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シンディ・シーハン vs ヒラリー・クリントン


ところで、「オノ・ヨーコとか」でもちょっと出した「ヴィレッジ・ボイス」のトップ記事がなにげにおもしろかった。あの有名になった「反戦かあさん」のシンディ・シーハンさんについての記事。「リアリストのリアリズム  イラク戦争反対」をちょうど書いたところだし、ちょうどいいので、ちょっとだけ紹介。


Cindy Sheehan for President:
Or Senate. The anti-war left seeks a challenger for Hillary Clinton


タイトルの訳は「シンディ・シーハンを大統領に・・・または上院へ。反戦左派、ヒラリー・クリントンへの挑戦者を物色」みたいなかんじ?かな?

ヒラリーさんが、イラク戦争についてシャキっとした姿勢を示さないから、ニューヨークの反戦派たちがイラだってるそうで。で、ニューヨークの世論調査だと、イラク戦争は間違いが64%(vs31%)だそうです。で、タカ派でいるなら、支持しねーぞ、コノヤロー、みたいな。


シーハンさんも、こんな発言をしたり、書いてるそうです。↓

Sheehan described her as "a political animal who believes she has to be a war hawk to keep up with the big boys."
ヒラリーは、大物政治家・権力者たちと対等にやってくために、(負けないようにするためには、)タカ派にならなきゃと信じてる政治屋だ、と。(よーするに、トップになるには、一般にわかりやすい「タフ」そうな主張をしないとダメだと思ってると。本音は別でも、「軟弱」だと思われたくないだけだと。)

Unless the senator pushes for pulling U.S. troops out of Iraq, Sheehan wrote, "I will resist [her presidential] candidacy with every bit of my power and strength."
もし、ヒラリーがイラクからのアメリカ軍撤退を主張しないなら、シーハンさんは、全身全霊を込めてヒラリーに抵抗する、と。

she reminded the crowd of her efforts to "call out the pro-war Democrats," explaining, "Hillary Clinton is the leader of the pack."
民主党の戦争賛成派と闘いましょう。ヒラリーはその連中のリーダーだ、と。

She then offered up a challenge, urging activists to withhold their support for the popular senator unless she comes around. "It's time to tell your elected officials, 'If you're not with us, you're against us,' " Sheehan said, "and if you're against us, we'll vote you out of office. "
ヒラリーたちが心入れ替えないなら、サポートやめましょう、と。そろそろ言うべきときだと、我々の味方か、それとも敵か、敵なら、落選させますよ、と。(この言い回しは、ブッシュさんの「with us,or with the terrorists」のパクリかな?まあ、アメリカ人はこういう言い回しが好きだけど。)

ヒラリーさんの側近曰く、いや、ヒラリーはブッシュ政権の戦争をいろいろ細かいところまで批判してるよー、と。今すぐの撤退は主張してないけど、それなりに頑張ってんだよー、と。


この記事書いた人によると、

Clinton, in many ways, looks to be playing both sides of the war debate.
ヒラリーは、戦争関連の議論では、どっちにも立てるようにしてる、と。日和見だと。


はやい話が、おまえら、というか、ヒラリー、コラ、勇気だせ、と。日和見ってんじゃねー、と。覚悟決めろ、と。たしかに、シーハンさん、なかなかのスター・クオリティ持ってますねえ。この記事では、「superstar」と表現されてますし。というか、反戦運動を生き返らせたシーハンさんは、マジで期待されてるみたい。民主党の流れを変えるかも、とまで。マジですか(笑)。ちょっと信じられませんけど。いや、シーハンさんが、選挙で勝つということじゃなくて、民主党に強いメッセージを送るという意味での期待だそうですが。けど、本人は、ニューヨークに引っ越すのはちょっと・・・らしいです。

それでも、この記事の最後に出てくる活動家は、「やっぱりワン・イシューだけじゃない」と言い、ヒラリーにプレッシャーをかけ続けると。なんだかんだ言っても、いいところが多いヒラリーに期待すると。


ちなみに、僕自身、イラクの現状についていろいろ思うところもありますが、米軍がどうすればいい、みたいな明解な考えはありません。よくテレビに出てる、どーみても反米サヨじゃない大野さんすら、米軍が引いちゃった方がいいかもと思ってたそうなんで、そうなのかもしれませんが。はっきり言って、僕にはまったく読めません。だから、最初から、やめとけ、と思ってました。
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by mudaidesu | 2005-11-05 01:23 | 世界
リアリストのリアリズム  イラク戦争反対


ダブスタ&ゼロサム」でリアリズム国際関係理論について触れましたが、また、ちょっとリアリズムとリアリストについて。リアリストのイラク戦争への考え方についてもちょっとだけ。というか、リアリストならイラク戦争反対に決まってますよ、と。

リアリズムの理論家ってユダヤ系ばかりなんだよね。名前が。初期の理論家には、ドイツからアメリカに逃げてきた人もいた。有名なのが、ハンス・モーゲンソ―(Hans Morgenthau)。この人は、大御所中の大御所。リアリズム国際関係理論の生みの親。

やっぱ、ユダヤ人としての経験が影響与えてんのかなあと。リアリストの世界観に。リアリズムは防御の思想なのかなと。世の中あまくねーぜ、と。

理論上は、どんな国家でも国家の生存のために合理的判断するので、国家の体制についての善悪の判断はしない。そして、モラルなんて考慮されてない。けど、初期のリアリスト、というか、古典派のリアリストには、それでも「モラルが大切」みたいな信念があったみたい。モーゲンソ―の論文にそういうのがあった。「善」を守るためにこそ、ナイーブな思考を止めて、冷徹にいくべし、みたいな。そーいうことを熱く語ってる異色の論文があって驚いた。古典派と違って、ネオリアリストは、そういうのもふっとばしちゃてるような気もする。


