきだと思ってますし。

まあ、小泉さんが高裁の判断に気を使って「私的参拝」を強調しているんで、「内政干渉」議論はもう古い論点になっちゃってると思いますけど。


靖国問題で譲歩したら他の問題でもズルズル譲歩してしまう、って議論もありますね。これも森本さんが言っていたのですが、他の問題なら、日本は「国際的に正当性のある」、というか、「国際的にたたかえる」主張が十分できるでしょう。遠慮のいらないまともな論争が可能です。ズルズル行くほど日本人は無能でないでしょう(対米外交を見てると不安にもなってきますが、中国相手なら全然余裕でしょう)。靖国問題の場合、日本の国論が激しく対立しちゃってますが、他の問題ではそこまで酷い状態ではないでしょうし。

靖国参拝のせいで、日本の国論が激しく二分しちゃって、効果的な対中外交が不可能になっている側面もあると思うます。というか、逆に、中国に対して変な遠慮が出ちゃうんですよね。だから小泉さんも謝罪の言葉出すわけですし。


中国にとって靖国は日本相手のカードでしかない、みたいな議論もあります。これはなかなか難しい。たしかにそういうところもあると思います。しかし、たとえそうでも、今日の国際政治は、国内世論と国際世論をオーディエンスに「タテマエの正当性」を競うようなものなので(イラク戦争前のアメリカvsフランスのように)、「ホンネ」がそうだから「タテマエ」は無視していいというわけにはいかないでしょう。

おまけに、中国は独裁ながらも、世論が力を持ってきていますのでなおさら。このへん難しいところなんですが、対日外交カードというより、中国共産党政府としては、自らの「正統性」のために、靖国は譲れないのかもしれません。抗日の歴史の問題もあるでしょうけど、「悪いのは一部の軍国主義者。他の日本人は中国人民と同じ被害者」のロジックで、中国国民を納得させたんだから、その判断の正当性が、共産党の正統性に関わる問題だったり。というか、日本の世論と違って、中国の世論は、この問題で、99%(?)一致してますし。こういう世論は逆に足かせにもなります。これで世論を裏切ると、まさに共産党政権の「正統性」の問題に繋がってくる。

だから、中国政府も苦しいんだと思います。靖国を「外交カード」として使うほどの余裕はないと思うんですよねえ。国内での「正統性」が完璧ならそういうことできるでしょうけど、ちょっとミスったらヤバイことになるかもしれませんし。中国はゴリゴリのリアリスト外交やるタイプですから、その路線では外交上、靖国にこだわるのは全然得にならないですもん。台湾問題とは全然違う。やっぱり、靖国問題は、外交カードというより、中国共産党にとっての「正統性」の問題だと思います。

国内での「正統性」、国際関係上の国益、この二つの間で苦しい。国益を取ったら、国内世論は99%アゲンストですし。「正統性」があやしい独裁政権としては、これはキツイ。靖国問題片付くまで、キツくて他の問題でも譲歩(=日本にとって得)できない。日本が国益追求するなら、相手が他の問題で譲歩しやすい環境をつくることも必要でしょう。

逆に日本の場合、国益を優先しても、アゲンストは多くても50%程度ですから、やりやすいはずなんですけどねえ。小泉さんは意味不明だから。何考えてるのかイマイチわからない。自分のイメージ戦略のツールとしてしか靖国を見ていないのか。それとも、もう少し戦略的にやっていて、日中の緊張を高め、日米関係をより緊密に、という狙いがあるのだろうか。ちょっと前までは、靖国をカードとして使う(=中国に高く売る)気があるかもと少しは思ったけど、もうそれはなさそうだし。まさか、外交問題になってるのに、外交上、なんの戦略も考えてない、なんてマヌケな話だったらほんとにこわい。リアリストじゃない私でもこわい。

韓国については、あまり心配してないんですよね。なんだかんだ言ってもお互い自由民主主義同士だし、民間レベルの交流を地道にやってけば、政治がゴタゴタしてても、大丈夫でしょうと。