リアリズム、とくにネオリアリズムの議論ってめちゃくちゃおもしろい。とってもシンプルで。僕自身は、リアリストじゃないし、リアリストを批判する側なんだけど。それでも、おもしろい。

ジョン・マーシュマイヤー(John Mearsheimer) というネオリアリストがとくに好き。(追記:なんか、調べてみたら、日本語読みはミアシャイマーみたいね。というか、どーみても、最後がマイヤーにならんよね。いまだに英語がちゃんと発音できない、というか、テキトーに発音して、そのまま間違えて記憶するってのは、僕の中ではよくあることです。)

この人の名前もユダヤ系ですね。この人は古典派のモーゲンソーやらよりはちょっとタカ派的。offensive realismとか呼ばれてて、過去においての軍事力の重要性みたいのを語っちゃったり。けど、この人の議論はとてもシンプルでいいんですよ。(いつも、相棒のStephen Waltさんと書いてるけど。)好き嫌いは別にして文章がめちゃくちゃシンプルでいい。論理も超シンプル。英語の文章なんてどういうのがいいかさっぱりわかりませんが、この人の文章だけはすごいと思った。


で、イラク戦争ですが、この人はイラク戦争反対でした。

イラクには、封じ込め政策で十分。封じ込め政策は過去にもうまくいったし、将来もうまくいくと。フセイン相手でもそれで十分と。フセインはイカれた奴じゃない。ちゃんと封じ込め=抑止すれば大丈夫。たとえ、大量破壊兵器を持ったとしても、アメリカや同盟国を攻撃・脅迫することはない。アル・カイーダ対策の方が大事で、イラクなんかにかまってらんない。おまけに、イラク侵攻なんてやっちまったたら、後始末がちょー大変。先が読めなすぎ、んなリスクはいらん。おまけに、余計なことすると、北朝鮮とかが核開発加速しちゃうかもだし。秩序を壊すなと。つか、中東和平を先やれよ。みたいなかんじ。

Keeping Saddam in a Box  2/2 2003 The Newyork Times
An unnecessary war  Foreign Policy Jan/Feb 2003
Realism versus Neo-conservatism 2005 5月 (タイトル通り、リアリズムvsネオコン)
wilipedia John Mearsheimer


ネオリアリストの大御所のケネス・ワルツ(Kenneth Waltz、ユダヤ系ですね)も、イラクはいままでどおりの封じ込めでよい、と2003年2月のインタビューで言ってました。よーするに、ネオリアリストは国家は理性的で自己の生存のために合理的判断をする、と考えるので、フセインのイラクが、自分の国を危うくするようなこと(アメリカに対する先制攻撃、テロリストに武器供与など)はしない、と。イカれた奴があんな地域であんなに何十年も権力握れないって、とか。

まあ、ある意味、フセインを信じているというかなんというか(金正日も)。この人は、「ならず者国家」みたいな概念が嫌いなようです。国家にならず者もへったくれもない。「ならず者国家」みたいな発想はリベラルのナイーブちゃんの自己満足にすぎない。国家はみんな国家だ。みたいな。結局、フセインは国を滅ぼしたんですが。

Conversation with Kenneth N. Waltz
wikipedia Kenneth Waltz



リアリストの大御所中の大御所のジョージ・ケナン(George Kennan)もそうでした。ケナンは、冷戦勃発時のアメリカの外交戦略の理論的基礎を築いた人です。当時、ソ連を封じ込めろと主張しました。いわゆる「封じ込め政策」(containment)の生みの親。(古典派なんで、ソ連に対しての、アメリカの正しさを信じた上ででしょう。)

リアリストのケナンはクリントン政権のリベラル的外交(人権重視、人道的介入など)を批判した。ケナンは、アメリカ・NATOのコソボ介入やNATO拡大にも反対したそうで。ロシアとの関係を悪化させちゃダメだから。(セルビアとロシアは宗教上近いんで親密。だから、欧米はコソボ介入時、安保理決議を目指さなかった。)当然、イラク戦争にも反対。アル・カイーダ対策の方が大事だろと。アル・カイーダとイラクが繋がってるなんて話はアテにならんぞ、と。というか、マジで見通し不明すぎてヤバイって。戦争の目的がコロコロ変わって、ズルズルと続けちゃう危険があるぞ、とか。ケナンは、今年、101歳で亡くなりました。

George Kennan Speaks Out About Iraq
obituary The Economist
obituary The Washingtonpost
Kennan's Foreign Affairs articles
wikipedia George Kennan


リアリストの戦争反対は、「反戦」ではなく、簡単に言っちゃえば、国際の秩序・バランス=国益、を重視するから。たとえば、リアリストは台湾独立には反対だろう。台湾が民主主義、中国が権威主義ってのは関係ない。国家の中身はどうでもいい。国家体制についての善悪の判断は排除する。

僕は、へタレ・リベラルなんで、心情的にはもちろん台湾独立。というか、台湾の人たちで好きなように決めて。だけど、さすがに予測不可能なんで、ごめんよ台湾、中国がもうちょいマシな国になるまで待っておくれ、です。しかしながら、台湾の独立志向の方々は、日本の右派(親台派)に気を使っちゃってほんとかわいそうだと思う。国民党独裁政権と闘ってきたリベラル派が多かったりするだろうに。というか、民進党って名前のとおり一応基本は進歩派だよね。国内政策ではいろいろごちゃごちゃしてるようだけど(対中国についても一枚岩じゃないけど)。というか、あんまり詳しくないんだけど。


というか、日米のネオコン的なるもののせいで、リアリストが輝いて見えてします今日この頃ですよ。前は、ったく、冷てー議論してんな、コイツラ、とか思ってたのに・・・。

日本のリアリストで、公にアメリカのイラク戦争に反対したのは岡本行夫さんくらい?(岡本さんは、自衛隊派遣はしょうがない、というスタンスでしたが。)よく知らんですけど。森本敏さんは、「アメリカはおかしい」とはいいつつも、この人は自分の意見=日本政府の意見、みたいな意識で語るから、「アメリカはおかしいけど、日本はサポートしないわけにはいかない」みたなノリだった?