あと、私が思うのは、靖国問題に関して、中国の国内事情に関する冷静な情報・議論があまりに欠けている、ということでしょうか。保守論壇は、中国政府・中国人をただただひたすら侮蔑・嘲笑するだけで、保守論題の傾向を知る以外、中国を知るためにはほとんど役に立ちません。一方の左の論壇の議論も、中国内部がどうなっているかという問題にはほとんど踏み込みませんし。どちらの情報も少々ナイーブすぎるような気がするんですよね(戦略上そうなんでしょうけど)。私自身は左というかリベラル系ですから、結論としては左の議論と基本的には近いんですけど。


追記:そーいえば、靖国問題に関しては、この二人が興味深いこと言ってましたね。

転向!? 石原慎太郎 渡辺恒雄


というか、ちらほらと書いてきたんですが、保守論壇には、中韓や日本の左派に対する憎悪を撒き散らすことをほどほどにしてほしいです。そういうのが「売れる」のでしょうけど、大衆の何かへの憎悪を煽るようなことは、本来、保守主義者こそが、一番嫌うべきことでしょう。そうやって(何かへの憎悪を煽り)大衆を煽動するのは左翼の専売特許であると。保守主義者はそんな下品なまねはしないと。子どもの言い訳、屁理屈のようなセコい正当化も、いいかげんほどほどにしてほしいです。ディベート対策もいいでしょうけど、そんなのばっかりじゃ、魂を揺さぶることは不可能です。

日本の心と知性を代表する保守論壇の方々には、他者への愛情や寛容の精神のあふれる言葉・文章で、靖国論・日本論を語ってほしいです。そういうのが、我々が誇る日本人の美徳でしょう。保守論壇こそがその心・美徳を継承し体現すべきでしょう。保守論壇が育てるべきなのは、憎しみにかられた日本人ではなく、他者への寛容と慈愛の心を持った日本人のはずでしょう。憎しみの心は日本人の文化でも伝統でも「誇り」でもない。寛容の精神こそが日本人の文化であり伝統であり「誇り」のはずでしょう。他者への憎悪を煽るのをやめ、日本への愛を語ってくれ。


リベラル派には、中国政府の善意をナイーブに信じさせるような議論はほどほどにしてほしい。本来、理念的には、日本のリベラル派は中国の一般ピーポーと連帯すべきでしょう。中国政府への批判的な眼差しは決して忘れてはならいと思います。これは、日本人のためというより、中国人のために。日本の国益のためではなく、中国人の幸せのために。日本の国益のために、中国政府と信頼関係を結び付き合うのは、日本のリアリストにまかせちゃっていいのではないでしょうか。なんだかんだいっても、自民党にも民主党にも経済界にも知識人にも、リアリストはたくさんいるでしょう。

リアリストはもっともっと頑張れと。リアリストが不甲斐無いから、リベラル派がリアリストみたいな物言いをしなきゃならない状況になっているんで。リアリストはなりを潜めている場合じゃないですよ。

そして、リベラル派には、靖国参拝を歓迎する普通の人びとの気持ちを、もう少し考えてあげてほしい。その人たちの心にも響くような言説を作り上げてほしい。これはどちらにも言えることですが、相手を「論破」するだけじゃたいして意味がない。内輪だけで通用する議論を、違う考えを持つ人に披露してもほとんど効果はないと思います。

私としては、もうディベートは飽きたんで、論壇にはディベート的な主張・議論はほどほどにして、分析・研究を見せてほしいな、と勝手に他人事のようなこと思ってたりもします。右の議論も左の議論もナショナリスティックすぎかなと(私もへタレ・ナショナリストなんで人のこと言えませんけど・・・)。同じようなのばっかりで、読まされる方としては、ガス抜きにはなっても、あまり勉強にならなかったり。まあ、論壇ってのはそういうもんなんでしょうけど。こういう姿勢は、あまりよくないのかもしれませんけど、やっぱり、たまには他人事のように物事眺めるのも大切かな、と思ったりしてます。




ナベツネ on NYT  ヤスクニとソフトパワー

ヤスクニ・リターンズ  靖国参拝と海外反応 1

ヤスクニ・リターンズ  靖国参拝と海外反応 2

ヤスクニ・リターンズ  靖国参拝と海外反応 3
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by mudaidesu | 2005-10-27 22:50 | ニッポン


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