ところで、リアリストはイラク戦争反対だけど、実は、ベトナム戦争も反対だった。↑のマーシュマイヤー(ミアシャイマー)の「リアリズムvsネオコン」によると、リアリストでベトナム戦争に反対しなかったのはキッシンジャーだけだそう。ベトナム戦争の話になると、ニクソンのイメージが悪いですが、そもそも、ベトナムに突っ込んでいったのは民主党のリベラル系の方々。後始末をリアリスト系のニクソンがやってた(大ボケして、戦争エスカレートさせたりもしましたけど)。ニクソンの訪中なんかは、まさに、リアリストの真骨頂でしょう。

そして、マーシュマイヤー(ミアシャイマー)によると、ベトナムと同じように、キッシンジャー以外、ほとんどすべて(allmost all)のリアリストはイラク戦争に反対だと。キッシンジャーはブッシュ家とのお付き合い上、反対を言わなかったのでは?んなわけないですかねえ。でも、パパブッシュも内心では反対だったでしょうしねえ。

この「リアリズムvsネオコン」のノリは、基本的には、従来型の、ネオコン登場以前の、リアリストのリベラル批判のノリとほとんど同じ。これを読むと、あらためて、ネオコンさんってのはリベラルの突然変異なんだなあ、と思わされます。まさに異端ですね。アメリカの知的潮流の中では、すごく小さい勢力なのに、政権乗っ取っちゃった。

この論文によると、ネオコンは民主主義の魅力を過大評価して、ナショナリズムを無視していると。ネオコンは、民主主義を持ってきゃ、みんな喜ぶだろうみたいな発想。モーゲンソーなどのリアリストは、逆で、ナショナリズムの力をちゃんと考慮しているからこそ、他人の社会に突っ込んでいくな、と主張する。

これは、ベトナム戦争についてもいえる。アメリカが直面したのは地元民のナショナリズムだった。冷戦時代のアメリカは、反米=共産主義と短絡に考えていて、ナショナリズムを考慮に入れてなかったとも言われますね。イランのモサディクなんてまさにそう。ソ連がアフガニスタンで経験したのもそれですな。


で、リアリストのイラク戦争反対論をあらためてザラっとチェックしてみると、理性的なんだけど、やっぱり弱いなあ、と。やっぱり「不安を煽る」(=もし○○だったらどーすんだ!系)という相手の手法にはなかなか勝てないだろうなあと。「勝つ」とは、より多くの人をその気にさせるということね。世の中うまく行きませんねえ。


関連

またまた a リアリスト on アメリカ外交政策
<フランシス・フクヤマ>論争 リベラル ネオコン フェミ
ネオコンの懺悔!?ブッシュ批判!?by フランシス・フクヤマ
ニッポン 旧ユーゴ 虐殺 国連 その他
ダブスタ&ゼロサム
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by mudaidesu | 2005-11-05 00:44 | 世界
映画 「コーカサスの虜」



過激派が空港など同時襲撃、住民数十人死亡 ロシア南部
http://www.asahi.com/international/update/1013/015.html

ロシア南部の同時襲撃事件、武装勢力61人を殺害
http://www.asahi.com/international/update/1014/007.html


まだ細かい話はわからないですが、あのあたりでこういう話があるたびに思い出すのがこの映画です。




















ロシアの巨匠(よく知りませんが)による作品です。トルストイの小説を、チェチェン紛争に舞台を置き換えて描いた作品だそうです。ロシアの若手(当時)人気(らしい)俳優(実は監督の息子?)も出てます。もう1人のおっさん(オレグ・メンシコフ)もすばらしいです。

すばらしいと思いました。ぜひ、死ぬまでに一度観てみてください。「コーカサスの虜」・・・「コーカサスの虜」・・・「コーカサスの虜」・・・ぜひ、心のどっかにとどめといてください。




コーカサスの虜

文豪トルストイの同名短編を、現代のチェチェン紛争に置き換えて描く感動作。アカデミー外国語映画賞候補作。 ロシア兵ワーニャとサーシャの二人は、戦いの途中で敵の襲撃にい、捕虜となってしまった。二人を捕らえたのは、チェチェンの山村に住む老人アブドゥル。ロシア軍に捕らえられた老人の息子と彼らを交換しようというのだ。囚われの身でありながらも次第に老人の娘ジーナら村人達と心を通わせ合うようになる二人であったが、交渉は一転、思わぬ方向に向かい始めるのだった…。

『自由はパラダイス』『モスクワ・天使のいない夜』で知られるセルゲイ・ボドロフ監督が、文豪トルストイが150年前に書いた同名の短編『コーカサスの虜』をもとに、現代のチェチェン紛争下に舞台を移し、飽くなき戦いの空しさと人間の愚かさを、コーカサスの大自然を背景に詩情豊かに描いていく。

yahoo ショッピング コーカサスの虜
http://store.yahoo.co.jp/digiconeiga/uld-210.html



こちら↓にあらすじが出てますが、結末まで出ちゃってます・・・。

goo 映画紹介 コーカサスの虜
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD30165/comment.html























まあ、この映画は、物語もさることながら、雰囲気、映像、風景、人間、とかそういうのがすばらしいんです。とにかく、美しい。たいぶ前に観たんですけど・・・。また観たい。

「風の谷のナウシカ」を思い出します。こっちも超大好き。


というか、映画観て満足してるだけじゃダメなんですよね・・・。現実があるんですよね・・・。
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by mudaidesu | 2005-10-14 22:32 | 映画
ニッポン 旧ユーゴ 虐殺 国連 その他










Balkan Justice

The Story Behind the First International War Crimes Trial Since Nuremberg   

by Michael P. Scharf





この本は、あるボスニア・セルビア人男性に触れながら、国際人道法、ニュルンベルグ・東京の国際法廷、旧ユーゴ内戦、そして旧ユーゴの国際法廷について書かれている。

追記:この本はピューリッツァー賞にノミネートされたそう。

ある男性とは、写真の人ですが、Dusko Tadic(発音はダスコ・タジッチ?不明なのでアルファベットのままで)という名前。この人はダスティン・ホフマンに似てるので(似てるか?)欧米メディアでは「Dustin Hoffman look-alike」(ダスティン・ホフマン似)と呼ばれていた。Tadicは一番最初に旧ユーゴ法廷で裁かれた人。40数年ぶりに個人が国際的に裁かれる。歴史的な出来事。その一番最初の人。

なぜ、いきなりこの本とこのオッサン?なんですが、すごい印象に残った本なんですわ。いろんな意味で。エグイ描写が多いというのもその理由なんだけど、やはり、このDusko Tadicというオッサンがすごい気になった。人間として、そして日本人として。


なにを隠そう、いや、隠すもへったくれもないんだけど、このDusko Tadicは空手家でした。日本にも何度か来たことがあるらしい。そして、このオッサンはボスニアの田舎でカフェを経営していた。この本を読んでるとき、不謹慎にも、「ぷっ」と吹き出してしまったのだが、このカフェの名前が、なんと・・・・・・「nippon」・・・。

だからどうした?なんですけどね。ちなみに、ちょっと検索してみたら、ニューヨークタイムスの記事がありました。Tadicは空手を教えてもいたようですね。


Tadic owned the Nippon Cafe and taught karate, holding a black belt himself.

(Tadicはニッポン・カフェを経営し、空手を教えていた。彼自身、黒帯び。)

ニューヨークタイムス 5/8 1996 http://www.nytimes.com/specials/bosnia/context/0508yugo-war-crimes.html

この記事によると、Tadicは31もの犯罪で起訴されたようですね。収容所でのムスリムの人たちに対する迫害、レイプ、拷問、虐殺等で。この記事は裁判開始、約40数年ぶりの国際法廷の始動についてですが、旧ユーゴ法廷のHPによると、Tadicは裁判の結果、人道に対する罪と戦争法規違反で有罪になり、20年の禁固刑になったようです。


で、何がキツイかって、このオッサン、もともとはそんな悪い人じゃなさそうなんだよね。↑の本によると、戦争前はナイスな普通のオッサンだったらしい。経営するカフェにも、近所のムスリムの人たちが来ていたそうだし、そういう人たちと仲良くやってたようだ。ホーム・パーティなんてのもムスリムの人たちとやってたそうだし。↑のニューヨークタイムスの記事にはこう書いてある↓

The prosecutor said that as Serbian nationalism spread, Tadic joined the police, turned against his Muslim friends

(検察官によると、セルビア・ナショナリズが叫ばれるようになると、Tadicは警察官になり、ムスリムの友人たちに敵対するようになった)


こういう話って、このオッサンだけじゃないんだよね。ボスニア戦争ではあっちこっちにそういう話が出てくる。日常の実感ってそんなに弱いものなの?民族主義の幻想ってそんなにすごい魔力を持っているのかねえ。普段からイガミあってたならまだしも、日常では穏やかにやってたはずだったのに。そりゃ、いわくつきの歴史があったとしてもさあ。何十年も普通にやってたじゃんよと。

ナショナリズムの底知れぬパワーに背筋が寒くなる。


ちなみに、あの戦争は宗教戦争か民族戦争かいろいろ見解が分かれるけど、知り合いのあの戦争を体験したボスニア出身のクロアチア人は、民族戦争だと断言してた。たしかに、クロアチア人・セルビア人・ムスリムは宗教が違うだけで、人種その他は一緒なんで、なぜに宗教戦争じゃなくて民族戦争なん?ってのはややこしい話なんだけど。まあ、現地の人たちの感覚では、宗教が違う人たちってより(実際、宗教は違うけど)、ちょっと違う人たち=違う民族、って感じらしい。


で、このTadicですが、ムスリムのお友達がたくさんいたのでムスリムのことをよく知っていた。そして、ムスリムが何を嫌がるかも当然。よって、彼やその他の人たちの働く悪事(=遊び)の酷さはもう・・・。 ↑のニューヨークタイムスの記事にもマイルドな話がちょっとだけ出てるけど。ちなみに、↑の本は、「噛み切れ!噛み切れ!」ではじまる。神経図太い人はニューヨークタイムスの記事と関連させてみてください。なんのことだかわかります。(追記:エグイ話は「日本人の劣等感と優越感? & 欧米リベラル」のコメント欄でちょっとだけ「あえて」書いた。)



というか、空手の先生でカフェ・ニッポンのオッサンがそんな酷いことやっちゃったんですよー!?

大のニッポンびいきのオッサンがですよー!?


というか、旧ユーゴ戦争・法廷関連の本・論文たくさん読んだんだけど、もうめちゃくちゃ。↑のニューヨークタイムスの話なんてマイルドもなにもちょーマイルド。そういうの読んでる俺ってヘンタイかよ!?とか思った。ありえねーだろ、って話がゴロゴロゴロゴロゴロ。この世のものとは思えないような話が。つか、人間って最悪。



友人に、国連部隊としてボスニアにいたことのある人がいた。この人はスウェーデンの元軍人。彼によると、国連部隊の目の前で、ムスリムの人たち、女性や子どもやお年寄りが狩られてたそうだ。国連部隊に泣きながら助けを求める人々が、目の前で連れて行かれ、虐殺されていたそうだ。

そのときの国連部隊のマンデイトでは、そういう人たちを助けることはできなかった。で、そのミッションの最高責任者が明石康さん。日本じゃ、明石さんは英雄だけど、欧米や向こうじゃ評判悪い。というか、最低のミッションの責任者だったということで。まあ、彼の力でどうこうできたわけじゃないからかわいそうなんだけど。後に戦争犯罪者になるボスニアのリーダーたちと、やる気のない国連安保理バックに、彼もツライ思いで交渉してたんでしょう。

この戦争を扱った映画でも、そんなシーン(=国連部隊が助けを求める悲惨な人々を見捨てる)が出てきたりする。「ノーマンズ・ランド」にもあったような。題名忘れたけど、BBC(たぶん)が作ったテレビ映画観たことあるんだけど、そういうシーンがたくさん出てきた。元国連部隊の彼曰く、「まさにあんな感じだった」。悲惨すぎ。そいつ、映画観ながら泣いてたよ。マジ悲惨。

国際社会、何やってんだよ!バカヤロー!だ。そんなに国家主権が大事か!コノヤロー!だ。

もちろん、国家主権の問題はそんな単純な話じゃないんだけど。国家主権を侵して介入するときはインチキな理由つけてやるもんだし。人道的理由、と言いながらやるもんだし。

けどねえ、そういう話をミクロで知っちゃうとねえ。キツイんだよねえ。ルワンダもそうだけど。

憲法9条もイロアセちまう。9条の精神は、他所でそういうことあっても放っとけ、だから。俺が9条について迷いまくりなのはこのせい。ナイーブであまちゃんなせい。はっきり言って、9条は冷徹なリアリズムですよ。(憲法9条改定論議の整理)


ところで、旧ユーゴの辺りの風景って、なんか日本の風景に似てたりする。写真・映像でしか見たことないけど。


ちなみに、↑のニューヨークタイムスの記事に出てくる旧ユーゴ法廷の裁判官、Gabrielle Kirk McDonald さんはアメリカの黒人女性で、後に旧ユーゴ法廷の所長になりました。そして、なんと、あの「女性国際戦犯法廷」の裁判官でした。(この人も北朝鮮の工作に引っかかっちゃったのかな(笑)。安倍さんに言わせると、そうなんでしょうねえ。他にも旧ユーゴ国際法廷や国際刑事裁判所の裁判官だった人やアドバイザーだった人が女性国際戦犯法廷に関わってたようです。うーん、北朝鮮の工作はすごいっすねえ。)

女性国際戦犯法廷は旧ユーゴ・ルワンダ法廷や国際刑事裁判所と同じような理念で、ようするに国際人道法の常識でやってたってことが推測できる。国際法廷の裁判官なんて、世界中の国が同意するような人間なんだから。国連総会承認だし。もちろん旧ユーゴ・ルワンダ法廷にも問題はある。国連設置だけど、勝者の裁きでもある。勝者の犯罪は裁かれない。そして、もちろん日本は裁く側。日本人の裁判官もいた。

追記:旧ユーゴ法廷の裁判官や所長の決め方は、ややこしいので、興味のある方は↓をどうぞ。

STATUTE OF THE INTERNATIONAL TRIBUNAL



追記:そーいえば、思い出したんだけど、著者のMichael P. Scharfは国際人道法の専門家で、国際法廷設立のための安保理決議をアメリカ国務省で書いたスタッフだったような。(彼のHPによると、国務省の元アドバイザー。)
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by mudaidesu | 2005-10-03 01:50 | 世界
後藤田 野中 徴兵制 野田 その他適当


今朝の『時事放談』で、後藤田さんを偲ぶ、みたいなことをやっていた。個人的には、実は、恥ずかしながら、後藤田さんのことよく知りませんでした。後藤田って名前のハト派の元政治家がいるってくらいでした。顔と名前が一致するようになったのは、ここ数年。

なんだか立派な人だったようですねえ。最初の選挙でゴタゴタあったようですが。まあ、ダーティ・ハトの中では、ハトの方に重点を置いた重鎮だったようですねえ。最近のイメージ的には。いやあ、でも、いろいろ彼の発言が紹介されてますが、なかなかいいこと言ってますねえ。みょーに祭り上げてしまうのもどうかと思いますが。しかし、自民党がなにげに何十年も国民に信頼れてきた理由がわかるような気もしますねえ。こういう人がなにげにたくさんいたんでしょうねえ。

「弱者のために」みたいなことをたくさん言ってましたが、そういうのって最近ウケないですからねえ。印象に残ってるのは、堀江さんの外国人特派員協会講演ですねえ(videonews.com)。 こちら で堀江さんの公的年金についての考えにちょっと触れたけど、他にもいろいろ気になること言ってましたよ。亀井さんの印象を聞かれて、「亀井さんの演説とか話を聞いてると共産主義者かと思えてくる」みたいなこと言ってましたよ。おそらく、静香ちゃんがよくする「弱者」の話についてでしょう。弱者の話をするだけでアカですか。いや、別にアカでいいんだけど、世間的にはイロモノ扱いにまたなりつつありますよね。


元警察庁長官ですかあ。左翼の方々からすれば憎い敵ですな。しかしながら、歴代の警察庁長官がその後何やってどういうこと言ってるのか調べてみたいですねえ。後藤田さんみたいに、権力は縛らんとイカンもんだ、みたいなこと言いつづけてる人ってどのくらいいらっしゃるんでしょうか。というか、あのデカイ顔で妖怪顔(良い意味で)の佐々淳行さんが後藤田さんにベタ惚れしてるようですからねえ。すごいですねえ。思想信条にはだいぶ違いがあるようですが。

しかし、二度目ですが、みょーに神格化するのもどうかなと思いますね。いや、よく彼のこと知らんのですが。とはいえ、時代状況が彼のような人を必要としているという証でもあるんだろうなあ。野中さんじゃ、世間では、ちょっと「抵抗勢力」としてのイメージがまだ強くあってなあ。その点、後藤田さんなら、旧田中派的な部分は世間の人にすっかり忘れられてるだろうからなあ。ん~、もったいないなあ。合掌。


今日の『時事放談』には野中さんが出てていろいろ話してたけど、野中さんは後藤田さんにかわいがられてたようですねえ。岩見さんによると、後藤田さんに『時事放談』の話したら、「対談相手が野中なら出る」と言ってたそうな。野中さんによると、引退宣言したすぐ後に後藤田さんから電話きて、「やめるな。恥を忍んで撤回しろ。あと三年やれ。日本にはおまえが必要だ」と言われたそうな。そして、今からそっち行くといい、野中さんがいやこっちからそっち行きますというと、いやこっちからいくと譲らず、すぐに(徳島から?)上京してきたらしい。そして、机を叩きながら野中さんを説得しようとしたようだ。

野中さんはおもしろいですねえ。後藤田さんもそうだけど、ほんと話に惹きこまれてしまう。深みと凄みの両方がある。ちょっと前に『文藝春秋』のバックナンバーいろいろ見てたら、記者たちによる政治家ランキング特集があった。見識やら人間性やら魅力やら7部門くらいがあって、野中さんが総合でダントツの一位だった。当時首相だった森さんがかなり下の方だったような。野党の党首たちがトップ10にちゃんと入ってるのに。

なんかのテレビの特集番組で桝添さんが尊敬する政治家に野中さんをあげてた。当時「抵抗勢力」としてイメージの悪かった彼をあえてあげてるところに驚いた。真面目な顔で「すごいですよ。すばらしいですよ」と言ってた。あの石原慎太郎さんも野中さんを慕ってる。(野中さんも石原さんについて「考え方は全然違うけどうまが合う」と言ってたなあ。おもしろかったのが、野中さんが「俺が連れてってやるからお前も中国行け」と誘ったら、石原さんは「飯に毒でもいれられちゃうかもしれないからなあ」と言ったとか。なにげに石原さん、マジでそう思ってそう。臆病なんだろうなあ。そういうところがなにげに石原さんの憎めないところなんだよなあ。)


古賀誠さんも野中さんに惚れたひとりのようだけど、古賀さんどうしてんだろ。野田聖子さんも野中さんの弟子のようだけど、がんばってほしいですねえ。この二人の話もなかなか面白いんだよねえ。野田さんもちょっと腰抜けぎみだけど、いいよ別に。革命起こさんでもいいよと。玉砕もいいけど、とにかく、生き残れ、って思う。



ところで、いきなり話が飛んで徴兵制についてだけど、志願兵制をやめて、どうせなら徴兵制にしちゃえ!とかヤケクソで思うことがときおりある。自分や家族が実際に物理的に戦う可能性が高くなればなるほど、暴力の行使その他について慎重になるかもと。自分や家族が物理的にリスクを背負えば、リスクをリアルに想像できれば慎重になるのではと。傍観者として強がってつば飛ばして吼えてばっかりもいられんだろうと。まあ、淡い期待ですが。

アメリカ見てると余計にそう思う。『華氏911』は「日本人からすると」たいした作品じゃなかったけど、「実際に戦場に行くのは誰なんだ?」を突きつけたのには意義がある。アメリカ軍で実際に危険な目にあってる下っ端の奴らなんて、ほとんど「生きるため」に軍隊入ってるから。親の金で大学行ける奴なんて軍隊に入らない。志願兵制が維持できるのは弱者が存在しつづけるからだ、ってのはどうかなあと。志願兵制を維持するために弱者を存在させつづけないと、なんて転倒した話になったらやだなあ。日本の未来がそうなったら嫌ですな。

えぐいリクルートは『華氏911』で取り上げられてたけど、アメリカ軍の広告がすごい。特にテレビCMが。ARMYのはさわやか。戦車やら攻撃ヘリやらがかっこよく描かれて、兵士も希望にあふれた顔してて、自分の未来のために!みたいなノリで。これだけでも、日本人としてはすげ~なと思ったんだけど、NAVY(marineだったかも)のがもっと凄かった。いろんなバージョンがあったと思うんだけど、凄いのが一つあった。かっこいい海兵さんが軍服じゃなくて制服(?なんて呼ぶの?)着てて、かっこい剣を持ってる。そして、グロテスクな怪物が出てきて、それをかっこよく剣で倒すの。


また話飛ぶけど、軍隊って何気にバカにできない。アメリカ軍その他って、人権・援助NGOの人材供給源にもなってたりする。正義感があって、第三世界の人々の境遇に心を痛めてるような人が、自分の能力・技術を生かそうとそういう道に入ったりする。この話はそのうちまた。


また飛んで、なにげに気になってるのは、戦中、有力者の子息ってどうしてたんだろう?やっぱり普通に戦争行って死んだりしてたのかなあ?スターリンや毛沢東のせがれが戦死したって話は聞いたことあるけど、日本の有力者のせがれ、その他の国の有力者の子供、そういう話に興味がある。別に、彼らの不幸を願ってるわけじゃないんだけどね。純粋に、人間とは、という問いにつながるような気がして興味がある。



追記: 

今さっき、とくらBlogさんからTBいただきました。野田聖子さんについてです。私は↑で、

野田さんもちょっと腰抜けぎみだけど、いいよ別に。革命起こさんでもいいよと。玉砕もいいけど、とにかく、生き残れ、って思う。

と書きました。私自身は、結構野田さんが好きなんですね。こういう人が自民党にもいてほしいと思ってます。で、「とくらBlog」さんのエントリーなんですが、内容には99%同意なんです。↓

野田聖子さんが法案に賛成されれば、国民の失望は大きいと思います。

この多くの方々の(反対)意見の受け皿となれるのは、今や野田聖子さんしかいません。

そうやって情報操作されている方々にとっても野田聖子さんは別格です。マスコミの扱いも悲劇のヒロイン扱いです。だから、野田聖子さんの行動は大変大きな影響があります。

ここで信念をまげて、郵政民営化関連法案に賛成したら、きっと今後の野田聖子さんの政治家としての人生に汚点を残すこととなると思います。

ここで迷ったら、ゼッタイ損です。

野田聖子さんにメールを送ろう ~ 私たち市民にできることは?


ほとんど同意なんです。けど、やはり、ああいう選挙結果後の今、野田さん一人じゃどうにもならないと思うんですよ。最低でも、民主党が野田さんと共闘するくらいにならないと。けど、それもありえないですし。考えが違いますし。

というか、ここで腰砕けになっても、我々は覚えてますけど、世間はすぐ忘れると思うんですね。逆に、一人で、孤軍奮闘しても、結局、世間はすぐ忘れちゃうと思うんです。しかも世論的には逆風で、郵政問題においては小泉に正義あり、ですし。そして、同志になってくれそうな人々が世間のイメージでは「悪代官」ですし。メディアのサポートもゼロですし。んななかで、一人で闘えと言うのは酷かなと。そりゃ、パワーでないだろうと。

今ごろになって、メディアの無責任コメンテーターたちが、今後起こりうる政界再編で中心になる気概でやらなきゃ、みたいなこと言ってたりしますが、そんな骨のある政治家なんて過去いたんですか?と。小泉さんだって、首相になるまでは自民党のただの兵隊だったのに。野田さんなんて、まだ中堅ですし。

と、盛り下がるようなことを思ってますが、みなさん、すみません。市民失格です。

ただ、野田さんに我々がプレッシャーかけるのはいいことだと思います。今後のためにも、野田さんに声を届けるというのは大切かなと。私もメール送ってみます。政治家への初メール!→送りました! 少しは罪悪感もってもらわないと。そして、その気持ちを抱きながら、今後、もっともっと頑張ってほしい。
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by mudaidesu | 2005-09-25 19:02 | ニッポン
ネオコンの懺悔!?ブッシュ批判!?by フランシス・フクヤマ

<フランシス・フクヤマ>論争 リベラル、ネオコン、フェミ

↑で、フランシス・フクヤマがリベラルだ、ネオコンだ、保守だ、なんだかんだ書きました。「クリントンへの、あの有名な「フセイン打倒しろや!」手紙にネオコンさんたちと共に署名した一人ですし」とも書きました。

で、今、さっき、こんな文章を見つけてしまいました。

今年の8月31日、フクヤマさんが「ニューヨーク・タイムス」にこんな論考を発表しました。ところどころちょっとだけ紹介。

Isolationist Invaion (孤立主義者のイラク侵攻)

The Bush administration could instead have chosen to create a true alliance of democracies to fight the illiberal currents coming out of the Middle East. It could also have tightened economic sanctions and secured the return of arms inspectors to Iraq without going to war.

(ブッシュ政権はもっとちゃんとした民主国家連合を組めたかも。戦争せずに、経済制裁強化したり武器査察をちゃんとやれたかも。)

Are we failing in Iraq? That's still unclear. The United States can control the situation militarily as long as it chooses to remain there in force, but Americans' willingness to maintain the personnel levels necessary to stay the course is limited.

(我々はイラクで失敗してる?やる気出せば軍事的にイラクの状況をコントロールできるが、アメリカ人のやる気にも限界が・・・。)

We do not know what outcome we will face in Iraq. ・・・. There was nothing inevitable about this. There is everything to be regretted about it.

(イラクでどんな結果になるかようわからん。9.11以降、避けられない、必然的なことは何もなかった。めっちゃ後悔することだらけです。)

Isolationist Invasion  Francis Fukuyama
The New York Times 8/31, International Herald Tribune 9/1


なんだか、奥歯に物が詰まったような文章です。私の訳がアホっぽいので感じが出てませんが、実際の文章はどよ~んとした感じです。ここ数年のフクヤマさんの議論はさっぱり知らないのですが、なんかこの文章はシンボリックなものになりそうです。フクヤマさんが戦争前どういうこと言っていたかは知りません。あの「フセイン打倒しろや!」手紙に名前が出てるというだけで。

想像ですが、戦争前の、フランス・ドイツのようなリベラル・デモクラシー国家を馬鹿にするような風潮には組していなかったのではないかと。きちんとリベラル・デモクラシーの同盟は組んどけ、と思っていたのでは。リアリズムの立場からでなく、リベラルな国際主義の立場から。昔から、孤立主義者と立場は異にしていたし。そのうち、チェックしてみたいと思います。



リアリストのリアリズム イラク戦争反対
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by mudaidesu | 2005-09-15 18:22 | 世界
<フランシス・フクヤマ>論争 リベラル ネオコン フェミ

フランシス・フクヤマさんといえば、『歴史の終わり』ですね。1989年、『ナショナル・インタレスト』誌に載った「歴史の終わり?」という論文で一躍コントラバーシャルな論壇スターになりました。ちなみに、この『ナショナル・インタレスト』はネオコンの「創設者(?)」、アービング・クリストルさんの作った雑誌です。「国益」って雑誌名、かっこいいですね。

フクヤマさんは、リベラル・デモクラシーが「人類のイデオロギー上の進歩の終点」及び「人類の統治の最後の形」になるのかもしれないし、よって、リベラル・デモクラシーの勝利した今、「歴史は終わった」んですよ~、みたいなことを主張しました。(ちょっと書き直した)

このとき、フクヤマさんは、ランド研究所という共和党系のシンクタンクにいましたが、当時の、というかブッシュ政権前までは、共和党の外交政策はジェシー・ヘルムズ外交委員長に代表されるリアリスト路線が強かったので、フクヤマの議論は少し驚ろかれたようです。

共和党系の孤立主義的リアリスト(バランス・オブ・パワー系)は、クリントン政権のリベラル的外交(例:人権重視・人道的介入・国連重視など)を激しく批判してました。一方のフクヤマさんは、第三世界の「民主主義」とかについて、「歴史の終わり」と同じでヘーゲル的な歴史観(左翼・進歩的)に基づいてガンガン議論してました。ようするに、平和は「バランス・オブ・パワー」によってもたらされるのではなく、リベラル・デモクラシーが普及することによって、みたいなことを。いわゆる「デモクラティック・ピース」みたいな。というわけで、当時は、フクヤマさんの議論はリベラル国際関係理論の典型として教科書に載っていたようです。(ちょとと書き直した)

そんなフクヤマさんですが、今日ではすっかりネオコンさんと見られているようですね。クリントンへの、あの有名な「フセイン打倒しろや!」手紙にネオコンさんたちと共に署名した一人ですし。最近の議論をチェックしてないのでよくわからんですけど。まあ、↑の経緯を考えればうなずけますが。おまけに、彼はレオ・シュトラウスの弟子の弟子です。ちなみに、「歴史の終わり」の日本語への訳者がゴリゴリ保守の渡部昇一さんです。

ようするに、リベラル国際関係理論が、変異を起こしてネオコン理論になっちゃったみたいな。ネオコンってのはもともと左翼的な人が多い。↑のアービング・クリストルさんによると、自分(ネオコン)は、「liberal mugged by reality (リアリティにやられちゃったリベラル)」だと。(付け足した)



***とか書いたら、彼のブッシュ政権批判(?)見つけちゃいました。次のエントリーで。
ネオコンの懺悔!?ブッシュ批判!?by フランシス・フクヤマ


これ系の話で簡単に読めておもしろいのが↓

宮台真司 解題:ナタン・シャランスキー『民主主義論』


で、そんなフクヤマさんですが、なにげにこんな論争もしてます。

もし女性が世界政治を支配すれば・・・
Women and the Evolution of World Politics

フランシス・フクヤマ /ジョージ・メイソン大学政治学教授

「競合的な目的の一つをめぐって団結し、ヒエラルヒーにおける支配的な地位を求め、相互に攻撃的熱狂を示すという男性の傾向は、他の方向へと向かわせることはできても、決して消し去ることはできない」。

したがって、一般に男性よりも平和を好み、軍事的介入に否定的な女性たちが政治を司れば、世界の紛争は少なくなり、より協調的な秩序が誕生するかもしれない。人口動態からみても、すくなくとも民主的な先進諸国では今後政治の女性化が進んでいく可能性が高い。

だが、男性的で野蛮な無法国家の存在が今後当面はなくならないと考えられる以上、かりに男性政治家は必要でないとしても、依然男性的な政策は必要になるだろう。

「生物学は運命ではない」が、人が生物学的性格から自らを完全に切り放すのも不可能である。必要なのは、人間の本質がしばしば邪悪であることを素直に受け入れて、人間の粗野な本能を和らげるような政治、経済、社会的システムを構築することだ。

この点、社会主義や急進的なフェミニズムとは違い、「生物学的に組み込まれた本性を所与のものとみなし、それを制度、法律、規範をつうじて封じ込めようとする」民主主義と市場経済のシステムは有望である。二一世紀の世界政治が穏やかな秩序になるかどうかを占うキーワードは「女性」そして民主社会の多様性である。

フォーリン・アフェアーズ 、 『論座』 


フクヤマの愚かな議論
Fukuyama's Follies: So What if Women Ruled the World?


1.男だって戦争は好きじゃない
  Men Hate War Too
  バーバラ・エーレンリック (作家)

2.フクヤマの議論は前提から間違っている
  Perilous Positions
  ブライアン・ファーガソン (ラトガーズ大学人類学准教授)

「遺伝的に攻撃的な性質を持つ男性に代わって、より穏やかで争いを好まない性質を持つ女性が政治に参加し、その比重が増していけば、国際関係はより平和になる」。フランシス・フクヤマは、論文「もし女性が世界政治を支配すれば」でこう主張した。

フクヤマは、男性(オス)の攻撃性は遺伝子に組み込まれているとし、その例として、オランダやタンザニアで見られたオスチンパンジー同士の残虐な闘いや、数万年前からあったとみられる男性による大量虐殺を挙げる。しかも、環境や文化をつうじて、遺伝子に刻まれた男性の攻撃的な性格を克服する試みには限界があると主張した。

人類学、そして広く社会科学全般が、性、民族、人種の普遍性を基盤に、思想や理論を組み立ててきただけに、フクヤマの指摘は大きな波紋をよんだ。以下は、文化や環境から人間が受ける影響、フェミニズム、そして人類学の立場からのフクヤマ論文に対する重厚な反論

フォーリン・アフェアーズ


これ以外にも、あっちこっちでぶった切られてたそうな。

朝日新聞の船橋洋一さんによる、この論争の簡単な紹介↓。

「女の平和」を提唱するフランシス・フクヤマが浴びた集中砲火  

男性のほうが女性より攻撃的で、権力と地位への欲望が強い。こうしたムキムキマンが社会を牛耳っていることが戦争を生みやすくしている。世界を平和にするには、まずは人間(男性)の獣性をありのまま認めることだ。そして、非攻撃的な女性の抑止力をもっともっと使わなければならない。女性の政治参加を促し、女性に指導的な立場に立ってもらうことだ。

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by mudaidesu | 2005-09-15 15:32 | 世界


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